いまさら聞けない基礎用語【シ】#045 樹脂板

公開日時:2025/05/28

みなさん、こんにちは。基礎用語、案内役のあるるです。
今回注目する基礎用語は、コチラ!
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今月の基礎用語:シ #045
樹脂板(じゅしばん)
(resin board)

あるる「博士ぇ〜、ちょっと休憩しましょう。冷たいオレンジジュースをどうぞ〜」

博士「おお、あるるよ。気がきくのう。どうもありがとう」

あるる「いえいえ、今日もためになる授業をありがとうござ・・・

あるる「あ”っ!!!」

博士「あっ!!」

(ガッシャーン)

あるる「わ〜〜、コップが! ジュースが!!!(泣)」

博士「割れてしもうたのぅ。慌てるでない。形あるものはいつかは崩れる。ガラスの破片に気をつけるのだぞ」

あるる「こめんなさいっ!! はいっ、気をつけて片付けます」

あるる「でも・・・ガラスのテーブルはなんともないのに、なんでコップだけ割れちゃったんだろう???」

博士「このテーブルはガラスではないぞ。樹脂じゃ。見た目はガラスにそっくりじゃが、樹脂じゃから割れたりしないのじゃ」

あるる「え? 樹脂なんですか? ガラスの方が固そうなのに・・・」

博士「ふぉっふぉっふぉっ。あるるはまだ「樹脂は柔らかい」というイメージから抜け出せておらぬようじゃな。樹脂にもいろいろあるんじゃ。知りたいかの?」

あるる「はい、知りたい!です!」

博士「よし、では、とっとと片付けを済ませて、樹脂講座といこうかのぅ」

装置のカバーやグリーンブースに用いられる素材について

装置カバーやクリーンブースなどには、透明樹脂板がよく使われます。

主に、塩ビ(PVC)、アクリル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ペット(PET)4種類がありますが、意外とその種類や特徴を把握しないで選定されている人が多いようです。

 

どれも透明で、素人目には区別がつきにくいため、「似たようなものだろう」と思われても無理もありません。

 

また、メーカーによって物性データにも差があり、なかなか比較することは容易ではないのですが、良い機会ですので、ここできちんと理解していただきたく、概略イメージをとらえやすいようにまとめてみました。

 

PET、塩ビ、アクリル、ポリカ(左上から時計回り)

樹脂板特長比較表

注記)

・各メーカーの商品により差があります。
・コストイメージは板厚によって変わります。
・表面にハードコートなどを施したものもあります。

 

では、それぞれの特徴を簡単にまとめていきましょう。

4つの樹脂の特徴

●PET(ペット)

安価だが、連続使用温度(耐熱性)が低い。

経年変化で変色有り。

 

●PVC(塩ビ)

安価だが、連続使用温度(耐熱性)が低い。

経年変化で変色有り。

耐薬品性、難燃性に優れる。

 

●PMMA(アクリル)

抜群の透明度(無機ガラスをも上回る)と硬さで水槽やショーケースに使用される。

経年変化でも変色がほとんどない。

ただし、衝撃で割れやすい。

 

●PC(ポリカ)

耐衝撃性が高く、連続使用温度も高い。

防弾の盾などにも使用される。

高価。

 

詳しくは各メーカーの資料を調べてみて下さい。

高温環境での変形について

高温環境での変形については、どれも線膨張係数は同等で、

7×10-5程度です。

 

しかしながら、熱変形温度が異なるため、装置カバーに使用した場合などは、高温環境での変形度合いが異なります。

 

特に真夏に輸送中のトラック内や、熱帯地域の港でコンテナ内などは、外気の温度によっては60℃~90℃くらいになることもあります。

 

あまりの暑さに耐えきれず、樹脂が変形することもあり、その事態に泣かされた経験がある方も多いのではないでしょうか。

 

PCであれば熱変形温度は高いので、熱帯地域でのコンテナ内にも耐えますが、最も高価なのでためらう方も少なくないでしょう。

その場合には、板を固定する際に、押さえつけるのではなくフローティングして膨張を逃がしてあげることで、変形を防ぐことが可能です。

 

この目的で作られたのが フローティングホルダーです。 

フローティングホルダー

このホルダーを用いて、樹脂をフローティングする(浮かせる)ことで、外気の温度変化による樹脂板のたわみ等が解消されます。

このような特徴を理解して、適合する材料を選択してください。

 

また、コストに関して、現実としては板の歩留の影響が大きく、それを配慮した設計により、意外なコストダウンが可能なことを付け加えておきます。

 

(おまけ)NIC C棟会議室には4種の樹脂天板のテーブルがあります

以前、こんなところにアルミフレームの「 新設C棟 打合せ室の「4つのこだわり」を探せ!でご紹介した会議室のテーブルには、アクリル・塩ビ・PET・ポリカの4種の透明樹脂版をテーブルの天板に嵌め込んでいます。

 

それぞれ透明度、質感などの違いを肌で感じていただけますので、弊社にお越しの際にはぜひ、触っていただければ嬉しいです。

 

NIC立山工場C棟会議室の打ち合わせテーブル

テーブルのアップ。違いがおわかりになりますでしょうか?

博士「どうじゃ、思い出したかの?」

あるる「はいっ! それはもう鮮明に!! 4つの樹脂、それぞれの特長を教えてもらっておりました」

博士「それはよかった。これを機会にしっかり覚えておくように」

あるる「はいっ!! とすると、このテーブルの天板はアクリルですね?」

博士「正解。アクリルはガラスの17〜20倍、ポリカーボネート板はガラスの250倍近くも強度があるといわれておるんじゃ」

あるる「そんなに?! そいつはすごい! 樹脂について俄然興味が湧きました。もっと調べてみます! では早速、行ってきます!」

博士「この情熱が長続きすると良いのじゃが・・・」

 

 

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