【今月のまめ知識 第16回】 樹脂板の種類と特徴
公開日時:2014/07/29
あるる「はぁぁぁ〜、綺麗だなぁ〜」
あるる「・・・・・・・♪♪(うっとり)」
博士「どうした、あるる。今日はヤケにおとなしいのぅ」
博士「お、金魚じゃないか? どうしたんじゃ?」
あるる「昨日のお祭りで、金魚すくいしたんですよ。
この子と目が合っちゃって・・・ 可愛いでしょ♪」
博士「ふぉっふぉっふぉっ、あるるは小さな生き物が大好きじゃからのぅ」
博士「ところで、あるる。この水槽は、何でできてるか知っとるかな?」
あるる「ガラスですよね。透明だし、固いし・・・(コンコン)」
博士「ぶ、ブー。残念でした!」
あるる「えっ?違うんですか?」
博士「これはな、透明の“樹脂板”なんじゃよ」
あるる「樹脂板? 樹脂って、もっと柔らかいものなんじゃ・・・」
博士「ま、そんなイメージを持ってる人も多かろう。
よし、今日は樹脂板について、勉強してみようかの」
あるる「はいっ!」
装置のカバーやグリーンブースに用いられる素材について
装置カバーやクリーンブースなどには、透明樹脂板がよく使われます。
主に、塩ビ、アクリル、ポリカーボネート、PETの
4種類がありますが、意外とその種類や特徴を把握しないで
選定されている人が多いようです。
どれも透明で、素人目には区別がつきにくいため、
「似たようなものだろう」と思われても無理もありません。
また、メーカーによって物性データにも差があり、
なかなか比較することは容易ではないのですが、
良い機会ですので、ここできちんと理解していただきたく、
概略イメージをとらえやすいようにまとめてみました。
以前「こんなところにアルミフレーム」でご紹介しましたC棟応接テーブルの天板に使用している透明樹脂板です。実は装置カバーなどによく用いられる素材なのです。
注記)
・各メーカーの商品により差があります。
・コストイメージは板厚によって変わります。
・表面にハードコートなどを施したものもあります。
では、それぞれの特徴を簡単にまとめていきましょう。
4つの樹脂の特徴
●PVC(塩ビ)
安価だが、連続使用温度(耐熱性)が低い。
経年変化で変色有り。
耐薬品性、難燃性に優れる。
●PET(ペット)
安価だが、連続使用温度(耐熱性)が低い。
経年変化で変色有り。
●PMMA(アクリル)
抜群の透明度(無機ガラスをも上回る)と硬さで
水槽やショーケースに使用される。
経年変化でも変色がほとんどない。
ただし、衝撃で割れやすい。
●PC(ポリカ)
耐衝撃性が高く連続使用温度も高い。
防弾の盾などにも使用される。
詳しくは各メーカーの資料を調べてみて下さい。
高温環境での変形について
高温環境での変形については、どれも線膨張係数は同等で、
7×10-5程度です。
しかしながら、熱変形温度が異なるため、
装置カバーに使用した場合などは、
高温環境での変形度合いが異なります。
特に真夏に輸送中のトラック内や、熱帯地域の港でコンテナ内などは、
外気の温度によっては60℃~90℃くらいになることもあります。
あまりの暑さに耐えきれず、樹脂が変形することもあり、
その事態に泣かされた経験がある方も多いのではないでしょうか。
PCであれば熱変形温度は高いので、熱帯地域でのコンテナ内にも耐えますが、
最も高価なので、ためらう方も少なくないでしょう。
その場合には、板を固定する際に、押さえつけるのではなく
フローティングして膨張を逃がしてあげることで、
変形を防ぐことが可能です。
この目的で作られたのが フローティングホルダーです。
外気の温度変化により樹脂板のたわみ等が解消されます。
このホルダーを用いて、樹脂をフローティングする(浮かせる)ことで、
外気の温度変化による樹脂板のたわみ等が解消されます。
このような特徴を理解して、適合する材料を選択してください。
またコストに関して、現実としては板の歩留の影響が大きく、
それを配慮した設計により、意外なコストダウンが可能なことを付け加えておきます。
あるる「ねぇねぇ、博士! この水槽に使われているのは、
アクリル樹脂なんですね!」
博士「その通り!今日は覚えが早いのぅ、感心、感心」
あるる(ゴン! ゴン! ドン!)
博士「おいおい、あるる、そんなに叩いちゃ、
金魚がビックリするじゃないか」
あるる「だって博士、ガラスじゃないから、
多少ザツに扱っても、大丈夫なんでしょう?」
博士「・・・やっぱり半分しか聞いてなかったか・・・」
博士「ヤメなさい、あるる。アクリルは衝撃に弱いんじゃよ!」
あるる「えっ? そうなの?」
博士「ああ、授業でもそう言ったぞ。
ああ、もう、小さなビビが入っちゃったじゃないかっ!」
あるる「うぇ〜ん、ごめんなさ〜い」
博士「ふぉっふぉっふぉっふぉ、な〜んちゃって♪
あるるが叩いたぐらいじゃ、ビクともせんから、安心しなさい」
あるる「うわぁ〜ん、よかったよぅ」
博士「でも、二度と叩いちゃダメだぞ。
金魚も、金魚の住まいも大事に扱う。
これが良い子のすることじゃ。わかったの、あるる」
あるる「は〜い、わかりました〜」