いまさら聞けない基礎用語【サ】#039 座金

公開日時:2024/11/27

みなさん、こんにちは。基礎用語、案内役のあるるです。


今回注目する基礎用語は、コチラ!
↓↓↓
今月の基礎用語:サ #039
座金(ざがね)
washer

 

あるる「よいしょ、よいしょ・・・あれー、おかしいな〜」

博士「・・・バカじゃ。バカになっておる」

あるる「ひっ!! びっくりした〜〜。しかも、いきなり『バカ』だなんて、いくら博士でも失礼じゃないですか〜!!(ぷんぷん)」

博士「ふぉっふぉっふぉっ。あるるのことを言っのではない。そのネジのことを言ったんじゃ」

あるる「あ、ネジですか(よかった〜)。ネジもバカになるんですか?」

博士「そうじゃ。いったんバカになったら、いくらドライバーを回してもダメじゃ。締まりはせぬ」

あるる「ええーーー、どうしよう。困ったなぁ〜。バカはもう直らないんんですか・・・」

博士「ジャーン! こんなときのつよ〜い味方、ざがね〜〜〜!」

あるる「博士がドラ○もんみたいになってる(笑)」

博士「以前教えてやったろう。座金を使うと安定するということを」

あるる「ざ・・がね? (ニコッ←笑って誤魔化そうとしている)」

博士「綺麗に忘れているようじゃな。よし! それでは早速復習じゃ!」

効果はあるのか? 「座金」の有効性を考える

座金はボルト、ナットの座面と締め付け部との間に挟む部品です。

座面の保護やネジの緩み止めとして一般によく使用されるの、「ばね座金」と「平座金(ひらざがね)」があります。

 

「ばね座金」は緩み止めを目的としていますが、実際に緩み止めになるかどうかは、「効果有り」という見解もあれば、反対に「効果無し」と様々です。

 

ばね座金のばね定数は、ボルトのバネ定数と比較にならないくらい小さい数値です。

ボルトを締めつけるときに、ばね座金をつぶしていくときの締付けトルクと、最終締付けトルクの差を考えれば、理解できると思います。

つまり、軸力を補助するものにはなり得ないという意味で、緩み止めの効果はありません。

 

しかし、現実に、ばね座金が入っていた方が緩みにくいという経験値を持っている人も多いと思います。

 

これは、初期緩みなど摩耗で軸力が抜けたときの補助や、振動によりネジ面にジャンプが起こった時など、ネジの軸力とはケタが違いますが、多少なりとも押さえが効くといった効果もあるのでは、と推定します。

 

平座金も含めて座金なしの場合、色々な種類の被締結物に対してボルト座面の摩擦力が変わるため、同じトルクで締め付けているのに軸力が安定しない、ということが起きます。

 

平座金、バネ座金をセットで使用すれば、半径の小さいバネ座金の面で滑り回転するため、被締結物に左右されることなく安定した軸力が期待できます。

 

また、被締結物が柔らかく軸力で被締結物の耐力を越えるような場合(陥没ゆるみ)にも、平座金とばね座金を組み合わせて使用することは有効です。

 

総括として 「ネジは必ず緩む」と言う認識を持ってください。

 

メンテナンスや運搬等において分解可能とするためにネジが使用されるので、緩まないと目的を達成できません。

 

しかし、簡単に緩んでほしくないと思うのが現実です。

 

ですから、ネジは適切なサイズの物を適切な本数使用し、適切な軸力を与えること(適正な締付けトルク)が重要なのです。

 

NICが「座金組み込みボルト」を標準としているわけ

当社は「ばね座金」と「平座金」を組み合わせた「座金組込みボルト」を標準化しています。

座金についてもう少し詳しくお話してから、「標準化の理由」も合わせてご説明したいと思います。

なぜ2種類の座金を組み合わせるのか?

