いまさら聞けない基礎用語!【ク】#031 クリーンブース

公開日時:2024/03/27

今月注目する基礎用語はコチラ!!
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今月の基礎用語:ク#031
クリーンブース
Clean booth

博士「お〜い、あるるよぉ〜。こっちへおいで〜〜」

あるる「は〜〜い。なんですか、博士。もうすぐおやつの時間なんで、あんまり時間ないですけど、いいですか?」

博士「すぐすむからよいぞ。さぁ、あるるよ、このドアを開けてみておくれ」

あるる「・・・なんだろう? 開ければいいんですか? 開けますよ(ガチャ)」

あるる「わっ、もう一つ部屋がある!」

博士「そのままビニールシートをめくって、中に入ってみなさい」

あるる「はい・・・(おそるおそる)」

博士「あるるよ、これがかの有名な『クリーンブース』じゃよ。実物を見るのは初めてじゃろう?」

あるる「クリーンブースって、綺麗な空気のお部屋ですよね。そうか、これがそうなのかぁ〜。はじめまして、クリーンブースさん。あるるです〜」

博士「やけに礼儀正しいのぅ(笑)百聞は一見にしかず、やはり体験するのが一番の学びになると思って、ちょうど縁あって、短期間レンタルしてみたのじゃ」

あるる「ありがとうございます!! スーハースーハースーハー。うーん、気持ちいいっ!! さすがはクリーンブース、森林のような爽やかな空気を感じます! すごいなぁ〜、クリーンだなぁ〜」

博士「・・・。盛り上がっているところ悪いが、まだスイッチを入れてないんじゃ。一緒に変化を感じようと思っての・・・」

あるる「ええっ? そ、そうなのですね!! い、今のは預言です(汗)」 

クリーンブースとは?

クリーンブースは簡易的に囲われた空間に、天井または側面からHEPAフィルターを通したクリーンエアーを送りこみます。

そしてパーティクル(塵)を含んだ空気を排出し、ブース内を換気して清浄度を保っています。

一般的に各清浄度クラスでの1時間当たりの換気回数は、以下の通りです。

換気するという事は密封してはいけないわけで、排気する部分が必要となります。


フロアがグレーチングになっているクリーンルームでは、天井から供給されるクリーンエアーをフロア下へ排気しているのですが、一般のクリーンブースは床面との隙間から排気しています。

 

また、側面にコンベアなどの開口がある場合には、そこからも排気されます。

実はこの排気開口部の面積が重要となります。

 

この面積が広すぎると排気風速が低く、室内の対流や人の動きで発生する気流で、クリーンブースの外の空気がブース内へ逆流します。

逆に狭すぎると排気風速が早くなり、場合によっては床の塵などを巻き上げて周囲に悪影響を与える場合もあります。

 

そういった事から、通常は1.5~3m/sec程度の排気風速となるように開口面積を設定します。

 

仮に、3m×4m×高さ2mのクリーンブースに
10㎥/minのFFUが4台設置されている場合を想定すると

 

ブース容積
3×4×2=24㎥

クリーンエアー供給量(時間当たり)
10×4×60=2400㎥/min

となり、
1時間当たりの換気回数は

2400÷24=100回/時

となります。(ISO6相当です)

 

ここでブース下部周囲から排気するとして
その排気速度を2m/secに設定すると

 

排気面積は
2400÷3600÷2≒0.333㎡


となり、
ブース下面の隙間は

0.333÷(3×2+4×2)≒0.0238m→約24mm

となります。

 

都合により、ジャッキボルトでレベルを設計値より24mm上げたとすると、開口面積は2倍になり、排気風速は1m/secとなってしまいます。

(家庭用扇風機の風速はタイプによりますが、概ね1~4m/sec程度ですので、1m/secというのは扇風機の微風レベルと考えて良いでしょう)


これでは横を人が通ったレベルで外気がブース内に逆流してしまう可能性があります。
また、ブース内で吸引などを行っている場合はその風量を考慮しなくてはなりません。

この排気風速が心配で開口面積を狭くすると、パーティクルを含んだ空気がスムーズに排気されないことに加え、ブース内圧が高くなって支障が出ることがあります。

 

【まめ知識vol.62】空気、その圧力差で抗力の式を説明していますが、
排気風速2m/sec時の内圧は

となります。

 

Cd値は、パンチングメタルの穴や狭い隙間であれば最大1.4程度かと推定しますが、通常の十分な開口であれば、1で良いでしょう。

 

もし、開口面積が狭く、風速が5m/sec程度だったとすると(扇風機の強より少し強いくらい)、

となります。

これは1m2当たり15.06Nの力が掛かるわけですから、
0.9m×1.8mの扉に

 

重量換算で約2.5kgの荷重となりますから、扉の開け閉めにかなりの注意を要するレベルとなります。


簡易クリーンブースは簡単に設置できますが、換気回数や排気開口面積など注意しないと、その性能を活かしきれないことがあります。

博士「あるるよ、初クリーンブースはどうじゃな?」

あるる「はいっ! 隅々まで見させていただきました!! 頭ではわかっていても「密封」のイメージでしたので、隙間が重要といううこともよくわかりました!!」

博士「それはよかった。やはり百聞は一見にしかずだったようじゃのう」

あるる「はいっ!! しっかりインプットできました。もう忘れません!!!」

博士「ふぉっふぉっふぉっ。それは頼もしい。よし、復習もしっかりできたことだし、そろそろスイッチを入れようかの」

あるる「いよっ!待ってましたーーー\(^o^)/」

(うぃーーーーーん)

あるる「すーーはーーーーー、すーーはーーーーー・・・これがクリーンな空気かぁ・・・(しみじみ) さぁ、博士もご一緒に!!」

博士「わ、わしもやるのか?」

あるる「もちろんです! すーーはーーーーー、すーーはーーーーー」

博士「クリーンブールの中で深呼吸をやったのは初めてじゃが、意外と気持ちの良いものじゃのぅ〜(笑)」

 

 

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