【今月のまめ知識 第91回】剛性と強度のまとめ

公開日時:2020/10/21

とあるのんきな昼下がり・・・

博士「よいしょ、うんしょ(ドン)。よーし、これから面白いクイズをやるぞ〜」

あるる「え? クイズですか? やったー、クイズ大好き\(^o^)/」

博士「はい、あるるはこの○×カードを持ってな。では、早速問題です。この『毛糸玉』は強度は高いが剛性がない。○か×か?」

あるる「え?いきなり? 強度? 剛性?・・・」

博士「チッチッチッチッ・・・あと5秒」

あるる「ま、まるーっ!!○」

博士「正解。では、このガラスの棒はどうかの? これも強度は高いが剛性がない。○か×か?」

あるる「えっと、えっと・・・ばつーっ!!×」

博士「正解。あるる、やるじゃないか」

あるる「えへへ(照れ)」

博士「では次。『剛性』とは『変形しにくさ』である。○か×か?」

あるる「えーっと、まる? あれ? 変形しにくいのは強度の方だっけ?? あれ、あれれ?」

博士「ブッブー。残念、時間切れです。なんじゃ、覚えておらんのか。さっきの正解はなんじゃったんだ?」

あるる「はい、当てずっぽうです!(キリッ!)」

博士「ふぉっふぉっふぉっ。そこまで言い切るとは、清々しいぞ(笑) よし、今日はしっかり『剛性』と『強度』について、理解するんじゃぞ」

あるる「はーい (^o^)/」

 

剛性と強度

第86回~90回に渡って部材の剛性に関わるお話をしてきましたが、数式も多くなじみにくかった方も多いかと思い、また過去における剛性と強度に関する話を、今回は数式無しで総括しておきます。

 

まず、『剛性』と『強度』は別のものです。

剛性は変形しにくさであり、強度は破壊しにくさです。


例えば、強度は高いが剛性がない例として、「引っ張っても切れないけれど、軟らかくてグルグル巻き付けられる糸」と言えばわかりやすいでしょう。

剛性は変形しにくさ、つまり「弾性」という事になります。

弾性は分子間の引力、斥力のバランスによって決まるので、同種の金属であれば合金の種類を問わず、弾性係数はほぼ同じです。


しかし、強度は弾性限度を超えた塑性変形以降の話であり、降伏点や耐力、引張り強さになります。これは同種の金属でも合金により数倍の差になります。これについては「第66回 転位と降伏、そして耐力」を参照してください。

 

剛性としては、軸剛性(伸び剛性)、曲げ剛性、せん断剛性、ねじり剛性がありますが、部材単体ではなく、構造体の剛性を考えると言う意味で、第86回~90回では「曲げとねじり」を集中的に取り上げました。



曲げとねじれ

軸剛性と曲げ剛性は、ともに縦弾性で、分子間距離の伸び縮みであり、
せん断剛性とねじり剛性は横弾性で、分子がずれようとする方向です。

曲げ剛性に関わるのは、断面二次モーメント
曲げ剛性 = 断面二次モーメント × 縦弾性係数


曲げ強さに関わるのは、断面係数
曲げ応力 = 曲げモーメント ÷ 断面係数


ねじり剛性に関わるのは、断面二次極モーメント
ねじり剛性 = 断面二次極モーメント × 横弾性係数


ねじり強さに関わるのは、極断面係数
ねじり応力 = ねじり抵抗モーメント ÷ 極断面係数


となります。

 

「第53回 縦弾性係数」「第54回 横弾性係数」「第55回 弾性係数と剛性」を、それぞれ参照してください。

断面二次モーメントと断面二次極モーメントは、部材の断面形状の性能であり、形と大きさに関わる係数なので、材質には関係ありません。


これに材料ごとに異なる係数である弾性係数を乗じた値が、変形しにくさ→剛性となります。

 

断面係数、極断面係数も、部材の断面形状の性能であり、形と大きさに関わる係数なので材質には関係ありません。上記の式で示した通り、掛かる荷重との関係から発生する応力を求め、使用する材質の許容応力と比較して安全率を評価することになります。

アルミニウム合金の剛性

アルミニウム合金においては、1000番台から7000番台、どの合金を使用しても弾性に差はないため、剛性はほぼ同等で荷重をかけた時の変形量はほぼ同じです。


では、高価な合金の意味は何か?と言えば、「どれくらいの変形量までだったら、荷重を抜いたときに元に戻るか(塑性変形しないか)」、「どれくらいの荷重までなら破壊しないか」という事に差があるという事です。


また、局所的な荷重がかかった場合の陥没などは塑性変形であり、耐力や降伏応力によるのでこちらは合金の種類によって差が出ます。

装置架台など、組み立てられた構造体の場合に問題になるのは、ほぼ曲げ剛性と考えてよいです。


しかし、単体の部品においては、その用途によって軸剛性(伸び剛性)、曲げ剛性、せん断剛性、ねじり剛性、およびそれぞれの強度を考えて、材質および形状を決定する必要があります。

 

以上

博士「どうじゃな、あるる。わかってくれたかの?」

あるる「う〜む。確かに計算式は出てきませんでしたが、難しいことには変わりなし! でも、『剛性』と『強度』の違いだけは覚えました!」

博士「よし! よく頑張った。“曲げ”の世界は奥が深いからのぅ。焦らずじっくり理解を深めていこうな」

あるる「はいっ!! で、博士、質問してもいいですか?」

博士「もちろんじゃとも」

あるる「この餅まんじゅうは、よ〜く伸びてなかなか切れないから、強度はそこそこ。でも柔らかいから、剛性は低いですよね」

博士「そうじゃな」

あるる「じゃあ、このお煎餅。うっかりすると歯がヤラれるくらい堅いので強度はありますが、手でパリンと破れますから、強度はひくい」

博士「まぁ、そう言えるな」

あるる「えっと、じゃぁこのチョコレートは・・・」

博士「おいおい、出てくるのは食べ物ばかりではないか」

あるる「だってぇ・・・食べもので覚えると、不思議なくらいスッと頭に入るんです」

博士「ふぉっふぉっふぉっふぉっ。まぁ、あるるらしくて、今のところは良しとするかの。どれ、そのまんじゅうをひとつ、わしにもくれんかの?」

 

 

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