アルファ博士の気ままにトーク♪ 第25話 富山県のお国自慢 〜自慢しないお国自慢~
公開日時:2025/06/25
アルファ流の「お国自慢」
「自慢」というと、最近では「SNSでのリア充アピール」などが連想されて、ポジティブだけではなくネガティブな受け取り方もあると思います。
そのような自慢の中でも「お国自慢」は「特別の地位を占めている自慢」だと、私は思っています。
歴史小説家の司馬遼太郎先生は、
「お国自慢というものは、自然に語られ、また微笑みを持って受け取られるもの」
と、確か「街道をゆく」の連載の中で、このような趣旨を書かれていた記憶があります。
それは、お国自慢というのは、自分の生まれ育った土地への愛情や愛着がベースにあるからなのだと思います。
自慢しないお国自慢
今日のお話は、「富山県」のお国自慢です。
なぜここで富山県のお国自慢を話そうかと思ったかというと、富山県に暮らす人たちは、お国自慢をほとんどしないからなのです。
私は、仕事の関係で富山に数年住んでいた際に感動したことを、アルファ博士の気ままにトーク♪ 第14話・第15話・第17話・第18話で紹介しました。
しかしながら、「富山の人は自分の国の話をしない、ましてや自慢話をすることがないのではないか」というのが私の見方です。
要するに自慢してもよいことがたくさんあるのに、内に秘めていて、語ろうとしないのではないか…ということなのですが、富山の人にとっては「自分のからだの一部」になってしまっているので、わざわざ話す対象として意識していないのかもしれません。
別の見方をすると「自慢しないのが自慢」ということにもなっているのかもしれません。
あるいは、「自慢できること」が人知れず秘密にされていることで、富山の良さがひっそりと大切に保存されているとも言えます。
今日は、『私目線のお国自慢10選』を順に紹介してしまおうと思います。
よく知られている有名なもは「有名度5」とし、ひっそりと保存されているものを「有名度1」とするなど、勝手にランキングもさせていただきました。
あくまで「私目線」ですので、諸々ご容赦ください(笑)
では、参ります!!
アルファ博士流・自慢しないお国自慢♪
お国自慢その1 〜立山〜 (有名度5)
富山の人にとって、『立山』は昔から信仰の場、修行の場として敬われてきました。
自慢というより畏敬の対象といえるでしょう。
その山系から流れ出る豊富な雪解け水は、用水で配られ、田畑を潤し、また電力を起こすなど、富山の生活と産業の基盤となっています。
富山では、小学6年生の時に学校行事で立山に登山する伝統があります。
立山を横断する「立山黒部アルペンルート」を使えば、以前アルファ博士の気ままにトーク♪ 第18話でもご紹介しましたが、雄大な山岳地形と貴重で美しい自然を身近に味合うことができます。
一方で、富山県から長野県へ抜けるこのルートを利用すると、富山が「通過する場所」になっているため、来訪者が富山にじっくり滞在してもらえない面もあるように思います。
室堂から見る立山
富山市内から見る立山 手前は富岩運河環水公園
お国自慢その2 〜山と海が近い〜 (有名度5)
標高3,000mの立山連峰・剱岳と、水深1,000mの富山湾が、数十kmの距離で隣り合っています。
立山町の会社から、立山も富山湾も「すぐそこ」の距離です。
極端ですが、午前中に立山に登ってから自転車で漕ぎ下り、午後には海岸で泳ぐスーパーマンもいるほどです(私はやりませんが・・・)。
生地鼻(いくじはな)の海岸から富山湾越しに望む立山
雨晴(あまはらし)海岸から富山湾越しに望む立山(ちょっと曇りで見えにくいですが)
お国自慢その3 〜種類が豊富で新鮮な魚〜 (有名度5)
富山湾は「天然のいけす」とも呼ばれることもあるようです。
豊富な種類の新鮮な魚が、すぐ近くの漁港から毎日上がってきます。
それは高級な割烹やお寿司屋さんだけではなくて、スーパーマーケットの魚コーナーに「地モノ朝どれ」のラベルが貼られて並びます。
以前ここでご紹介しましたが、「ホタルイカ」も「朝どれの生」が、その日の昼にはスーパーマーケットに並びます。
