いまさら聞けない基礎用語【コ】#037 コーナーブラケット

公開日時:2024/09/25

みなさん、こんにちは。基礎用語、案内役のあるるです。
今回注目する基礎用語は、コチラ!
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今月の基礎用語:コ #037
コーナーブラケット
corner bracket

 

博士「あるるよ、今年の夏休みはどうじゃったかの?」

あるる「はいっ! 今年はおじいちゃんと一緒にカーレース観戦ができたんです! めちゃめちゃかっこよかったぁ〜〜」

博士「そうか、それはよかったのぅ。F1は男のロマンじゃからな」

あるる「博士もお好きなんですね! ちょうど席がコーナー近くだったので、ブギィィィ〜〜〜〜〜・・・ギュン!!!みたいに、ものすごい爆音とともにあっというまに走り去っていくんです〜」

博士「F1じゃと時速300キロは越えるからのぅ」

あるる「おまけにタイヤのゴムが焼けるような匂いは襲ってくるわ、道路にもいっぱいタイヤの跡が残ってるわで、それはもう大・大・大迫力でしたっ\(^o^)/」

博士「そうか。その感動は現場でしか味わえまい。いやー、本当に良い経験をしおったのぅ」

あるる「はいっ! おじいちゃんに感謝です。それにしても、あんなにスピード出して、みんなよくコーナーを曲がり切りますよね。中には火花を散らしてキキキ〜〜ッってなっている車もありましたし・・・」

博士「コーナーといえば・・・あるるよ。以前、全速力で走ってコーナーを曲がりきれずに、大胆にすっ転んだことがあったのぅ(笑)

あるる「えーーー、よく覚えてますねぇ〜(笑)そうそう、あの時は痛かったなぁ〜〜」

博士「その時も話をしたが、覚えておるか? コーナーを制するものは・・・」

あるる「レースを制す!でしたよね」

博士「そしてそのあとは?」

あるる「えっと、えっと・・・F1が迫力ありすぎて、すっとんじゃいました」

博士「ふぉっふぉっふぉっ。あるるらしいのぅ。よし、今日は「コーナー」をテーマに復習じゃ!」

あるる「はいっ!! F1気分で、よろこんでぇ!!」

コーナーブラケットについて

アルミフレームの接続に使用するコーナーブラケットは、

その取付方向により強度が大きく異なります

 

当社フレームのAFS-3030L-6をT型に組み合わせ、1個のブラケットABLD-30-6-Nで接続した試験結果を示します。

 

試験方法は下図の通りです。

1000mmの位置で荷重を掛け、フレームのたわみの影響を除くために、接続面から45mmの位置で変位を測定しています。

このように、圧倒的に引張り時が強くなっています。

 

では、ブラケットが圧縮の場合と引張りの場合で、どのように違いがあるのかを説明します。

ブラケットに圧縮方向の荷重がかかる場合

F1を支点としてボルトB1が引張られ、アルミフレームの溝にも引張り応力が掛かります。

 

ボルトB1を支点としてF1点でブラケットに圧縮応力が掛かります。

 

F2を支点としてボルトB2が引張られ、アルミフレームの溝にも引張り応力が掛かります。

 

ボルトB2を支点としてF2点でブラケットに圧縮応力が掛かります。

ブラケット本体には、F1~F2間で圧縮応力が発生します。

 

 

また、荷重方向のせん断力により、S2面にせん断力が掛かり、滑らせようとする力が掛かります。

ブラケットに圧縮方向の荷重がかかる場合

ブラケットに引張り方向の荷重が掛かる場合

F3を支点としてボルトB3が引張られ、アルミフレームの溝にも引張り応力が掛かります。

また、ブラケットにも引張り応力が掛かります。

 

F4を支点としてボルトB4が引張られ、アルミフレームの溝にも引張り応力が掛かります。

また、ブラケットにも引張り応力が掛かります。

 

 

ブラケット本体には、B3~B4間で引張り応力が発生します。

また、荷重の掛かっている部材がF4を支点として時計回りに回転しようとするので、S3面にせん断力が生じ滑らせようとする力が掛かります。

 

圧縮でのB1~F1の距離と、引張りでのB3~F3の距離を比べた場合、B1~F1<B3~F3 となるので、レバー比から圧縮時の方がボルトに大きな張力が掛かります。

 

それも要因のひとつですが、変位量に対して大きく影響しているのは、荷重の掛かっている部材に時計回りに発生する回転力に対する抵抗力です。

 

その抵抗力としては、圧縮時ではボルトB1の軸方向の力のみですが、引張時にはボルトB3を支点としてF4点を相手部材に押し付け、その反力としてS3面の摩擦力が大きな抵抗力として働きます。

 

ブラケット自体の強さはX-X’面の断面係数が重要であり、特に圧縮時の破壊強度に影響しますが、実際のフレーム変位量は、溝の強度(引張に対する)やブラケットとフレームの摩擦力に大きく影響を受けているということです。

 

この試験は、T型に組み合わせて単体での強さを見ていますが、実際にはH型や口型に組み合わせることが多いので、次にそれらの場合のことを記します。

 

ブラケットに引張り方向の荷重が掛かる場合

H型に組み立てた場合

H型、両端支持では荷重の掛かるフレームの剛性が充分であればブラケット部にかかる回転モーメントは小さくなり、ブラケットが下側の場合はS5、S6面の摩擦力で決まります。

 

ブラケットが上側の場合にはS7、S8面の摩擦力に加え、B7、B8ボルトとその相手のフレーム溝強度が問題となります。

 

H型に組み立てた場合

口型に組み立てた場合

そして、装置架台など口型に組み立てた場合ですが、上図の例では、A,Dのブラケットには圧縮が、B,Cのブラケットには引張が掛かります。

 

つまり、変形に対する抵抗力の大部分はB,Cの2個のブラケットが受け持っています。

 

四角形で横から荷重が掛かった場合

アルミフレームの構造物において、このような横からの荷重で平行四辺形のように変形することに対しては、下図のようなラーメン構造が非常に有効になります。

 

ラーメン構造

アルミフレームの構造物では色々な条件によってボトルネックが変わるので、ブラケットの強度を単純な数値で表現することは困難ですが、特性を理解して、ブラケットの取付け方を考えることで、より良い設計が可能となります。

あるる「博士ぇ! 思い出しました!!」

博士「あるるよ、どうした急に、大きな声を出しおって」

あるる「ラーメンです! 大事なのはラーメンでした!!」

博士「ふぉっふぉっふぉっ。やっぱり『ラーメン構造」という言葉に反応しおったか(笑)そこは昔も今も変わらんのぅ」

あるる「はいっ!! ラーメン大好き、ラーメン小僧♪です!!」

博士「いろんな味がからまって美味しいラーメンのスープになるように、構造物もいろんな角度から考えていかんとな」

あるる「はいっ! では、博士、もうお昼ですから、これからラーメンを食べながら、引き続きラーメン構造についてお話しきかせていただけますか?」

博士「もちろんじゃ」

 

 

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