いまさら聞けない基礎用語!【ア】#004 アルミフレーム
公開日時:2021/12/22
あるる「みなさん、こんにちは。このコーナーの案内役のあるるです。
今回注目する基礎用語は『アルミフレーム』。すでに「#001 アルミニウム」、「#002 アルミニウム合金」を解説してきましたが、改めて「アルミフレームとはなんぞや?」を掘り下げて、「あ行」を締めくくりたいと思います♪」
博士「おーい、あるるよー、これ曲がってないかの? ちょっと見ておくれ〜」
あるる「はーい。わー、素敵な額ですね。スタイリッシュでかっこいい〜。はっ! もしやこの額は・・・(にやっ)」
博士「正解。アルミフレームでわしが作ったんじゃ。軽くて丈夫で、錆びにくいからのぅ。ついでに中の絵もわしが描いたんじゃぞ」
あるる「ええーー、すごーーーい\(^o^)/ 猫ちゃん、かわいいーー\(^o^)/」
博士「・・うぉほん・・・。猫ではない。来年の干支の寅じゃ」
あるる「えへへへへ・・・(ニコニコ)←笑ってごまかす」
アルミフレームの特徴
「アルミフレーム」とはアルミニウム合金を原材料にした構造材のこと。アルミニウムは他の元素と合わせることにより、強度をあげたり、腐食しにくくすることができます。
アルミニウムの特徴は
- 軽い
- 耐食性が良い
- 成形加工性が良い
- 複雑な形状の押出し成形が可能
- 不燃材である
- 熱伝統率が良い
- 導電性が良い
- 非磁性である
- 光、熱、電波をよく反射する
- リサイクル性が良い
と、いろいろありますが、装置架台などの構造材に使用するアルミフレームの場合
1)成形加工性が良い
2)軽い
3)耐食性が良い
の3点が大きく貢献します。
比べてみよう! 鋼鉄材 VS アルミフレーム
ではここで、鋼材を溶接して構造物を製作する場合を考えてみましょう。
鋼材はアングル(L型)、チャンネル(コ型)、パイプ(丸、四角)といった形状であり、それに物を取り付けるためには、ネジ加工をしたり、他の部品を溶接する事が必要です。
また、溶接によって歪(ひずみ)も出るため、精度を必要とする部位には機械加工が必要となります。
そして、最後に塗装をして仕上げます。
一方、アルミフレームの場合はどうでしょう?
さきほど述べた「アルミフレームの3つのメリット」に照らし合わせてみると、
1)成形加工性が良い
アルミフレームでは、部品を取り付けるためのナットが入る溝や、強度を持たせるための複雑な断面形状を持っています。
2)軽い
軽いという事は、すべての工程で取り扱いが「楽」になります。
3)耐食性が良い
耐食性が良いということは、「塗装が不要である」ということです。
鉄鋼材と比べてみると、その手軽さは一目瞭然!
鋼材の場合:材料切断→溶接→加工→塗装
アルミフレームの場合:材料切断→組立
(※メーカー側で材料切断を行うため、使用者は組立のみ)
となるのです。
さらに、構造を変更したい場合はどうでしょうか?
鋼材溶接品の場合は、上記と同じ工程に加え、分解再組立が必要となる場合もありますが、アルミフレームは単に「組み換えのみ」で済むのです。
鋼鉄材 VS アルミフレーム The 納期対決!
それでは、現実的に装置を設計製作する場合、どれだけ「納期」に差が出るかも、考えてみたいと思います。
鋼材溶接による架台は非常に製作期間の掛かる品物です。装置のすべての設計が完了しないと、その本体である架台の図面が完成しません。一番時間のかかるものの図面が一番最後でないとできない−−−。
すなわち、設計完了してから組立開始までに、「空白の時間」が できてしまうのです。
もっと時間を有効に使おうと、設計途中で製作の手配をしてしまうと、後で設計したものを取り付けるために、架台に新たな取付けネジの加工などが必要になり、返って手間がかかってしまいます。
このジレンマこそが、時間あるいは手間といった損失を生んでいるのです。
一方、アルミフレームによる構造物であれば、設計完了してから手配しても短納期が可能です。また、設計途中で手配しても、追加変更がとてもカンタンにできます。
しかしながら、どこにでも取り付けることができる便利さは、裏を返すと「どこに取り付けて良いか解らない」煩わしさにもなります。
そこで当社では部材,部品が取りつく位置に“マーキング(印刷)”をするということも行っております。
興味のある方は、こちらをご参照ください。
▼NICのマーキングシステム
http://www.nic-inc.co.jp/alfaframe/support/kakchar/marking_system.html
アルミフレームの使用が向かないもの
軽くて丈夫。組合せも自由で、様々なケースにも柔軟に対応できる
アルミフレームですが、全てに万能なわけではありません。
中には適さない用途もあります。
使用不可というわけではありませんが、注意をしないと、思わぬ不具合につながることもありますので、アルミフレームのネガティブな面にもフォーカスしてみたいと思います。
1)フォークリフト等で積み下ろしするラック
フォークリフトで取り扱う場合には、どうしてもツメをぶつけてしまい、フレームの曲りやボルト結合部の破壊を招くことがあります。
スチール溶接構造の場合は変形してもハンマーで叩いて直したり、
亀裂が入った部分を溶接するなどの現場での修理が可能ですが、
アルミフレームでは損傷した部分の交換が必要となります。
2)摺動面(機械の装置などをすべらせながら動かすこと)
物が擦れるという事に関しては、表面の摩擦係数と硬さが問題になります。
アルミニウム合金は柔らかく、また当社のアルファフレームは表面にアクリルコーティングがあり、摩擦係数が高くなっていますので
摺動面には向きません。
軽量物を滑らせる場合には、アルファフレーム表面を保護する
フェースライナー(FR-**シリーズ)を装着することで対応できます。
3)鋳鉄フレームなど減衰性を目的としたもの
アルミのフレームと鋼材では、同等の剛性であれば振動に対する減衰も同等です。
しかし、工作機械のベッドのように高い周波数の微細な振動を防ぐ目的で使用されている鋳鉄の代替は困難です。
尚、アルミフレームの減衰性を高める高減衰処理という方法があり、これが有効な場合もありますのでご相談ください。
4)屋外での使用
アルファフレームシステムは、屋内での使用を前提として設計されています。フレーム外周は屋外でも充分な耐候性を持っていますが、中空内部に水が入ると腐食が進行します。
また、アクセサリー類も屋内での使用を前提としていますので、
屋外で使用する場合には、フレーム中空部に水が浸入しない対策を施し、アクセサリー類は、ステンレス製を選定するなどの条件を整える必要があります。
水がかかるところでの注意事項及び対策については、10月号のQ&A『水がかかるところで使用できますか?』に掲載しておりますので、そちらをご覧ください。
同じ剛性であれば、スチールよりも軽量にできて便利なアルミフレームですが、異なる特性を理解してお使いいただければ幸いです。
博士「アルミニウムの良いところ、苦手なところ、両方をよく理解して、適材適所で使っていくことが大切じゃ」
あるる「おっしゃる通り! 適材適所♪ 良い言葉ですね♪ 得意もあれば不得意もある。得意なところを伸ばしていけばいいんですよね(にやにや)」
博士「どうした、あるる。やけにニヤニヤして・・・」
あるる「博士は動物ではなく、風景やお花などを書いた方がいいとおもいまーす(エピソードはコチラ♪)」
博士「まさか、そこを突っ込まれるとは・・・(笑)」