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アルファ博士の気ままにトーク♪ 第30話 料理とモノづくり 〜「似ている」というより、「まったく同じ」について〜

公開日時:2025/12/24

料理  〜私のつたない経験〜

今回は、料理とモノづくりが、実はとても似ている、というよりも「まったく同じ」と言えることについて、
お話ししたいと思います。

 

みなさんは、普段、料理はされますか?

私は、子どもの頃、家で料理を手伝った記憶がほとんどありません(何ということでしょう!)。

そんなことで、料理の記憶として一番古いのは、小学校6年生の家庭科の実習でカレーを作ったことでしょうか…。

 

家庭科では、ゆで卵は水から茹でて、沸騰後の時間で半熟や固ゆでを決める、といった手順を習いました。
また、サラダのドレッシング作りは、計量スプーンを使って酢や油を測ったりして、まるで「理科の実験」のようでした。

 

ゆで卵をいつも同じ好みの固さに茹でるのは意外と難しいですよね。
喫茶店で出てくるゆで卵も、固さや剥きやすさにその都度バラつきがありますが、これは、卵のサイズや鮮度、冷蔵庫から出したときの温度など、いろいろな要因が影響しているのかもしれません。

家庭を持ってからは、共働きだったこともあり、分担で朝食と夕食を少しだけ作っていました。
週末に担当すると、つれあいには「料理というより理科の実験だね」と笑われていました。


これは、家庭科で習ったやり方を真面目に続けていたというよりも、目分量や味加減といった「実地のワザ」を身につけていなかったからでしょう。

 

プロの調理に学ぶ「モノづくり」

ときおり料理屋さんで、カウンター越しに調理の様子を拝見すると、興味深く、つい見入ってしまいます。


プロの動きはスムーズで無駄がなく、たくさんの作業を同時に進めています。
計量は必要最小限で手早く、味見をして少しずつ調整を加えます。
多くのお客さんに、適切なタイミングで料理を提供する手ぎわもあざやかです。

料理屋さんには「いつもの定番」メニューのほかに、季節やその日の材料に合わせた「今日のおすすめ」もあります。
定番メニューで「いつもの味」を安定して提供し続けることも大変だと思います。

また、その日の材料に応じた料理を考えて、お客さんに説明しながら提供するのも、趣き深いものです。

こうした料理は、多くの試行錯誤と経験と技によって「レシピ」が作られ、また、良質な材料の仕入れ、お客さんの予定、衛生管理、費用などなど、さまざまな要素で成り立っているのだと思います。

 

料理の真髄とモノづくりの共通点

ここまで見ると、料理はまさに「モノづくりの真髄」と言っても良いことが分かります。

そして、料理で大切なことは、何といっても食べる人への心づかいでしょう。

 

では、ここからは工業製品の「モノづくり」を、〜製品、工程、設備、そして人による運用〜という流れで、製品から順にさかのぼって見ていきましょう。

 

◆製品(完成品、ユニット、部品)

製品は最終ユーザーだけでなく、次の工程や他社へも「ユニット」や「部品」として出荷されます。

求められる機能や性能はもちろん、多くの要素の上に成り立っており、工業製品の場合、完成品のスペックや検査基準が細かく定められています。

検査基準は、測定方法と、合格となる下限・上限のスペック(しきい値)があって、この範囲内のものだけがお客様へ出荷されます。

 

◆製造工程(プロセス、ライン)

製造工程は「プロセス」や「ライン」とも呼ばれます。ここには「部品」や「材料」が供給されます。

素材を加工する「プロセス」や、部品を組み合わせる「組立工程」があり、ここでも、加工の仕上がりが測定方法と下限・上限の「しきい値(管理値)」の範囲に収まるように作られていきます。

工程は上流から下流へと多くの段階を通って進み、各段階で「しきい値」に入ったものだけが次の工程へと受け渡されていきます。

◆装置、設備、工具

完成品検査や製造工程に欠かせないのが「装置」「設備」です。

検査は検査装置で、プロセスや組立は専用の装置で行われますが、手作業の工程でも、ノギスなどの計測器具やトルクレンチなどの「工具」が使われます。

これらの装置や工具は、工程で必要なスペックが達成できる性能を持つ必要があり、運用時も「しきい値」内であることを確認・維持していきます。

◆オペレーション

「モノづくり」を成功させるためには、多岐にわたる「オペレーション」(運用)が必要です。

受け入れでは、上流から入ってくる素材、材料、部品が、定められたスペック内であるかを検査し、生産が計画した通りに進むように計画・運用します。

また、各工程の検査基準や検査方法を取り決め、その通りに実施してゆく品質保証の役割が重要です。

完成品検査や製造工程で使用する装置や設備を必要なスペックに入るものを準備し、確認し、維持管理します。そして、それらの装置や設備を開発して、生産できる状態に整えて、維持管理します。

 

そのほか、材料や部品の受け入れ、在庫の管理、工程への支給、完成品の出荷など、物の流れを司り、工場で使う水、電気、ガス、そして空調などを整えて維持管理、社内、社外を問わず諸般を整え、そして、製品そのものを生み出す研究、開発、設計部門など、これらすべてが連携して初めて「モノづくり」は成り立つことは、みなさまご承知の通りです。

 

料理とモノづくり  〜大切なのは、受け取る人への心づかい〜

料理と工業製品のモノづくりを改めて見てきましたが、両者は似ているというよりも、

まったく同じだと言えます。


料理こそ、人類が大昔から続けてきたモノづくりの根源、とも言えるのではないでしょうか。

また、料理もモノづくりも大変ですが、「受け取った人の笑顔」を想像すれば、やり甲斐のある営みです。


製品を受け取った時、梱包には、それを作った人や送り出した人の気持ちが込められているように感じます。母親が作ってくれたお弁当や夕ご飯のように、そこには心づかいが込められているのです。

現在、世の中ではChatGPT5.1やGemini3.0のような先端のAI技術が注目されていて、私も活用にチャレンジしているところです。

でもその一方で、最近、料理やモノづくりを実行するための「基礎体力」が落ちていることを痛感せざるを得ません。

この料理やモノづくりの基礎体力というのは、自分の身体と同様に、実際に自分でそれを行なってみることで、初めて身につくもので、AIの利用や検索では決して身につきません。

そしてこの基礎体力は、すぐには身につかず、維持していくにも毎日の積み重ねが大切と思います。

私もこの「モノづくりの基礎体力」を日々、鍛えていきたいものだと切に思っています。

 

今日のお話はここまです。
また、ここでお会いしましょう。それまでお元気で!

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