【今月のまめ知識 第49回】アルミニウムの意外な用途
公開日時:2017/04/24
とあるいつもの昼下がり・・・
博士「何を読んでいるのじゃ?珍しいこともあるもんじゃのぉ〜」
あるる「あ、博士も見ますか? 世界の自動車。もう、みんなかっこ良すぎです!」
博士「おや、あるるは自動車好きじゃったのか? 初めて知ったぞ」
あるる「はい! 春休みにおじいちゃんと一緒にカーレースを観に行ったんです。ビュンビュン走る車のカッコいいこと! あのエンジン音にしびれちゃいました」
博士「そうか、それはよかったのぅ」
あるる「はいっ!」
博士「ところであるる。あるるがしびれた車のエンジンに、アルミニウムが使われていることを知っておるかな?」
あるる「え?エンジン? 車体じゃなくて?」
博士「お、よく知っておるな。軽量化のために車体にも使われておるが、実は車の心臓部で役に立っておるのじゃ」
あるる「そうなんですか?! もっと詳しく教えてください!」
博士「おお、今日は珍しく積極的じゃのぅ。アルミニウムは他にも意外なところで使われているんじゃ。今日はその話をしよう」
今回はアルミニウムの意外な用途についてお話ししましょう。
目に見える構造物や部品以外で重要な役割を果たしているものがあります。
メタル(滑り軸受)
まずはメタル(滑り軸受)です。
自動車のエンジンで、クランクシャフトやコンロッドの滑り軸受には、
アルミニウムにSn(スズ)を10~20%加えた合金が多く使用されています。
他には銅系のものや、ホワイトメタルと呼ばれるスズ、鉛、亜鉛、
アルミニウム、アンチモンなどを主成分としたものもあります。
アルミニウム合金メタルは、耐荷重が大きく、耐食性、耐疲労性に優れ、
許容温度も高く熱伝導性も良いため、広く使われています。
アルミニウムのみのソリッドのものと、
鋼裏板に色々な工法でアルミニウムを貼り付けたものがあります。
送電線
次に高い鉄塔間を渡っている送電線です。
電線というと銅が思い浮かびますが、送電線で使われているのはアルミニウムです。
なぜアルミニウムが使用されているのでしょう?
銅の導電率を100%としたときに、アルミニウムは61%程度ですが、
比重は銅が8.9に対してアルミニウムは2.7です。
つまり、アルミニウムは銅に対して、同じ量の電気を流すための質量が
約半分で済むのです。
これは鉄塔のコストに大きく貢献します。
また、アルミニウムは腐食に強いことも、
長距離に渡る送電線に使用されている理由のひとつです。
しかしながら、電気抵抗の小さいのは純度の高い1000番台のアルミニウムであり、こ
れは引張り強度が低いため、鋼の芯線にアルミニウム線を撚り合わせることで
強度と導電性を両立させています。
ちなみに引張り強度を高めたアルミニウム合金の導電率は、30~50%と低くなります。
特殊鋼
特殊鋼の合金成分にもアルミニウムが使われています。
また、高温環境で使用される耐熱鋼には、アルミニウムが含まれているものがあります。
高温下での強度、耐酸化性と耐高温腐食性が要求される中で、
アルミニウムは耐酸化性の向上に役立ちます。
今回紹介した3種のものは、いずれも鋼とアルミニウムを組み合わせることで
優秀な機能を持つことになったものです。
博士「どうじゃな、あるる。アルミニウムって、すごいじゃろう?」
あるる「はい! いろんなものに形を変えて役に立つなんて、スゴいです!スゴすぎます!」
あるる「いやぁ〜、アルミを見る目が変わっちゃったなぁ〜。
アルミ、アルミ♪ カッコいいなぁ〜」
博士「そんなに気に入ったなら、今日から名前を「あるる」ではなく「あるみ」に変えるか(笑O))?」
あるる「いえ。それは結構!! あるるのままで!!!」
博士「そうか・・・。そこはずいぶんとハッキリしてるんじゃのぅ・・・」