【今月のまめ知識 第80回】幾何公差
公開日時:2019/11/27
とあるのんきな朝のひと時
あるる「ふふふんふんふんふ〜ん♪」
博士「おはよう、あるる。今日も朝からご機嫌じゃのう」
あるる「あ、博士、おはようございます」
博士「何を一生懸命、書いておるのじゃ?」
あるる「あ。もうすぐクリスマスなので、おじいちゃんに手作りのフォトフレームを
プレゼントしようと思って、今、デザインや寸法を考えていたところなんです」
博士「おお、それはえらいのぅ。どれどれ、見せてごらん」
あるる「ええ〜、恥ずかしいなぁ〜。まだラフラフの状態ですからね」
博士「おお、カッコよくできているではないか! さすがわしの教え子じゃ」
あるる「てへ(照)それほどでもぉ〜(ドヤ顔)」
博士「しかしな、あるるよ。この数字なのじゃが・・・」
あるる「へ? 寸法ですけど。なにかおかしいですか?」
博士「サイズはわかるが、幾何公差が抜けておるぞ」
あるる「き? きか? きかこ? なんですか、それ? 美味しいんですか?」
博士「食べ物ではない。〝きかこうさ〟じゃ。今は〝サイズ公差〟と〝幾何公差〟を
別々に考えなければならん時代なのじゃぞ」
あるる「え?え? なに、なに?」
博士「さらにじゃ、今は〝寸法〟という言葉も使わん」
あるる「え?ええ? どういうこと???」
博士「にやっ、知りたいかの?」
あるる「もちろんです! クリスマスまでに間に合うように教えてください!はやく、さぁ早く!!」
幾何公差
近年、幾何公差ということが強く言われています。
従来は、形体のサイズもその形体の位置関係も、そのすべてを寸法公差方式としていましたが、2016年3月のJIS改正により、寸法はサイズという表現になり、長さを表す「サイズ公差」と、形状・位置関係を表す「幾何公差」が別のものとされました。
サイズ公差と幾何公差
この例では、サイズ公差は合格ですが、幾何公差(平面度)は不合格です。
幾何公差が合格で、サイズ公差が不合格の場合もあるわけですから、サイズ公差と幾何公差は独立しているわけです。
これまで日本の製造現場では、図面に幾何公差の記入がなくても優秀な製造現場側がこの寸法公差が記入されているから平面度や直角度も相応に必要であるだろうと解釈して精度の良いモノを作ってきたので、不具合が出ることはあまりありませんでした。
しかし、グローバル化が進むとそれは通用しなくなってきたわけです。
幾何公差の種類
各々の幾何特性に関しては調べてもらえばよいので、ここでは説明しません。
アルミニウム合金押出形材の幾何公差
アルミニウム合金押出形材の精度
アルミニウム合金押出形材の精度に関しては
【今月のまめ知識 第39回】アルミフレームの精度を理解した設計について にて説明していますが、
上記JISでの曲がりの許容差だと80mm角、長さ2000mmのアルミフレームは特殊級で
任意の箇所の長さ300mmにつき0.3mm
2mmと大きな値ですが、使用されていてそのようなイメージは無いと思います。
実際にサンプリングして計測してもほとんど、0.5mm以下なのですが、上記の第39回で説明している通り機械加工品ではないので、ごく稀ではありますが曲がりの大きなものがあります。
曲がりやねじれの大きな材料を、機械加工にて平面度を出そうとしてもバイスでのクランプにより変形を生じさせるため、全側面複数回の加工が必要となりコスト高となってしまいます。
現実的には検査選別が有効です。
概ね実用精度はありますが、機械加工品ではないという事をご理解の上でご使用ください。
博士「どうじゃ、あるる、幾何公差がなんたるものか、わかったかの?」
あるる「は、はい〜、、、サイズ公差と幾何公差を別々に考えなければならない、ということだけはわかりましたが、、、う〜ん」
博士「なんじゃ、どうした? 元気がないぞ」
あるる「難しい計算が多くて、アタマが疲れちゃいました」
博士「ふぉっふぉっふぉ〜。あるるにしては、よく頑張ったの。甘いモノでも食べて、少し休むと良いぞ」
あるる「はい〜」
博士「おや? 甘いモノ、食べたくないのか?」
あるる「あ、食べますが、もちろん食べますけれども、、、。こんな感じで、おじいちゃんのプレゼント、作れますか?」
博士「なんじゃ、そんなことを心配していたのか? 大丈夫じゃ!わしがちゃんと最後まで面倒見るから、安心しなさい。世界一ステキなフォトフレームを作ろうではないか!」
あるる「はいっ!!!ありがとうございます!!! 安心したらお腹がすいちゃいました。おやつ、食べてきまーす!」
博士「おお、手を洗ってからじゃぞ〜!」
博士「おじいちゃんのことが大好きなんじゃな。良い子じゃ、良い子じゃ」