【今月のまめ知識 第40回】アルミフレームを精度高く組立する方法
公開日時:2016/07/26
前回「アルミフレームの精度を理解した設計」について学んだあるる。
食いしん坊ゆえに、余計な食べ物のイメージが入り込んでいるのは
否めないものの、「ものづくり」の楽しさは、わかって来たようである。
今日も何やら励んでいるようで・・・
あるる「うんしょ、うんしょ…」
博士「あるるよ、何を一生懸命作っているのじゃ?」
あるる「あ、博士。ほら、見てください! じゃーん!」
あるる「小さな台を作ってみましたー。
ここにお花を飾ったり、金魚鉢を置いたりしようと思って♪」
博士「おお、この部屋は殺風景だからのぅ。それはいいアイデアじゃ」
博士「どれどれ、拝見つかまつろう・・・あれ?この台、ちょっとゆがんでないか?」
あるる「え? そんなことないですよー。ちゃんと寸法も合わせたし…」
(博士、持っていたボールペンを乗せる。ツー、コロコロ・・・)
博士「・・・。残念じゃが、斜めだと自然が言っておる」
あるる「・・・。ええ、ホントに・・・」
博士「あるるよ。この前学んだ「精度」は考えて組立たのかな?」
あるる「あ、そういえば・・・。組立てるのに夢中で、そこまでは…」
博士「よし。それではせっかく作ってくれたあるるの台を、しっかりしたものに
するための知恵を授けようとしようか。聞きたいかの?」
あるる「もちろんです! 博士、よろしくお願いしまーす!」
前回は、アルミフレームの精度に関してお話ししました。
実は組立品において精度を出すためには、この精度を把握した上での組立要領が必要になります。
例として装置架台において上面が複数フレームで格子状に構成されていて、
その面の平面度を求めたい場合には、定盤上で架台の上面を先に組み立てて基準とします。
上面の部材を定盤に密着させて結合ボルトを締め付け、面として完成させます。
その後に縦柱を取り付けて立体にしていきます。
AFS-6060-6を使用した装置架台例
実は、コーナーに取り付けるブラケットを無造作に組み立てすると
直角度や平面度などがあまり良くない状態になる事があります。
これはある程度の自由度を持っているからなのですが、
逆にこれを利用してアルミフレームの精度が要求に至らない分を
補正して組み立てることが出来るわけです。
面のねじれ防止は、定盤の上で組み立てを行うことが有効で
四角形の崩れ(平行四辺形になるような)は、
直角の確認や対角の寸法差を確認して組み立てることが有効です。
しかし、これでは過大な荷重が掛かった時にズレてしまうリスクがあります。
これはブラケット結合面の摩擦係数が非常に重要になるわけですが、
設計する際、立体的にラーメン構造として中間梁を配置することで
全体で拘束を強くするという事が有効になります。
また、縦柱に対して中間の高さに取り付けたフレームの位置をしっかり決めたい場合には、
そのフレーム間に、寸法決めの意味で精度高く切断したフラットバーを挟んで
ブラケットを取り付ける方法もあります。
博士「どうじゃな、あるる。なんでお前の棚は斜めになったのか、理解できたかの?」
あるる「はい。ただ組立てればいいってもんじゃないんですね…」
博士「そうじゃな。あとは、経験をつめば、段々上手になるさ。どんな名人でも最初は初心者なのじゃから」
あるる「でも、博士ぇ~。ちょっと悔しいです!」
博士「お、どうしたのじゃ? そんなにものづくり魂に火がついたのか?」
あるる「だって、だって! 以前、「ラーメン構造=ラーメン小僧」って教えてもらったのに、組立てているときに全然思い出せなかったんですから~っ! ラーメン好きなこのボクがですよっ! ああ、情けない。ラーメンに申し訳ない・・・」
博士「よしよし、そんなにしょげるな。でも、ちょーっと違うんだが…。ラーメン小僧など、教えてないし…。ま、何にせよ、あるるがやる気になったのじゃ。よしとするか(笑)」