いまさら聞けない基礎用語!【キ】#021 幾何公差
公開日時:2023/05/31
幾何公差(きかこうさ)ってなんだ?
みなさん、こんにちは。基礎用語、案内役のあるるです。
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今月の基礎用語:キ #021
幾何公差(きかこうさ)
geometric tolerance
あるる「ふふふんふんふんふ〜ん♪」
博士「おや? あるるが書いているのは、フォトフレームの設計図かの?」
あるる「はい! 2019年のクリスマスにおじいちゃんにプレゼントしたら、
とっても喜んでくれて♪
今年は『父の日ならぬ“じじの日”にもうひとつ欲しい』と、
珍しくリクエストをもらったので、気合を入れて作ってます」
博士「それは楽しみじゃのう。おじいさんも喜ぶぞ〜」
あるる「はいっ!! 今年はもうちょっと大きなサイズに挑戦してます」
博士「2回目なので、わかっておるとは思うが、寸法とは言わず・・・」
あるる「はいっっ!!! 〝サイズ公差〟と〝幾何公差〟ですよね。
以前教えてもらったので、わかっているつもりなのですが・・・。
ちょっと心配になってきちゃいました。一緒に確認してもらってもよいですか?」
博士「もちろんじゃ。おじいちゃん孝行のあるるのためなら、
ひと肌もふた肌も、白衣だって脱いじゃうぞ〜〜〜」
あるる「あ、いや・・・白衣は・・・遠慮しときます(キッパリ)」
博士「え〜〜〜〜・・・(ザンネン)」
サイズ公差と幾何公差
近年、「幾何公差」ということが強く言われています。
従来、形体のサイズもその形体の位置関係も、そのすべてを寸法公差方式としていました。
しかし、2016年3月のJIS改正により、寸法はサイズという表現になり、長さを表す「サイズ公差」と、形状・位置関係を表す「幾何公差」が別のものとされました。
サイズ公差は2点間の長さ、幾何公差は形状偏差であり、それぞれ独立したものです。
それは下図により理解できると思います。
この例では、サイズ公差は合格ですが、幾何公差(平面度)は不合格です。
逆に、幾何公差が合格で、サイズ公差が不合格の場合もあるわけですから、サイズ公差と幾何公差は独立しているわけです。
これまで日本の製造現場では、図面に幾何公差の記入がなくても、優秀な製造現場側が「この寸法公差が記入されているから、平面度や直角度も相応に必要であるだろう」と解釈して、精度の良いモノを作ってきたので、不具合が出ることはあまりありませんでした。
しかし、グローバル化が進むと、それは通用しなくなってきたわけです。
幾何公差の種類
各々の幾何特性に関しては調べてもらえばよいので、ここでは説明しません。
アルミニウム合金押出形材の幾何公差
さてここで、アルミニウム合金押出形材の幾何公差についてみていきましょう。
機械加工を行っているわけではないので、この規格で表すことが出来ないのですが、曲がり、平さ、ねじれはJISで以下のように規定されています。
アルミニウム合金押出形材の精度
アルミニウム合金押出形材の精度に関しては、
【今月のまめ知識 第39回】アルミフレームの精度を理解した設計について にて説明していますが、
上記JISでの曲がりの許容差だと80mm角、長さ2000mmのアルミフレームは特殊級で
任意の箇所の長さ300mmにつき0.3mm
2mmと大きな値ですが、使用されていてそのようなイメージは無いと思います。
実際にサンプリングして計測してもほとんど、0.5mm以下なのですが、上記の第39回で説明している通り機械加工品ではないので、ごく稀ではありますが曲がりの大きなものがあります。
曲がりやねじれの大きな材料を、機械加工にて平面度を出そうとしてもバイスでのクランプにより変形を生じさせるため、全側面複数回の加工が必要となりコスト高となってしまいます。
現実的には検査選別が有効です。
概ね実用精度はありますが、機械加工品ではないという事をご理解の上でご使用ください。
あるる「ふー。やっぱり計算がいっぱいあると、緊張しますね」
博士「そうか。でも、そばで見ていると、以前よりは理解がスムーズだし、計算も早くなっていたぞ」
あるる「そうですか! やったー! それはうれしい\(^o^)/」
博士「ふぉっふぉっふぉっ。あるるは素直じゃのう。
では、頑張ったご褒美に・・・(ゴソゴソ)」
あるる「あ、白衣は脱がなくて結構ですからね!」
博士「じゃ〜〜〜〜ん!!!」
あるる「あっ! チョコレートだっ!\(^o^)/」
博士「慣れてきたとはいえ、頭を使ったら糖分は取らなきゃのぅ」
あるる「ありがとうございます。これでもうひと頑張りできます!
おじいちゃん、待っててねぇ〜。素敵なフォトフレーム作るからねぇ〜♪」