【今月のまめ知識 第67回】 騒音について
公開日時:2018/10/29
とあるのんきな朝の通学路・・・
博士「おはようあるる! 今日もいい天気じゃのぅ」
あるる「あ、おはようございます。偶然ですね。この道で会うなんて」
博士「そういえばそうじゃな。て、あるるがいつもギリギリすぎるんじゃ」
あるる「てへ。でも、今日はおじいちゃんと一緒に早起きして、ラジオ体操もしたんですよ!(自慢げ)」
博士「そうか、それは感心、感心」
〜突然、ドドドドドドドド〜ッという大爆音が辺りに鳴り響く〜
あるる「ひっ!!(驚) わぁ〜、びっくりしたぁ〜!(◎_◎;)」
博士「おお、△□●×*★□△◯◯◯@**」
あるる「・・・はいっっ? なんですって?! 聞こえません!」
博士「道路工事が始まったんと言ったんじゃ」
あるる「うるさくて聞こえませんでしたよ。この騒音、ひどいですね。なんとかならないんですか?」
博士「いやいや、あるるよ。簡単に「騒音」と決めつけてはいかんぞ。工事で出す音は厳しい規制がかけられているのじゃから、大きな音=騒音ではないかもしれんのだぞ」
あるる「え、そうなんですか? 大きな音はすべて「騒音」じゃないんですか?」
博士「ふっふっふっ、この辺りは奥が深くてのぅ・・・知りたいか? 知りたいのじゃろう、え、あるるよ」
あるる「・・・ええ・・まぁ・・・」
博士「よろしい。では、これから詳しく話してしんぜよう。さぁ、急ぐぞ、あるる!」
あるる「あ、・・・は、は〜い・・・(やれやれ)」
「騒音」とはどんな音なのか?
第15回にて「防音」とは何か?をお話ししましたが、今回はそれが必要な原因である騒音についてお話します。
但し、法令や規制などは厚生労働省のHPにありますので、ここでは触れません。
まず、音とは皆さんご存知の通り空気の振動です。音はエネルギーであり、音力発電というものまであります。
そして音楽などの楽音と、そうでない噪音があり、噪音の中に騒音と雑音があります。
騒音には色々な定義がありますが、JIS Z8106:2000音響用語によれば、「不快なまたは望ましくない音、その他の妨害」となっています。この表現からわかる通り、騒音とは心理学と物理学を合わせて考える必要のあるものです。
今回は、物理学の面でお話しましょう。
物理的に見る騒音
機械や工場の騒音を計測するときの単位は音圧レベル[dB]です。
dは10-1を表す接頭語であり、Bは電話を発明したベルのBです。
空気中で音波が伝わるとき、空気が圧縮と膨張を繰り返すことで波が伝わります。
通常の大気圧は1013hPa(静圧)ですが、この波により圧力の高い部分と低い部分ができます。この変化した圧力と静圧との差を音圧といいます。
通常我々が聞くことが出来るのは音圧で20μPaから20Paと言われており、この20μPaを基準音圧( P0 )とし0dBとしています。
そして、特定の音圧( P )の時の音圧レベル( L )は以下の式で表されます。
このグラフをみてわかる通り、80dBは60dBの10倍の大きさ(音圧)の音です。
では、80dBの騒音を出す機械が2台並んでいたらどうでしょうか?
圧力同士を加えることは出来ないので、次式で計算します。
音と距離の関係
次に距離との関係ですが、音の強さは点音源では距離の2乗に反比例し、線音源では距離の1乗に反比例します。
何故この違いがあるかと言うと、点から球体状に広がる場合、半径が2倍の場所ではその球面の表面積は4πr2ですから、半径の2乗に比例して4倍になります。
線から円筒状に広がる場合、半径が2倍の場所では音源の幅をBとすると、その円筒面の表面積は2πrBとなり半径に比例します。
点音源の場合
となります。