いまさら聞けない基礎用語!【キ】#027 金属の起源

公開日時:2023/11/29

みなさん、こんにちは。基礎用語、案内役のあるるです。
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今月の基礎用語:キ#027
金属の起源(きんぞくのきげん)
origin of metals

あるる「あ、博士、おはようございます。先日はありがとうございました! 天体望遠鏡、覗かせていただき、めっちゃ楽しかったです!!」

博士「おはよう、あるる。おお、天気に恵まれて最高じゃったのぅ。夜空は神秘だかけじゃろう。あれをロマンと言わずして、何をロマンというのじゃ。あ・・・」

あるる「わかってますよ。もうロマンからのマロンの話なんて、しませんよ。あるるも成長しているんですから」

博士「ふぉーっふぉっふぉっ。それは失礼」

博士「ところであるるよ、あの星空も金属が深く関係しているのを、覚えておるかな?」

あるる「えっ?!? そんな話、ありましたっけ???」

博士「やはり・・・記憶が綺麗にリセットされておったか。そうでではないかとは思っておったが・・・」

あるる「いえっ、そ、そんなわけ、な、ないじゃないですか。冗談です、冗談(棒読み)」

博士「そうか? なら良いんじゃが・・・。では、これから会議なので、失礼するぞ」

あるる「はい。いってらっしゃいませっ!!」

(シュタッ!! パタパタパタ〜〜ッ! ← あるる、急いで飛ぶ)

あるる「やっばーーーい。本気で忘れてたわ。こりゃ急ぎで復習しなくちゃ。
えっと、確か、『金属の起源』というタイトルだっような・・・(汗) あったあった! 早速復習だっ!!」

 

ビックバンから辿る金属の起源

137億年前、ビッグバンという大きな爆発により宇宙が誕生したと言われています。

その爆発により、最初に水素(H)ヘリウム(He)の原子ができ、ガス状に漂います。やがて、それぞれの原子が引き寄せられ、ガス状の雲となり「恒星」が誕生します。

 

その引力で原子同士が引き合い、圧縮されて核融合が起こり、ベリリウム(Be)、炭素(C)、酸素(O)、ネオン(Ne)、マグネシウム(Mg)、ケイ素(Si)と、周期表の原子番号が偶数の元素が次々と生成されます。

恒星はそのように成長しながら、次々と重い元素を作ってきたのです。

 

アルミニウム(Al )は原子番号13で奇数の元素ですが、
奇数の元素は、生成された元素に、水素や重水素が核融合してできたと考えられています。

鉄の誕生

しかし、この核融合という作業は、原子番号26の「鉄」(Fe)で終わります。

 

では、鉄より重い元素はどうしてできたのでしょう?

 

成長を終えた恒星の中心部は鉄ですが、非常に大きな恒星の中心部は、その圧縮に耐え切れず、超新星爆発が起きます。

 

この爆発前に起きる核分裂で中性子ができ、そして重力により恒星内が圧縮され、核融合が起こることで、鉄よりも重い元素ができたと考えられています。

 

そして、その核融合のエネルギーで、星が爆発するわけです。

 

宇宙に最も多い元素は、最初にできた水素とヘリウムですが、
鉄よりも軽い元素は放っておくと核融合や燃焼で、やがて鉄になります。

 

鉄よりも重い元素は、超新星爆発という稀なことが起きないとできない上に、核分裂などで、こちらもやがて鉄になります。

 

すべての元は水素であり、そこからあらゆる物質が生成され、
我々はそれぞれの物質の特性を活かして、あらゆるものを作っているわけです。

 

なお、2015年の2月に、すばる望遠鏡での観測結果から、奇数元素の原子番号3である「リチウム(Li)」が、新星爆発により大量に生成されていたことが国立天文台から発表されました。

重い鉄が地表に多い訳

さて、星の中では重いものほど中心部にあるわけで、地球の中心部は「鉄」です。

 

地表付近に多い元素は、「酸素」「ケイ素」「アルミニウム」などですが、「鉄」は地表近くに大量にあります。

 

さて、星の中では重いものほど中心部にあるわけで、地球の中心部は鉄です。



地球を割ってみると・・・

なぜ、地球の中心部にある重たい鉄が地表に多くなるのでしょうか?

 

それは、元々「鉄イオン」として海中に存在していたものが、約27億年前にシアノバクテリアなどの光合成生物が生まれ、大量の酸素を吐き出し、

 

その酸素が鉄と結合し「酸化鉄」となって海底に沈殿、堆積し、鉄鉱床となりました。

酸素と鉄が結合し酸化鉄となり「鉄鉱床」を形成

これが海底隆起によって地上に現れて、鉱山となったのです。

海底隆起により地上に出現

この鉱山から発掘される鉄鉱石を還元して、鉄を作ることを「製鉄」と言います。

アルミニウムの誕生

アルミニウムの原料であるボーキサイトは、
酸化アルミニウムの比率が高い岩石が風化を受け、
ラテライト(熱帯性土壌)を経て生成されたと考えられています。

ボーキサイトは、酸化アルミニウム、ケイ素、鉄、マグネシウムなどが含まれています。

そこから水酸化アルミニウムを取り出してそれを加熱するとアルミナ(酸化アルミニウム)になり、それを電気分解して還元することで、アルミニウムが得られます。

この工程をアルミニウムの製錬と言います。

アルミニウムは地表で酸素、ケイ素に次いで3番目に多い元素であり、土壌や他の鉱石にも多く含まれていますが、それらから取り出すことは非常に難しく、ボーキサイト以外から製錬することは現実的ではないとされています。

アルミニウムができるまで

銅などは自然界にそのままの形で存在しますので、銅鉱石を熱すれば溶け出しますが、
鉄、アルミニウムとも自然界にはそのままの形で存在しないため、製鉄、製錬という工程が必要となります。

あるる「ふむふむ・・・・・(真剣に小冊子を読む)」

博士「おや、あるる。いたのかの? あまりに静かだったんで、おやつでも買いに行ったのかと思ったぞ」

あるる「失礼な。ずっとここにいて、復習してましたよ!」

博士「おお、それはすまん、すまん」

あるる「それにしても、金属の起源って、宇宙のロマンなんですねぇ・・・。前回は正直、あまりピンと来なかったんですけど・・」

博士「ですけど?」

あるる「今回、改めて丁寧に読んだら、『金属かっこいい!』「宇宙すごい』『地球すごい\(^o^)/』と、なんだか感動しちゃいましたよ〜。これぞ男のロマンですねぇ・・・(しみじみ)」

博士「あるるの頭の中も、ビックバンが起きたのだな? その好奇心の芽生えこそ、技術者にとって最も大切なことじゃ。すごいぞ、あるる。成長の証じゃな」

あるる「ありがとうございます!! 頭を使ったので、おやつを買ってきます。博士も食べますか?」

博士「よし、がんばったご褒美に、わしがご馳走してしんぜよう。今日のおやつはもちろん・・・」

博士&あるる「マロン!\(^o^)/笑」

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