【今月のまめ知識 第54回】横弾性係数

公開日時:2017/09/25

とあるのんきな朝のひととき・・  

あるるが新しいおもちゃで夢中で遊んでいる    

 

あるる「びょ〜〜〜ん、びよん、びよぉ〜ん♪」  

博士「おお、あるる。それは巻きバネではないかな?」  

あるる「へ? 牧場?」  

博士「牧場ではない。巻きバネじゃ」  

あるる「そういう名前なんですか。へぇ〜。これ、昨日おじいちゃんにもらったんです」  

あるる「何に使うものなのかよくわからないのですけど、ビヨンビヨン伸びるのが面白くて。びょよよよ〜〜〜ん♪ あはははは」

博士「あるるにかかればなんでの遊び道具じゃのぅ〜(笑)」  

あるる「これ、遊び道具じゃないんですか?」  

博士「いろんなところに使われておるぞ。このボールペンやシャーペンの芯を押し出す部分や洗濯バサミにも、小さな巻きバネが使われておるんじゃ」  

あるる「へぇ〜」  

博士「して、この巻きバネに大いに関係するのが「横弾性係数」じゃ。 あるるよ、前回「縦弾性係数」を勉強したな? 覚えておるか?」  

あるる「もちろんです!ヤングマン係数ですよね♪ 横もヤングマンなんですか?」  

博士「ヤングマンではなくヤング率じゃ。横もヤングかどうか、聞きたいか?」  

あるる「もちろんです!」

博士「よし、それでは話してしんぜよう」

横弾性係数とは

前回は縦弾性係数についてお話ししましたので、今回は横弾性係数についてお話しします。

 

横弾性係数は、横弾性率、せん断弾性係数、せん断弾性率、ずれ弾性係数、ずれ弾性率、剛性率とも呼ばれます。

 

縦弾性係数とは引張り、圧縮方向の変形のしにくさでしたが、

横弾性係数は分子間のずれ、せん断力による変形のしにくさを表すものです。

 

下図のように分子が横にズレて変形を起こすものですが、棒のねじりもこの「横弾性」になります。

巻きばねの計算では横弾性係数が出てきますが、巻きばねを縮めたり伸ばしたりするということは、実は線材を「ねじっている」ということになるからです。

そして縦弾性係数と横弾性係数には関係があります。

 

丸棒を引っ張ると、長さ方向に伸びる縦ひずみ(ε)を生じるとともに、

径方向は細くなる横ひずみ(γ)を生じます。

 

この横ひずみと縦ひずみの比は一定であり、これをポアソン比(νと言います。

ν=γ/ε

 

そして縦弾性係数(E)と横弾性係数(G)の間には次の関係があります。

G=E/2(1+ν)

体積弾性係数(体積弾性率)

また、弾性係数にはもうひとつ、体積弾性係数(体積弾性率)というものがあります。

これは体積の変化のしにくさで、全方向から高圧をかけた時に物質が全体に縮むことをイメージしてもらえば良いです。

 

これは液体や気体では非常に重要なものですが、金属(固体)ではほとんど問題になることは無いので、ここでは詳しく説明いたしません。

 

参考に鋼とアルミニウムのそれぞれの代表的な値を記しておきます。

講義を終えて・・・

あるる「博士ぇ〜、「ヤングマン」出てきませんでしたねぇ・・・」

博士「なんじゃ、つまらなそうじゃのぅ」

あるる「ええ、ちょっと期待していたもので・・・」

博士「人生、そうそう期待通りにいくものではないぞ、あるる。ヤングマンは置いておいて、今日学んだことはしっかり覚えておくのだぞ。試験に出すからな」

あるる「えっ? 試験、やるんですか?(驚)」

博士「なにを驚いておる。そんなに長いこと、やっておらんかったかのぅ〜」

あるる「ええええ。こ〜のくらい(びよぉ〜ん)、やってませんでした」

博士「そうか。わしの頭の弾性係数も、ちょっと小さくせんとならんのぅ」

 

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