「豊かな海は豊かな森が育てる」と言われるように、富山湾の豊かな海は、富山の豊かな山々の森林から流れ出る滋養豊かな水が育てているわけです。
朝どれの魚のお刺身
朝どれのホタルイカ
お国自慢その4 〜落差日本一 称名滝〜 (有名度3)
称名滝(しょうみょうだき)は、日光の華厳の滝や、和歌山の那智の滝などと並び称される、壮大な滝です。
四段からなる滝ですが、全体の落差は350mで、これは日本一の落差になります。
雪解けの水量豊富な時期には、称名滝の右側に「ハンノキ滝」が現れ、これは称名滝を超える落差500mにもなります。
このような雄大な滝なのですが、それが(内緒ですが)いつ行っても大抵空いていて、駐車場もすぐに入れるのです。
ゆえに、壮大な自然をいつ行っても思う存分味わうことができる場所なのです。
空いている理由は、交通が若干不便な場所だからなのかもしれません。
アルペンルートの富山側の入り口となっている「立山駅」から、谷川(称名渓谷)沿いの道を8kmほどさかのぼる必要があり、ここは連絡バスもあるにはあるのですが、ちょっと寄り道というわけにはいかない場所だからでしょうか。
あるいはやはり、前述したようにアルペンルートの横断をメインの日程で計画すると、なかなかこちらへ立ち寄ることは、時間的にも難しいからかもしれません。
NICからは、クルマでなら50分ほどで滝の近くの駐車場まで行けてしまうので、これは地元の幸せといえるでしょう。
左側が称名滝、右側が雪解け時に現れるハンノキ滝
お国自慢その5 〜市街地はコンパクト〜 (有名度3)
富山県や富山市は、「暮らしやすい」「豊か」「幸福」などのランキングで1位、または上位にしばしば登場します。
その理由はいろいろあると思いますが、その一つが「市街地に暮らしの機能がコンパクトにまとまっている」ということがあるかと思います。
必要な機能が中心の市街地にコンパクトにまとまっていて、公共交通機関でアクセスしやすい、ということかと思います。
例えば、富山空港は、富山市の中心部、富山駅から約8kmの距離に位置していて、街の住宅地からクルマで10〜15分ほどで空港の駐車場まで到着できます。
富山市は、路面電車やバスを活用して、都市の機能を中心市街地に集積するよう「コンパクトシティ」の政策を推進しています。
コンパクトシティ富山 街を走る路面電車
お国自慢その6 〜郊外はゆったり広々〜 (有名度2)
市街地ではコンパクトシティを推進している一方、郊外はとても広々としているのが、富山のもう一つの良いところだと思います。
郊外の富山平野や砺波平野をクルマで走ると、見渡す限り水田が広り、とても広々としているのを実感します。
「砺波平野の散居村(さんきょそん)」は、社会科の教科書にも載っていて、よく知られていると思います。
周囲に広がる田園の中に、防雪・防風、日よけの役目を果たす屋敷林に囲まれた農家が1軒ずつ、ぽつん、ぽつんと、建っています。
この散居村が形成された理由はいろいろあるようですが、それぞれの農家が自分の周りの土地を開拓して米作りを行ってきたことから、広い場所に少ない数の農家が暮らしていることは明らかでしょう。
そして、豊かな水利や、敵が攻めて来ない平和な状態も、ぽつんぽつんと1軒ずつ離れていても大丈夫な理由になっているのだと思います。
山の上の展望台から見る砺波平野の散居村
お国自慢その7 〜豊富な水、分水、用水、おいしい水〜 (有名度2)
冬の間、立山やその山系に降り積もった雪は、春の訪れとともに解け始め、緑豊かな山々にたくわえられ、年間を通して豊富な水量を富山平野そして富山湾に供給し続けてくれます。
常願寺川などの取水堰から取り入れられた水は、「分水工(ぶんすいこう)」で、川の左岸側と右岸側に一定の割合で分けられて、用水で下流まで運ばれ、さらに細かく分水しながら、田畑そして浄水場に入っていきます。
アルファ博士の気ままにトーク♪ 第14話 で紹介した「富山市立図書館」でも触れましたが、
「住む人がおいしいと感じる水道水のランキング」で、富山県は全国第2位!
