いまさら聞けない基礎用語!【キ】#023 強度
公開日時:2023/07/26
強度ってなんだ?
みなさん、こんにちは。基礎用語、案内役のあるるです。
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今月の基礎用語:キ#023
強度 (きょうど)Strength
普段なにげなく「ここの強度がイマイチだよね・・・」みたいに使う言葉ではありますが、改めて「強度とは?」と問われると、意外と答えられないもの。
あるるなんて、博士に言われるまで、キレ〜イに忘れておりました(汗)
改めて用語の原点に返ってみると、よくわかってなかったコト、もやっとしたままになっているコトって、結構あるなぁ〜って、あるるも思います。
この機会に「キョウド」について、一緒に復習してみましょう♪
それって・・・
博士「あるるよ、『キョウド』とは何か、覚えておるか?」
あるる「なんですか、いきなり。『キョウド』・・・それは、遠くにありて思うもの・・・ですか? もしくは、時折たまらなく食べたくなるお袋の味・・・とか?」
博士「ふぉっふぉっふぉっ、うまいっ! 座布団一枚じゃ!」
あるる「??? あ、ありがとうございます」
博士「郷土料理も時には良いのぅ・・・。ひさしぶりにます寿司が食べたくなったわい」
あるる「あ、それ、おじいちゃんも大好きで、たまに買ってきてくれます。めちゃめちゃ美味しいですよね!!」
博士「そうそう、あの旨味と笹の香りがたまらん・・・って、郷土料理の話をしたいのではない。強い方の『強度』じゃ」
あるる「あ、そっち・・・」
博士「覚えておるかの?」
あるる「ふふふ〜ん♪ キョウはド〜かなぁ〜、ふふふふんふ〜ん♫」
博士「さっぱり覚えておらんようじゃの(でも、ちょっとうまいぞw)」
あるる「はいっ! ごめんなさいっ! これからしっかり復習します!!」
強度とは?
今回は強度の意味、単位、種類についておさらいしていきます♪
強度とは、物の強さの度合いのことで、物が「どのくらいの力に耐えられるのか?」を示した値です。
強度は弾性限度を超えた塑性変形以降の話であり、降伏点や耐力、引張り強さになります。
これは同種の金属でも合金により数倍の差になりますが、詳しくは「第66回 転位と降伏、そして耐力」を参照してください。
強度の単位
強度の単位は、『N/m㎡』で表し、「ニュートンパーヘイホウミリ」と読みます。
「単位面積当たりの耐力」で、引張力に対する強さ、圧縮力に対する強さ、曲げ応力に対する強さなど、色々な力に対する強さが決められています。
強度の種類
【今月のまめ知識 第5回】強さって何? 〜引張強さと耐力〜や
でご説明しましたが、単に強度といっても様々な種類があり、『強度』と『剛性』は別のものになります。
剛性は変形しにくさであり、強度は破壊しにくさです。
例えば、強度は高いが剛性がない例として、「引っ張っても切れないけれど、軟らかくてグルグル巻き付けられる糸」と言えばわかりやすいでしょう。
「どのくらいの力に耐えられるのか?」を示した値が強度ですが、「力の加え方」は引っ張る力、つぶす力(圧縮する力)、ちぎる力などがありますが、これらの力に応じた「強度」が以下になります。
・引っ張る力=引張強度
・つぶす(圧縮する)=圧縮強度
・ちぎる(せん断)=せん断強度
これ以外にも、降伏強度、破断強度、材料強度といったものもあります。
剛性と弾性
先ほど強度は「破壊しにくさ」であり、剛性は「変形しにくさ」であると述べましたが、
変形しにくいということは、「弾性がある(高い)」と言い換えることもできます。
弾性は分子間の引力、斥力のバランスによって決まるので、同種の金属であれば合金の種類を問わず、弾性係数はほぼ同じです。
剛性としては、軸剛性(伸び剛性)、曲げ剛性、せん断剛性、ねじり剛性がありますが、部材単体ではなく、構造体の剛性を考えると言う意味で、豆知識の第86回~90回では「曲げとねじり」を集中的に取り上げました。
それぞれのリンクを貼っておきますので、振り返りにお役立てください。
また、軸剛性と曲げ剛性は、ともに縦弾性で、分子間距離の伸び縮みであり、
せん断剛性とねじり剛性は横弾性で、分子がずれようとする方向です。
まとめると、
・曲げ剛性に関わるのは、断面二次モーメント
曲げ剛性 = 断面二次モーメント × 縦弾性係数
・曲げ強さに関わるのは、断面係数
曲げ応力 = 曲げモーメント ÷ 断面係数
・ねじり剛性に関わるのは、断面二次極モーメント
ねじり剛性 = 断面二次極モーメント × 横弾性係数
・ねじり強さに関わるのは、極断面係数
ねじり応力 = ねじり抵抗モーメント ÷ 極断面係数
となります。
それぞれ参照して欲しいページは、以下の通りです。合わせてご利用ください。
断面二次モーメントと断面二次極モーメントは、部材の断面形状の性能であり、形と大きさに関わる係数なので、材質には関係ありません。
これに材料ごとに異なる係数である弾性係数を乗じた値が、変形しにくさ→剛性となります。
断面係数、極断面係数も、部材の断面形状の性能であり、形と大きさに関わる係数なので材質には関係ありません。上記の式で示した通り、掛かる荷重との関係から発生する応力を求め、使用する材質の許容応力と比較して安全率を評価することになります。
アルミニウム合金の剛性
最後に、アルミニウム合金についても触れておきたいと思います。
アルミニウム合金においては、1000番台から7000番台、どの合金を使用しても弾性に差はないため、剛性はほぼ同等で荷重をかけた時の変形量はほぼ同じです。
では、高価な合金の意味は何か?と言えば、「どれくらいの変形量までだったら、荷重を抜いたときに元に戻るか(塑性変形しないか)」、「どれくらいの荷重までなら破壊しないか」に差があるという事です。
また、局所的な荷重がかかった場合の陥没などは塑性変形であり、耐力や降伏応力によるのでこちらは合金の種類によって差が出ます。
装置架台など、組み立てられた構造体の場合に問題になるのは、ほぼ曲げ剛性と考えてよいです。
しかし、単体の部品においては、その用途によって軸剛性(伸び剛性)、曲げ剛性、せん断剛性、ねじり剛性、およびそれぞれの強度を考えて、材質および形状を決定する必要があります。
以上
あるる「ふぅ〜、一気に振り返りましたけど、やっぱり、強度や剛性、弾性あたりは奥が深いですねぇ〜。こりゃたびたび復習しないとだな」
博士「そうじゃ! あるるよ! その通りじゃ!!!」
あるる「なんですか、博士、びっくりするじゃありませんか」
博士「奥が深いからこそ、少しずつ繰り返すのじゃ。一気に覚えようとせず、何度も何度も読み込んでいけば、やがて自分の栄養になっていくんじゃよ」
あるる「なるほど〜、少しずつですね。ならば、そろそろ・・・」
博士「ん? なんじゃ?」
あるる「鱒寿司をすこーしずつ、食べたいなぁ〜、なんて・・・」
博士「さすが、あるるじゃ。覚えておったか。よし、わしもそろそろお腹が空いてきた。今日のお昼は鱒寿司のお弁当にしようぞ!」
あるる「やったぁ〜〜〜\(^o^)/」