突撃レポート第28弾!!『信州大学繊維学部の風洞実験装置』Part1♪
公開日時:2024/12/25
今月の『こんなところにアルミフレーム』は、富山県のお隣長野県へGo♪
長野県上田市にある信州大学繊維学部に行ってきました\(^o^)/
上田市といえば、徳川軍を2度にわたり撃退した”落ちない城”として有名なあの上田城があった場所。
現在は上田城跡を中心に櫓や門などが復元され、当時の面影を感じることができる「上田城跡公園」として、人気の観光スポットになっています。
今回お邪魔した信州大学繊維学部は、その上田城跡地にほど近い場所にあります。大学へと続く街並みは、街頭が「ぼんぼり」のようになっていて、とってもノスタルジック♪ 校舎も趣があり、大正ロマン感じる佇まいでした。
今回は、信州大学繊維学部のFiber Innovation Incubation(ファイバーイノベーション・インキュベーター)施設内に、「ある実験用の装置」を設置するということで、突撃取材してまいりました。
それでは早速、ご紹介いたしま~す(^O^)/
国内唯一の繊維学部♪
繊維学部は、国内で信州大学にしかない学部です。
"繊維" というと、衣・食・住の「衣」を思い浮かべる方が多いと思いますが、炭素繊維や浄水器のフィルター、建築材料や電子材料、機械材料などの産業資材も"繊維" の技術を背景に作られています。
要素技術のひとつと認められている繊維工学を、新時代の "ファイバー工学" へ展開し、国際的教育研究拠点となっているのが、ここ信州大学繊維学部なのです♪
繊維学部では、基盤から最先端までの教育研究だけでなく、産学官連携や国際連携をはじめとした多様な連携を通して、新時代の "ファイバー工学" をさらに進化させるべく、様々な産業分野の企業との共同研究も活発に行われています。
実際に製品化され、販売されているものもたくさんあるそうです。
そして、この繊維学部の若月教授より『風洞(ふうどう)を製作したい』というご連絡をいただき、NICにて設計製作を行い、設置させていただきました\(^o^)/
風洞は何に使うの?
若月教授は、総務省消防庁消防研究センターの技術研究部 主任研究官として「一人でも多くの命を火災から救う」という思いで、消防士が使用する高度な熱防護機能を有する保護具の研究をされていました。
研究場所であった信州大学繊維学部とのご縁がつながり、現在は繊維学部の教授ならびに防護服研究センター兼、地域防災減災センター 防災減災研究部門長として活躍されています。
お話を伺う中で、『自分の研究が役立ち、ひとつでも多くの命を救うことが出来たら』という言葉に深く感銘を受けたとともに、感謝の思いがこみ上げてきました。
じ〜ん・・・(;O;)
世のため人のために力を尽くされている若月教授が、次に行われる実験とは、一体何なのでしょうか??
ご依頼いただいた内容は、『風洞を製作したい』ということでした。
でも、風洞って、人工的に風を作って、物理的性質や物体に及ぼす力を測定する「トンネル型の研究装置」のことですよね??
実際に風洞を使ってどのような実験を行うのか、興味深々でお伺いしました。
信州大学繊維学部のFiber Innovation Incubation施設には,-40℃から80℃までを再現する人工気象室があります。
この気象室に、今回製作した「風洞」を設置し、風が吹いた際(有風下)の衣服の温熱快適性を評価するという内容でした!!
大学構内にこのような素晴らしい施設があるなんて、さすが国内唯一の繊維学部ですね♪
更に詳しくご説明いただいたので、教授のお言葉をそのまま記載します。
衣服は「機能性」「快適性」「審美性」などが求められ、その快適性は「衣服を介して代謝熱を放出する際の『温熱快適性』と『動作快適性』に分けることができます。
この「衣服を介して代謝熱を放出する際の温熱快適性」の研究に、今回製作した簡易風洞を活用します。
一般的に、体温より低い風が吹くと、風は皆さんの衣服から熱を奪おうとします。
逆もあり、体温より高い風が吹けば、風は皆さんの衣服へ熱を与えます。
今回の風洞を用いて、日本の四季の温湿度を再現可能な人工気象室で、皆さんが日頃着用する衣服、スポーツウエア、アウトドアウエア、防護服などの風が吹いている条件における衣服の温熱快適性の評価に活用します。
私たちが1年を通して快適に生活できるように、こんなに尽力されているとは!! 感謝感謝で頭が下がりっぱなしでした。
NIC初挑戦!『風洞実験装置』製作
若月教授とNICの出会いは、ある海外の研究者からの「アルミフレームを用いて簡易風洞を製作している」という情報提供がきっかけでした。
そのアイデアに興味を持った若月教授は、写真や具体的な仕様などを送ってもらい、ご自身でも設計をしようと、部材を選定する中で、アルミフレームメーカーであるNICを発見!