ちなみに、第1位は1ポイントの差で大山(だいせん)のある鳥取県です。
水を均等に分ける分水
用水を流れる豊富な雪解け水
お国自慢その8 〜仰ぎ見る剱岳の威容〜 (有名度1)
お国自慢その2で、山と海が近いことを上げましたが、当然のことながら富山県内の至るところから立山連峰にそびえる『剱岳(つづるぎだけ)』の雄大な姿を仰ぎ見ることが出来ます。
剣岳の標高は2,999 mで、立山、鹿島槍ヶ岳、唐松岳と並び、日本では数少ない氷河の現存する山で、日本百名山や新日本百名山に選定されているのです。
富士山ほどの知名度はありませんが、山名の由来ともされている剣のように鋭い岩峰は、とても険しく厳かな姿でありながら、四季折々の幻想的な姿に誰もが魅了されます。
朝日が昇る剣岳、そして夕日を浴びる剣岳など、一日を通して違う表情を見せてくれ、毎日私たちに癒しと元気を与えてくれています。
ちなみに、地元では「剣岳がより近くに見えると、もうすぐ雨が降る」と言うことがあり、天候の変化を感じ取ったりもします。
上市(かみいち)町から見る剣岳
お国自慢その9 〜 恐竜の足跡が出る古い地層〜 (有名度1)
アルファ博士の気ままにトーク♪ 第24話でも紹介したように、恐竜で有名なのは富山県のお隣のお隣「福井県」ですが、実は、この恐竜の化石が見つかった古い地層は、新潟県の西部から富山県、岐阜県北部、石川県南部、そして福井県まで続いている「手取層群」という地層です。
富山県の地層からは、まだ恐竜の骨格の化石は発見されていませんが、骨格の化石と同じく貴重な「恐竜の足跡化石」がたくさん見つかっています。
富山は隠れた恐竜王国だったのかもしれませんね。
恐竜の足跡が出る古い地層「手取層群」
恐竜の足跡化石の発掘地入り口(現在非公開)富山市大山(おおやま)地域
恐竜の足跡化石のレプリカ
お国自慢その10 〜おもむきのある街並み〜 (有名度1)
富山には、ノスタルジックな街並みが残る魅力的な場所がいくつかあります。
中でも、土蔵造りの町並みが残る『高岡市山町筋』と『富山市岩瀬大町』は、美しい町並みや自然豊かな風景を歩きながら楽しめるおすすめエリアです。
江戸時代から、商人の町として栄えた高岡市山町筋と、北前船の港町として栄えた富山市岩瀬大町は、どちらも毎年5月に大きな祭礼があるのですが、このお祭りも是非見て欲しいです。
高岡御車山祭(たかおか みくるまやま まつり)は、ユネスコ無形文化遺産に登録されている祭りで、金工、漆工、染織などの伝統工芸技術を駆使して装飾された7基の山車が山町筋の町を巡行し、受け継がれてきた歴史と伝統を楽しむことができます。
また、岩瀬曳山祭(いわせひきやままつり)は、12基の曳山車が勇壮に町を練り歩き、夜には山車どうしが激しくぶつかり合い、互いの力をくらべる「曳き合い」が行われます。この曳き合いの激しさから「けんか山車(やま)」という異名でも親しまれる歴史と伝統のある祭りです。
おもむきのある街並み 高岡市山町筋
おもむきのある街並み 富山市岩瀬大町
さて、いかがだったでしょうか。
今回は私目線で富山県のお国自慢10個のアイテムをご紹介しましたが、こうしてみると、今回挙げられなかったことも多いので、これはまた別の機会に第2弾、第3弾でお伝えしたいと思います。
「おわら風の盆」はその時まで、とっておきますね(^^)
ではまた!!