【今月のまめ知識 第73回】 ラーメン構造とトラス構造
公開日時:2019/04/24
とあるのんきな朝のひとこま・・・
博士「あるるよ、授業をはじめるぞ〜」
あるる「はぁ〜い! 待ってましたっ!」
博士「おっ、元気がいいのぅ。元気が一番じゃ」
あるる「はいっ! 春ですからね! 元気だけは自信があります!」
博士「さて、今日は構造についての勉強じゃ。あるるよ、「ラーメン構造」については覚えておるかの?」
あるる「もちろんですよ!ラーメン小僧・・・何度もやったし、忘れられるはずがありませんっ!(キリッ)」
博士「ふぉっふぉっふぉっ。まぁ、覚え方はなんであれ、興味を持つことは大切じゃ」
博士「ラーメン構造の他に、もうひとつ、「トラス構造」というものがあるんじゃが・・・」
あるる「え? えええっ?! なんですってっ!(驚)」
博士「ど、どうした、あるる」
あるる「ラーメンにハラス〜?! ハラスって、あのシャケの脂が乗ってて、めっちゃ美味しいとこですよねっ! 大好きです〜、ハラス」
博士「・・・どんな耳をしているんじゃ・・・。まぁ、「ラス」はあってるが、フツーは聞き間違えんだろう・・・これが恐怖の“食いしん坊変換”というものなのか・・・やれやれ・・・」
ラーメン構造とトラス構造
構造体には四角(□)の組み合わせでできているラーメン構造と
三角(△)の組み合わせでできているトラス構造があります。
重力を素直に受けるにはラーメン構造が適しますが、色々な方向からの力に耐えるとなると
トラス構造が有利となります。
では、この2種で何が違うのかを説明します。
ラーメン構造とは
トラス構造とは
次にトラス構造ですが、三角形の場合は、3本の部材長さを決めれば形状は決まります。
接点がピンで自由に角度が動くようになっていても、形状は崩れません。
ここに崩そうとする力が掛かると、部材には軸力(引張りまたは圧縮)が掛かります。
曲げ力と軸力
このように、圧倒的に曲げの場合が弱くなります。
これはどのような材質であろうと同じです。
てこの原理で考えると解りやすいのですが、
曲げの場合は1mの位置で力が掛かっているのに対して
60mm幅で受けているので、その荷重は16倍以上にもなります。
そして反荷重側は圧縮応力、荷重側は引張り応力となります。
それに対して軸としての引張りや圧縮では、全面積でその荷重を均一に受けることになります。
つまり、軸力を利用したトラス構造が剛性的に有利なのです。
しかし、支柱や橋などならともかく、機械装置においては構造体の内部に色々な機器を収納し、
メンテナンスも行うため、ほとんどラーメン構造となっています。
ですから剛性を保つために、単純な枠ではなく“日”の字や“目”の字の構造体となっており、
曲げ方向の増強に加え、軸方向でも複合的に荷重を受けとめる構造となっています。
複合的な骨組みが困難な場合には、部分的なトラス構造として枠の内側にブレースを配置することが有効です。
当社のロボット架台では、メンテナンス性を考慮し単純なラーメン構造を基本としていますが、
幅1m、奥行き1mの架台の上面側のみに長さ300mmのブレース追加で
以下の通り2倍程度剛性が上がります。
以下の表は、ロボットを動作させたときの3方向の最大変位量です。
剛性値によって架台の剛性が分かりやすくなる
例:60角架台にブレースを追加することにより、約2.5倍強くなる
なお、先の計算でわかる通り、軸力に対しての部材の伸び量は極めて微量であり
ブレースの部材はメインの構成部材に対して小さなサイズのもので十分な効果が得られます。
剛性、メンテナンス性、コストは相反条件となりますが、特性を理解することで、
低コストで要求仕様を満たすものを設計することができます。
博士「どうじゃあるるよ、ラーメンとトラス、2つの構造の違いはわかったかの?」
あるる「はい! もうハラスと間違えるようなことはありません! トラスですね!三角です!」
博士「おお、そこまで理解したのか。えらいぞ、あるる」
あるる「それにしても・・・強くすれば良いというものではなく、メンテナンスのしやすさとか、いろいろ考える必要があるんですなね。なんだかすごいなぁ〜・・・構造の世界は・・・(しみじみ)」
博士「ほぅ、どうしたあるる。いつになく真面目な感想を述べおって」
あるる「だって、これが平成最後の授業かと思うと、なんだか感慨深くって・・・」
博士「そうじゃ、そうじゃのぅ、平成最後じゃのぅ。あるるもよく頑張って学んだのぅ」
あるる「はいっ! 頑張りました! じゃぁ、頑張ったご褒美に・・・」
博士「なんじゃ? 言ってみなさい」
あるる「今日のお昼にラーメン、ご馳走してください!!」
博士「結局そこか・・・ふぉっふぉっふぉっ(笑)あるるの食いしん坊は、令和になっても変わらんのだろう。あるるらしくて、とってもよろしい! では、ラーメンを食べに行こうとしようぞ」