カスタムメイドのフレーム設計やクリーンブースを製作している実績もあることを知り、お問い合わせをいただきました。
これから行う実験の重要性から、学生に製作させる安易なブースではなく、信頼できる専門メーカーに依頼したいということで、わざわざ富山にお越しくださり、工場を見学された上で「NICなら大丈夫!」とお任せくださいました(^^)v
NICではこれまで、小さなBOX型の風洞を製作した実績はありましたが、今回ご依頼いただいた実験装置を囲む大きな風洞は初挑戦♪
技術者たちのモノづくり魂に火が付いたといいましょうか。出来ると確信しつつも、新たな挑戦を楽しんでいるようにも見えました。
風洞を設置する人工気象室の大きさや、欲しい風量を提示いただき、ご希望の仕様などを技術者とオンラインを含めた打ち合わせを重ねていきました。
だんだんと形になり、2DCAD図面に加え、3DCAD図面を若月教授に提出したのですが、これが全体像を理解するに非常に助かったと、若月教授から嬉しいお言葉を頂きました(*^-^*)
こうして出来上がったのが、こちらの『風洞実験装置』です♪
じゃ~ん!!
納入前の事前確認が大事!
写真ではこの迫力をお伝えしきれないのが残念ですが、20個ものファンがびっちり並ぶ姿だけでも圧巻です!!
でも、まだパネルに養生シートが貼ったままになっているので、本来の姿ではありませんよ~。
ご要望の風量が出ているか、その他仕様と異なっているところはないか、若月教授に立ち会い確認をしていただきました。
もちろん、結果は良好♪
問題なくOKを頂いたので、すぐさま解体にとりかかります(^^;)
えーーっ!? もう解体??
このまま搬送できないの???
と、思われるかもしれませんが、心配ご無用。大学の人工気象室の搬入口が小さいため、分割して運び入れる段取りになっているのです。
分解可能で、なおかつ再現もしやすい。
これがアルミフレームの最大の特徴!
そのパフォーマンスを最大限活かしながら
事前に搬入経路を想定して設計するのが、NICの技術力なのです!!(←出た~久々の自画自賛モード♪)
現地据付工事を突撃レポート!!
いよいよ設置当日。
工事開始時間は10時。
会社を6:45に出発して、信州大学繊維学部へ Let go♪
無事到着し、搬入開始です!
人工気象室の中では、実験用のマネキンが私たちを出迎えてくれました(≧▽≦)
いざ!組立開始♪
人工気象室を最大限に使う寸法なので、天井までではなく、照明の下ギリギリのラインの大きさになっています。
側面パネルを組付けた後に、残りのファン部を組付けていきます。
この手順にも、たわみや精度、効率を考えたアルミフレームのプロの技が際立ちます(^^)v
この後は、中央部の奥側のパネルを取り付け、先ほど天井に載せたパネルを組付け合体させて、前面の扉を取り付けるのですが、この時、左右のたわみを解消しながら組み付けるため、メルマガ編集部も少しだけお手伝い♪
久しぶりの現場作業に夢中になって、撮影するのをすっかり忘れていました(^▽^;)
ここまでできたら、あとは配電盤を設置して、ファンの配線を繋げます。
マネキンさんも定位置に収まり、安心したご様子♪
そして、若月教授からとってもありがたいお言葉を頂戴しました。
NICオートテックとしては、初めての簡易風洞製作ということですが、今まで培われたノウハウ・高い技術で,私達が希望するカスタムメイドの風洞を製作いただきました。
これから実施する風吹いた際の衣服を介した温熱快適性の評価に、この風洞が活躍することになりますが、非常に楽しみです。
親身になって設計・製作をいただきましたNICオートテックの皆様に心より感謝申し上げます。
身に余るお言葉をいただき、感謝申し上げます。 さらなる技術力アップを目指して、より一層業務に励んでまいります。
長々と組立手順書のようにご紹介しましたが、後日、この人工気象室を別の実験で使用するために、学生さんたちの手で解体し、また再設置されるということでしたので、この記事が解体・再組立てのお役に立てば幸いです。
そして、只今ご依頼いただいている別のアイテムを設置する際、実際の風洞実験の様子も取材させてください!!
ということで、皆さま「突撃取材風洞実験装置part2」をお楽しみに〜(^O^)/
以上、今月のこんなところにアルミフレームでした\(^o^)/