【今月のまめ知識 第77回】 アルミニウムとアルミニウム合金、鉄と鋼、その違い
公開日時:2019/08/28
とあるのんきな昼下がり・・・
あるる「(ごくごく、ぷふぁ〜)ああ、やっぱり夏はこれに限るなぁ〜」
博士「あるるよ、美味しそうだな。何を飲んでおるのじゃ?」
あるる「あ、博士も飲みますか? ビタミンたっぷりの炭酸飲料です。
これ、おじいちゃんの大好物なんですよ」
博士「そうか、それではご馳走になろうかのぅ」
あるる「はい、どうぞ」
博士「(ごくごく) うん、うまいっ!」
あるる「よかったですぅ〜。アルミ缶ですから、飲み終わったらリサイクル。
カラダにも地球にも優しい飲み物なんですよ♪」
博士「お、そんなことも知っておるのか。えらいぞあるる」
あるる「はいっ! おじいちゃんに教えてもらいました!」
博士「それは良いのぅ〜。ところであるる、このアルミ缶、
素材はなんじゃか言えるかの
あるる「え? いやですよぉ〜、博士、アルミ缶なんですから、
アルミでできているに決まっているじゃないですか。
アルミですよ、アルミ。ア・ル・ミ・ニ・ウ・ム」
博士「(にやっ)ぶぶー。おしいっ! 正解は〝アルミニウム合金〟でした♪」
あるる「え? アルミニウムとアルミニウム合金は違うんですか?」
博士「その通り。厳密に言うと違うんじゃ。どこが違うかというと・・・」
あるる「早く教えてください!!」
博士「あ、・・・はい・・・」
アルミニウムとアルミニウム合金
普段あまり意識しないと思いますが、アルミニウム合金の中で純度99.0%以上のものを純アルミニウムと呼び、
他の元素(銅Cu,マグネシウムMg,ケイ素Si,亜鉛Zn,マンガンMn,ニッケルNiなど)を加えたものを
アルミニウム合金と呼びます。
JIS H4000、JIS H4100、JIS H4040などのアルミニウム関連JIS規格においてもそのタイトルに、
「アルミニウム及びアルミニウム合金」と記されている通り、それぞれ区別して考えられています。
純アルミニウムは合金番号1000番台で、耐食性が良く、電気伝導性、熱伝導性にも優れており、
これらはよく言われるアルミニウムの代表的性質です。
しかしながら純アルミニウムは強度が低いのです。
ですから、強度を高めるなどの目的で他の元素を加えてアルミニウム合金とするわけですが、
そうすると上述の性質には変化が出ます。
電気伝導性では、導電率(銅を100%としたもの)で、
1000番台は62%程度ですが、
6000番台では50%前後、
2000番台や7000番台では30~40%程度
熱伝導性では、熱伝導度で、
1000番台は0.23Kw/(m・℃)、
6000番台では0.2 Kw/(m・℃)前後、
2000番台や7000番台では0.15 Kw/(m・℃)前後
そして強度ですが、引張り強さでは
調質を行わない純アルミニウムである1060-0の70N/mm2から、
7075-T6の570N/mm2まで大きな幅があります。
各種合金の特徴については
【今月のまめ知識 第3回】こんなにあるぞ! アルミニウム合金の種類
を参照してください。
鉄と鋼
また、鉄鋼においても同様のことが言えます。
こちらは英語にすると、鉄は「アイアン(iron)」(またはラテン語で「フェッルム(ferrum)」)であり、
鋼は「スチール(steel)」です。
JIS記号でも、Fから始まる鉄(FC200など)、Sから始まる鋼(SS400,S45Cなど)と区別されています。
(例外としてSiMn(シリコンマンガン)、MCr(金属クロム)などの合金鉄類あり)
まず、純鉄というのは炭素含有量が、0.02%未満のものです。
そして鋼は炭素含有量が、0.02%~2.14%のもの。
炭素量を上げると硬くなりますが、靭性(粘り強さ)が低くなるという性質があります。
そして、2.14%を超えるものが鋳鉄です。
炭素量が多くなると融点が下がり鋳造のためのエネルギーが小さくなるため
このような配合になっています。
純鉄は、イオン化傾向が非常に高く錆びやすくなるため生成されることはほぼないので、
通常ではまず目にすることはありません。
鋳鉄はマンホールの蓋や防火炉、水道管などに使われていますが、
私たちが日常生活で目にする鉄と言っている物のほとんどは「鋼」なのです。
通常の会話では単に、「アルミ」や「鉄」と言っていることが多いと思いますが、
記述する場合には、「アルミニウム」、「アルミニウム合金」のどちらなのか
「鉄」、「鋼」、「鋳鉄」のどちらなのかを、正確に使い分ける必要があります。
博士「どうした、あるる。口をあんぐり開けて・・・」
あるる「へぇ〜、へぇぇぇぇ〜・・・。アルミだけでなく、鉄も、鋼も・・・!
博士ぇ〜、金属って面白いですねぇ〜! すご〜い!」
博士「そうか、あるる。金属に興味をもってくれたのか。それは何よりじゃ」
あるる「合金、合金、GOGO合金♪ アルミすごいぞ、GOGO合金♪」
博士「なんじゃ、歌までできたのか。よほど気に入ったようじゃの〜」
あるる「あっ! このことおじいちゃんに教えてあげなくちゃ。それでは今日は帰ります。
博士、ありがとうございました。さようなら(ビュ〜ン)」
博士「あ、はい、さよ・・・。もう姿が見えないではないか(笑)今日のあるるは〝鉄は熱いうちに打て〟じゃのぅ。
熱しやすくて冷めやすくなければ良いが・・・。ま、・・・ムリかの〜。ふぉ〜っふぉふぉふぉふぉ」