いまさら聞けない基礎用語!【イ】#005 イオン結合

公開日時:2022/01/26

イオン結合

あるる「みなさん、こんにちは。基礎用語、案内役のあるるです。
2022年最初に注目する基礎用語は『イオン結合』!

 

今月の基礎用語:イ#005
イオン結合(いおんけつごう)ionic bond / ionic bonding

 

あるる「『イオン』と聞けば、今、すぐに思い浮かぶのは、ショッピングセンターですよね。特にフードコートがめっちゃ楽しくて、よくおじいちゃんに連れて行ってもらうんです〜」

 

博士「ふぉっふぉっふぉっ。新年明けてもあるるの食いしん坊はかわらずじゃのう(笑)元気でなにより。でも、かのショッピングセンターは、同じ発音でも「AEON」と書くのじゃ。なんでも古代ギリシャ語に由来するラテン語で「永遠」を意味するそうじゃぞ」

 

あるる「へぇ〜。博士は今年も物知りですねぇ〜」

 

博士「さりげなく褒めるでない(笑) 今回注目したいイオンは「ION」と書く。電気(正しくは電荷)を帯びた原子や原子の集まりのじゃ。同じイオンでも、まったくの別物なんじゃよ」

 

あるる「なるほど〜。まさしくイオン違い! では、改めて“イオンとはなんぞや?”を、まとめてみます。博士、見ててくださいね!」

イオン結合って何だ?

「イオン結合」という言葉が初めて出てきたのは、まめ知識第23回『金属とは何か?』です。イオン結合は、「金属のそもそも」を理解する上で、とても基本的な知識となります。

 

そもそも金属とは何なのでしょうか? 多くの方は次のような特徴を挙げると思います。

 

・硬い

・割れない

・光沢がある(ピカピカしている)

・電気を通す

 

金属とはこのような特徴を持つ物質の総称です。化学的に言うと「金属結合するもの」となります。

 

もっと「そもそも」の話をすると、自然界に存在するすべての物質は、「分子」や「イオン」の集合体であると言えます。分子は原子が集まってできているもの、イオンとは、冒頭で博士が言ったように「電荷を帯びた原子や原子の集まり(=原子の集団=原子団)」のことです。

 

そして、原子はどのように結びついているのか? を見ていくと、原子間の結合の仕方の違いによって、以下のように分類できます。

 

・イオン結合(金属元素と非金属元素からなる結合)

・共有結合(非金属元素のみからなる結合)

・金属結合(金属元素と金属元素からなる結合)

 

 

イオン結合は、共有結合とともに、最も基本的な結合だと言えます。では、それぞれの結合について、さらに詳しく見ていきましょう。

イオン結合とは

イオン結合とは、「陽イオン」と「陰イオン」が静電気力(クーロン力)で結びついたものです。

 

たとえば、金属元素のひとつナトリウム「Na」を塩素ガス「Cl₂」の中に入れると、互いに電子を交換してナトリウムイオン「Na⁺」と塩化物イオン「Cl⁻」になります。

 

これがクーロン力で引き合い、塩化ナトリウム「NaCl」(いわゆる食塩)となります。

イオン結合:Na⁺+Cl⁻ ⇒ NaCl(塩化ナトリウム)

共有結合とは

「共有結合」とは、非金属元素の原子核のまわりの価電子(一番外側の軌道を回っている電子)が隣の別の原子核に引き寄せられ、互いに交わり、一対の価電子が2個の原子核に共有され(電子の軌道を2個の原子核が共有している)、より安定した状態となった結合です。

 

この結合で誕生した原子のグループを「分子」と言います。

 

例としては、水素(H2)、水(H2O)、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)などがあります。

共有結合

金属結合とは

金属結合とは、金属原子が最外殻を回っている価電子を放出して失い、陽イオンとなった原子が規則正しく並び、放出された電子がこの陽イオンの中を自由に動き回っている(自由電子と言います)状態の結合を言います。

金属結合

共有結合でも電子を共有していますが、2つの特定な原子間だけであり、電子が動くことはありません。

 

一方の金属結合では、規則正しく並んだ陽イオンすべての間を自由電子が動き回ります。

 

金属結合により規則正しく配列したものを『金属結晶』と呼び、以下のような特徴があります。

 

① 電気伝導、熱伝導が良い

飛び回る自由電子が電気や熱を伝えるため、電気伝導、熱伝導が良くなります。ですから、電気伝導が良い金属は、熱伝導も良いということになります。

 

② 一般に融点が高く、展性、延性がある

「展性」とは、圧縮する力(打撃など)を与えられて薄く広がる性質のこと。「延性」とは、引っ張る力を与えられて細く伸びる性質のことです。

共有結合は、原子間の結合が強いのですが、金属結合では結合に寄与する電子を共有しているめ、原子間の移動が容易で、割れずに変形ができるのです。

結晶の変形は、規則正しく並んだ原子が、結晶面に沿ってすべることでおきます。

この展性と延性があることで、金属は非常に加工性の良い材料として広く使われているわけです。

 

③ 金属光沢がある

自由電子はマイナスに帯電しているので、電子同士が近づくと反発し、それを繰り返すために激しく振動します。

この振動数が可視光の振動数より大きいため可視光は反射され、金属内部に入っていかず反射が起こり、もとの光と同じ振動数の光を放出するので、光り輝いて見えるのです。

反射する光の波長は金属ごとに異なります。アルミニウムは可視光線全域の波長をよく反射するので、銀白色に見えるわけです。

アルミニウムが銀白色に見える理由

博士「よく覚えていたではないか。えらいぞ、あるる」

あるる「はいっ! 昨日いっぱい復習しました!!」

博士「ん? 昨日? 一夜漬けか(笑) まぁ、それもあるるらしいのぅ。一夜漬けも繰り返せば深い理解につながる。これからも続けるように」

あるる「はいっ!! わかりました!! がんばります!! そして、もっと頑張るために、お願いがあるのですが・・・」

博士「お願いとな? なんじゃ、あるる・・・!! わかったぞ!」

博士&あるる「イオンのフードコートでお腹いっぱい食べたい!!」

博士「ふぉっふぉっふぉっふぉっ笑♪ 2022年もいいコンビが組めそうじゃ」

あるる「はいっ! 今年もよろしくお願いします!」

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