【今月のまめ知識 第13回】 座金組込みボルトを標準としているわけ
公開日時:2014/04/22
あるる「ふんふぅ〜ん♪ らららぁ〜♪」
博士「おはよう、あるる。今日は朝から元気がよいのぅ。何をしているんじゃ?」
あるる「おはようございます! 前回、ネジの大切さを学んでから、
日夜ネジが緩まぬように、キュっキュと締めているのです! 今日もほら!」
(と、アルミ製のラックを指差すあるる)
博士「・・・・あるる・・・気持はとっても嬉しいんじゃが・・・」
あるる「え? 博士、どうしたんですか?」
博士「こっちに来てごらん。ほら、こんなに傷が付いてしまっているよ」
あるる「わっ! ホントだっ! 博士、ごめんなさいっ(><)!」
博士「いやいや、謝るほどのことでは…。ここはそんなに見えないから…」
あるる「そんなに力一杯やったつもりはないのになぁ…(しょぼん)」
博士「あるるのせいだけじゃないぞ。ボルトのせいでもあるんだよ」
あるる「はかせぇ… 今日はなんか、優しい…」
博士「そうじゃ! 丁度いいので、今日はもう少し「座金」について、勉強してもらうとしよう」
前回の後半で「座金(ざがね)」に関しても説明しましたが、
当社は「ばね座金」と「平座金」を組み合わせた「座金組込みボルト」を標準化しています。
今回は座金についてもう少し詳しくお話し、「標準化の理由」も合わせてご説明したいと思います。
なぜ2種類の座金を組み合わせるのか?
ばね座金の効果や、ばね座金と平座金の組み合わせによる有効性は、
前回の“座金の有効性”で説明した通りです。
ばね座金を使用することで、緩み方向に戻るときに食い込み、ある程度抵抗を発生させるのですが、
ばね座金のみだと相手の部材に傷をつけてしまいます。
相手がアルミニウムであれば、その傷はかなり目立つものになります。
そこで、平座金を入れることで、被締結材を守ることができます。
バネ座金のみだと、こんな風に傷がついてしまいます。
平座金は、ボルト座面あるいはばね座金の被締結物への接触面積が、あまり大きくありません。
高張力のボルトを使用した場合、相手がスチールならばよいのですが、
それより耐力の低いアルミニウム合金では、ボルト座面の面積では面圧が高くなり、余裕がありません。
平座金は、被締結物であるアルミニウム合金に大きな負荷が掛かることを防ぐことができるので、
平座金とばね座金を組み合わせて使用することが有効となるのです。
「平座金」と「ばね座金」を組み込んだボルトの標準化
平座金とばね座金を組み合わせて使用することがが有効であることは、おわかりりいただけたでしょうか?
しかし、組付け時にボルトにばね座金と平座金を組み込むことは手間であり、
ボルトを多数使用するアルミフレーム組立品においては、大きな負担となります。
そこで当社では、この2種の座金を組み込んだボルトを標準品としているわけです。
当社の座金組込み型ボルトは、次の4種があります。
APBシリーズ:スチール製で低強度
APBSシリーズ:ステンレス製で低強度
CSWシリーズ:スチール製で高強度
CSWSシリーズ:ステンレス製で高強度
APBシリーズは「アプセットボルト」
CSWシリーズは「座金組込み六角穴付ボルト」です。
APBシリーズをご使用になるときのポイント
APB,APBSシリーズは低強度ですが、仮締めまで十字ドライバーを使用できるので、
素早く組み立てることが出来ます。
本締めはソケットレンチ(ラチェットレンチ)やスパナ,メガネレンチを使用してください。
なお、ソケットレンチを使用する場合、
M6は差し込み角6.35mm、M8は差し込み角9.5mmをお勧めします。
理由は2つ。
ひとつは、上記推奨サイズより大きいものだと
低強度のAPB,APBSシリーズをネジ切る可能性があること。
もうひとつは、ソケット外形が大きくABLDタイプのブラケットのリブ内幅に入らないからです。
このことから、上記に述べた差し込み角を推奨しています。
ABLDタイプ(M8)のブラケットを、差し込み角9.5mmで締めています。
ソケット外径がブラケットのリブ内幅にきっちり入っています。
CSWシリーズをお使いになるときのポイント
CSW,CSWSシリーズは六角棒レンチを使用し、強固な締結を実現できます。
ただし、ABLBシリーズ(ブロックブラケット)の様な、ボルト取付け部がザグリとなっているブラケットや、アルミフレーム自体にザグリ加工して締結する場合には
使用出来ないので、ボルト単体で使用します。
ボルト取付部がザグリとなっている、ABLBシリーズ(ブロックブラケット)
この様な場合には、ザグリ穴用に座金のないCSシリーズ(スチール製)や
CSSシリーズ(ステンレス製)の六角穴付ボルトを推奨しています。
ボルトは組立構造品において非常に重要なパーツです。
前号でも申し上げました様に、用途に応じたボルトを適切なトルクで締め付けて使用する事が大切です。
博士「どうじゃ、あるる。よくわかったかな?」
あるる「はいっ! 座金ひとつで、随分違うんですねー。あんなに小さいものなのに…」
博士「ふぉっふぉっふぉっ。ネジの世界はデリケートなのじゃ」
あるる「傷つけちゃったラックには「ばね座金」しかついてなかったってこと?」
博士「正解! でも、あるるは結構力持ちなんじゃな。それか握力があるのか・・・」
あるる「はい?」
博士「だって、なかなかあんなにカタくは締められないぞ」
あるる「いやぁ、それほどでも・・・ (〃∇〃) ♪」
博士「・・・別に褒めてるわけでもないんじゃが・・・・」