ばね座金の効果や、ばね座金と平座金の組み合わせによる有効性は、前回の“座金の有効性”で説明した通りです。

 

ばね座金を使用することで、緩み方向に戻るときに食い込み、ある程度抵抗を発生させるのですが、ばね座金のみだと相手の部材に傷をつけてしまいます

 

相手がアルミニウムであれば、その傷はかなり目立つものになります。

そこで、平座金を入れることで、被締結材を守ることができます。

 

バネ座金のみだと、こんな風に傷がついてしまいます(左写真)

平座金は、ボルト座面あるいはばね座金の被締結物への接触面積が、あまり大きくありません。

 

高張力のボルトを使用した場合、相手がスチールならばよいのですが、それより耐力の低いアルミニウム合金では、ボルト座面の面積では面圧が高くなり、余裕がありません。

 

平座金は、被締結物であるアルミニウム合金に大きな負荷が掛かることを防ぐことができるので、平座金とばね座金を組み合わせて使用することが有効となるのです。

 

「平座金」と「ばね座金」を組み込んだボルトの標準化

平座金とばね座金を組み合わせて使用することがが有効であることは、おわかりりいただけたでしょうか?

 

しかし、組付け時にボルトにばね座金と平座金を組み込むことは手間であり、ボルトを多数使用するアルミフレーム組立品においては、大きな負担となります。

 

そこで当社では、この2種の座金を組み込んだボルトを標準品としているわけです。

 

当社の座金組込み型ボルトは、次の4種があります。

  • APBシリーズ:スチール製で低強度
  • APBSシリーズ:ステンレス製で低強度
  • CSWシリーズ:スチール製で高強度
  • CSWSシリーズ:ステンレス製で高強度

 

APBシリーズは「アプセットボルト」

CSWシリーズは「座金組込み六角穴付ボルト」です。

 

ボルトの比較

APBシリーズをご使用になるときのポイント

APB,APBSシリーズは低強度ですが、仮締めまで十字ドライバーを使用できるので、素早く組み立てることが出来ます。

本締めはソケットレンチ(ラチェットレンチ)やスパナ,メガネレンチを使用してください。

 

なお、ソケットレンチを使用する場合、M6は差し込み角6.35mm、M8は差し込み角9.5mmをお勧めします。

 

理由は2つ。

ひとつは、上記推奨サイズより大きいものだと
低強度のAPB,APBSシリーズをネジ切る可能性があること。

 

もうひとつは、ソケット外形が大きくABLDタイプのブラケットのリブ内幅に入らないからです。

このことから、上記に述べた差し込み角を推奨しています。

 

ABLDタイプ(M8)のブラケットを、差し込み角9.5mmで締めています。 ソケット外径がブラケットのリブ内幅にきっちり入っています。

CSWシリーズをお使いになるときのポイント

CSW,CSWSシリーズは六角棒レンチを使用し、強固な締結を実現できます。

ただし、ABLBシリーズ(ブロックブラケット)の様な、ボルト取付け部がザグリとなっているブラケットや、アルミフレーム自体にザグリ加工して締結する場合には使用出来ないので、ボルト単体で使用します。

 

ボルト取付部がザグリとなっている、ABLBシリーズ(ブロックブラケット)

この様な場合には、ザグリ穴用に座金のないCSシリーズ(スチール製)や

CSSシリーズ(ステンレス製)の六角穴付ボルトを推奨しています。

ボルトは組立構造品において非常に重要なパーツです。

前号でも申し上げました様に、用途に応じたボルトを適切なトルクで締め付けて使用する事が大切です。

 

博士「どうじゃ、あるる、思い出したかの?」

あるる「はいっ! もう、しっかりと! あるるは最初「ざきん」って呼んでいたことまでハッキリと思い出しました!」

博士「ふぉっふぉっふぉっ、ザキンか、そりゃあいい。「ザギンでシースー」みたいじゃのぅ(笑)」

あるる「(真顔で)なんですか、それ?」

博士「おお、あるる世代にはもう伝わらないか。忘れておくれ」

あるる「いえ! なんだか楽しそうなんで、おじいちゃんに聞いてみます!! ザギンでシースー!!」

博士「いや、それはどうでもよいのじゃ。あるるよ、大事なのは座金、ざがねじゃぞ!!」

あるる「わかってますって! ザキ・・じゃなくて「ざがね」、座金、大事ですよね〜〜(^-^)v」

博士「う〜む、大丈夫かのぅ。どうも不安しか感じないのじゃが・・・」

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