いまさら聞けない基礎用語【ウ】#006 ウェーバー・フェヒナーの法則 

公開日時:2022/02/23

ウェーバー・フェヒナーの法則 Weber–Fechner law

あるる「みなさん、こんにちは。基礎用語、案内役のあるるです。

今月注目する用語はコチラ! 皆さん、舌を噛まないように発音してくださいね♪

 

今月の基礎用語:ウ#006
ウェーバー・フェヒナーの法則 Weber–Fechner law

 

あるる「この法則を学んだのは『騒音について(続)』の講義でしたね」

博士「その通り。「うるさい」と感じる音は人それぞれ。心理学と物理学を合わせて考える必要があるのじゃ」

あるる「そうなんですよね。ものづくりって、人の気持ちまで考えなければならないなんて、どんだけ奥深いことか!!」

博士「そうじゃのぅ。確かに奥は深いのぅ。だから面白いのじゃ♪」

あるる「確かに! あるるも少しですけど、その面白さがわかってきた気がします。

その思いを改めて博士にお伝えしたいんですけど・・・言ってもいいですか? ちょっと恥ずかしいんですけど・・・(もじもじ)」

博士「なんじゃ、遠慮せずに言ってみなさい」

あるる「あ、はい。 では・・・(コホン) う、ウェエエエエエエーーーーーイ♪♪♪ きゃぁ、やっぱり恥ずかしい〜〜〜〜(/ω\)」

 

騒音に関して心理学と物理学を合わせて考える必要がある中で、今回は心理、感覚面で少し掘り下げてみましょう。

物理学の面では音圧レベルが対数関数で表せますが、人間の感覚となると、体調や天候等のコンディションによっても感じ方に個人差があり、聴覚がとらえた騒音を、音圧などの物理量では正しく表現できません。

そこで、おもしろい法則に注目してみたいと思います。

まずは「ウェーバーの法則」から

エルンスト・ウェーバーという心理学者が、1834年に行った実験から、『ウェーバーの法則』を発見しました。

 

【こんな実験でした】

100gの重りを持っている人に少しずつ「おもり」を増やしていきます

●100gのおもりが110gで差を感じたとするなら

●200gの場合には、220gになってやっと差を感じ

●210gや215gになった時では、200gの時との違いを感じ取れない

 

 

つまり、人間の感覚は「量」ではなく「比」で感じているということを発見したのです。

ちなみに、ここで出した数値は、実際の値ではなく分かりやすい数値でお話ししています。

 

⊿R/R=K
⊿R:弁別閾
R:刺激量
K:定数(ウェーバー比)

 

「弁別閾(べんべついき)」とは、差を感じることができる「最小の量」であり、弁別閾と原刺激の比が一定であるという法則です。

 

ウェーバー・フェヒナーの法則

次にウェーバーの弟子のグスタフ・フェヒナーが、人間の感覚量は刺激量の対数に比例すると主張しました。

これを、『フェヒナーの法則』と言い、この法則はウェーバーの法則から導き出されたので、『ウェーバー・フェヒナーの法則』とも呼ばれています。

 

E=K・log R
E:感覚量
K:定数
R:刺激量

これは人間の五感において中程度の刺激に関して当てはまるようです。

 

聴覚についてはまめ知識「騒音について」の音圧レベルでお話した通りですが、視覚については輝度、照度です。

 

一番明るい星が1等星、人間が見える一番暗い星が6等星ですが、その明るさの比は100倍であり、よって1等級につき100の5乗根という比率になるわけです。

 

この定義からマイナスX等星といった範囲外のものも表現可能となっています。

 

また、地震の大きさを表すマグニチュードとそのエネルギー(J:ジュール)も対数の関係にあり、マグニチュードが1増加するとエネルギーは、10√10(≒31.62)倍になります。

 

人間はこのそれぞれにおいて、同じ変化量と感じ取るようです。

この法則は音、味、匂い、明るさ、寒さ暖かさ、お金、時間にも当てはまる

そして『ウェーバー・フェヒナーの法則』が成り立つ感覚量には、音、味、匂い、明るさ、寒さ暖かさ、お金、時間に至るまで当てはまるようです。

 

たとえば、濃い味に慣れていると微妙な味の差に気づきにくいとか、100円のものを20円値引きしてもらうのと、1000円のものを20円値引きしてもらうのとでは同じ金額なのにお得感が異なるとか。

 

人間はとても広い幅で物事を感じることができますが、定量で分割された物差ししか持っていなかったら繊細なもので微妙な差を感じ取れなかったり、大きな量では数値が煩わしく処理するために大変なエネルギーを消費することになります。

 

感覚は個人差もあり客観性や数値化は大変難しいところですが、人間が感覚を対数で持っているというのは極めて合理的なことではないかと思います。

博士「あるるよ、『うぇぇーーい♪』ってなってしまったので、ちょっと心配しておったが、感心、感心、よくまとめられておるぞ」

あるる「ありがとうございます。ちょっとやってみたかったんですが、気が済みました。封印します(笑)」

博士「そのあるるの恥ずかしさも、数値化できたら面白いのにのぅ」

あるる「それはいいですね! ぜひ研究してください。『アルル・アルファーの法則』なんつってぇ〜」

博士「アルルの名前も入るんじゃな。しかも最初に(笑)」

 

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