いまさら聞けない基礎用語【シ】#049振動

公開日時:2025/09/24

みなさん、こんにちは。基礎用語、案内役のあるるです。
今回注目する基礎用語は、コチラ!
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今月の基礎用語:シ #049
振動(しんどう)
vibration

あるる「博士ぇ〜〜、お荷物が届きましたよ〜〜」

博士「おお、来たか。ありがとう。一緒に開けようぞ」

あるる「何買ったんですか?(ワクワク)」

博士「にやり。なんだと思う? じゃーん」

あるる「マイク・・ですか? 一人カラオケでも始めるんですか?」

博士「それも楽しそうじゃが(笑)、マイクではない。ハンディータイプのマッサージ機じゃ。最近肩こりがひどくてのぅ」

あるる「ドライヤーみたいのもあるし、首にひっかけるのも・・・
いろいろあるんですねぇ〜・・・・って、こんなに買ったんですか?!(驚) 肩は2つしかありませんよ!」

博士「ふぉっふぉっふぉっ。見ているうちに、どんな振動がくるのか、全部試してみたくなってのぅ。これも技術者の研究魂のなせるワザじゃ。そもそも振動というのは・・・」

あるる「あ、ストップストップ。講義は実戦の後でお願いします。まずはお試し!」

博士「それもそうじゃな。よし、スイッチオンじゃ!」

博士「あ”〜〜〜〜〜♡」

あるる「う”〜〜〜〜〜♡」

博士「心地よい振動じゃ。気持ちがよいのぅ。終わったら復習じゃぞ」

あるる「は”い”〜〜〜””」

心地よい振動で極楽気分♪

振動とは

振動とは、平衡な点を中心として周期的な運動を繰り返す状態です。

 

振動には以下の要素があります。

振動数(周波数):1秒間の往復回数

振幅(変位):往復している幅

速度

加速度

 

剛性が高いほど振動数は高くなります。

 

10Hz以下の低周波では、その揺れは目視可能で、ゆらゆらという感じです。

10~1000Hzは目視できませんが、手で触れるとわかる範囲で、一般に機械の振動はこの範囲です。

1000Hz以上では、触れても感じることは困難で、振動と言うより異音の領域になります。

 

機械は色々な振動が複合しており、その変位を測定すると、以下のような複雑な波形が出てきます。

 

機械振動の複雑な波形

大変複雑な波形ですが、どのような波形も複数のsincosに分解できます。

振り子や、ばねに吊るした重りの振動がsinカーブとなることは皆さん承知の通りですが、すべての振動はこの組み合わせです。

 

複雑な波を分解し、周波数ごとに分けるのが“フーリエ変換”(FFT)です。

 

上図の波形をFFT解析すると、以下のようなパワースペクトル(周波数バンド幅毎のパワー)が求められます。

 

FFT解析したパワースペクトル

そして、それぞれの周波数の波形は、以下のようになります。

波形①

波形②

波形③

これらを重ね合わせると、以下のような波となり、
この①②③の波を合成すると、元の測定した波形となります。

波形①②③の重ね合わせ

ちなみに、剛性の高い装置架台というのは、固有振動数の高いフレームです。

 

振幅、固有振動数、加速度は互いに関係があり、

振幅(変位量)は固有振動数の2乗に反比例し、
加速度に比例

します。

 

実際に評価を考える時に具体的に一番分かりやすいのは、単純な寸法の単位であるmm(ミリ)で表される振幅(変位量)でしょう。

 

実際にロボットを架台に積載し、以下のように変位量の測定を実施した結果を紹介します。

 

測定結果

上図の条件でのX方向変位を測定したところ、以下のようになりました。

 

この波形を見ると、大きな波と小さな波が合わさっていることがわかります。

振動と言えるのは、30Hz程度で、振幅0.02mm程度の細かい波です。

 

大きな波はロボットの動作位置と合わせてみると、ロボット動作の反力(荷重)による変位であることが解りますが、これは振動ではありません。

 

例えるならば、自動車で加速するとフロントが持ち上がり、減速するとフロントが下がるのと同じで、振動は継続的に車体に伝わっているものと考えれば区別がしやすいと思います
(最近の乗用車では感じられませんが、古いトラックなどをイメージしてください)。

 

いずれにしても、固有振動数を高くすれば、大きな波である変位も、振動に寄る変位も両方抑えることができます。

 

従来、ロボット架台や装置架台は多くの場合、設計者の勘と経験にて設計されています。

 

1本の梁であれば、断面二次モーメントや断面二次極モーメントといったデータから算出できますが、フレーム構造体となった場合にはそれらを参考とすることは出来ても、ラーメン構造やブレスを加えた場合など、どの程度の剛性アップになるかを簡単に判断することは困難であり、解析に頼る事になります。

 

これは静的にはある程度の信頼性がありますが、動的には振動やその減衰という問題も有り、動的解析を手掛けるとなると大変難しいものになります。

 

今後、ロボットを使用するFA装置が増えていく中で、その精度とスピードを生かす装置架台の設計は、目立たない部分ですが重要なものとなるでしょう。

 

あるる「いやぁ〜〜、振動の世界も奥が深いですねぇ。速すぎる振動は触れてもわからないなんて驚きです!面白いなぁ〜」

博士「お、興味を持ったのかの? それはうれしいのぅ」

あるる「はいっ! 先ほど振動を体感したばかりですから、いつもより頭に入っていく気がします。もっといろんな振動を感じてみたいで」

博士「それはよかった。体感という入口は大切じゃ。でも、その後はしかと勉強して、計算までできるようになるんじゃぞ」

あるる「(ごそごそ) え? 何か言いましたか?(聞いてない)
博士がさっきやっていた、肩にかけるタイプのマッサージ機、・・・・あ、あったあった! これ、やりたかったんですよねぇ。貸してもらってもいいですか?」

博士「あ、、、どうぞ・・・・」

あるる「ありがとうございます! 
あ”””〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♡ 効くぅ〜〜〜〜♡♡♡」

博士「結局マッサージが楽しいだけではないのか・・・」

 

 

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