【今月のまめ知識 第63回】航空機の軽さとエコ
公開日時:2018/06/25
とあるのんきな昼下がり・・・
紙飛行機を飛ばして遊ぶあるる
あるる「キ〜〜〜〜ン ギュュウーーーン 飛行機、離陸しま〜す♪」
博士「おお、紙飛行機とは懐かしいのぅ」
あるる「あ、博士! おじいちゃんと一緒に作ったんですが、なかなかうまく飛ばなくて・・・」
博士「折り方も大事じゃが、飛ばし方にコツがあるんじゃよ。こうやって、水平に軽く押し出すように飛ばすのがポイントじゃ。ホレ!」
あるる「おおおー、すごーーーい さすが博士ぇ〜 」
博士「まぁな、このくらい軽いもんじゃ。折り紙ヒコーキ協会の会長の戸田先生の動画を見て研究したからのぅ(自慢げ)」
あるる「(相当練習したに違いない・・・)」
博士「あるるもやってごらん。リキんじゃダメだぞ。力を抜いて、そっとじゃ」
あるる「わ、わーーー、飛んだ、飛んだぁ〜 やったぁ〜っ\(^o^)/」
あるる「でも不思議ですよねぇ〜。紙飛行機は軽いからこうしてよく飛ぶのはわかるんですけど、本物の飛行機は、あんなに大きくて重たいのに飛べるなんて、今でも不思議で・・・」
博士「ん? 飛行機が重いとな?」
あるる「ええ、大きくて重たいでしょ?」
博士「いやいや、飛行機は軽いから飛ぶんじゃ。もっと言うと、あんなに軽いものが飛ばないはずはないんじゃ」
あるる「軽い? へ? 博士、何言ってるか、よくわかりかせんが・・・」
博士「よし! それではこれから、飛行機は重いのか、軽いのか、実際に計算してみようではないか!」
飛行機はなぜ空を飛べるのか?!
航空機を見て、あんなに大きくて重いものが何故空を飛べるのか?
と思われがちですが、実はあんなに軽いものが飛ばないはずはないと言えるのです。
ボーイングB787-9をボーイング社のHPで調べてみると
全長63m
ウィングスパン(全幅)60m
最大離陸重量が254ton
最大離陸重量は燃料も人も荷物もフルでしょうから、仮に
燃料100kLittele×比重0.8=80,000kg
人と荷物が(65kg+20kg)×250人=21,250kg
とすると、合わせて約100tonですから
機体本体は約154tonとなります。
でも、きっともっと軽いでしょう。
いずれにしても、254tonのものが浮き上がるのです。
ここで感覚的にわかるスケールに置き換えてみたいと思います。
すべてのパーツを材質そのままで、1/100スケールで製作したとしましょう。
(ちなみに、「ダウンサイズ」という映画では人間を1/14にしていますが、飛行機は大きいのでもっと小さくしました)
全長630mm
ウィングスパン600mm
質量は1/106
になります。
つまり本体は、150,000kg×10-6=0.15kg
最大離陸重量でも0.254kgです。
幅600㎜の翼を持つ飛行機が、燃料満タン、お客さん満席で254gです。
飛ばないわけがありません。扇風機の風を当てても浮きそうです。
飛行機の「軽さ」の秘訣
しかしまあ、どうしてそんなに軽く作れるのでしょう。
それは大部分がアルミニウム合金とカーボンファイバーで製作されているからです。
最新型機ではより軽くするために、カーボンファイバーの比率が上がっていますが、
元々はほとんどアルミニウム合金だったわけです。
そして、より軽くするためにどうするかですが、
よく飛ぶように羽根を大きくすると、それを支える丈夫な機体が必要となり、
その丈夫な(重い)機体を飛ばすために、より大きな羽根が必要となります。
しかし、逆に本体も羽根も軽くすることで、さらに互いを軽くできるという良い結果を生みます。
これは「自動化機械」においても同様のことが言えます。
動く部分を軽く設計することで、モーターも小さなものを使用でき、質量も軽くなるので
そのブラケットも軽量なものとなり、動作部の運動エネルギーが小さくなり、
マシンフレームも軽量なものとすることができます。
もちろん物理的に質量が必要となる場合もありますが、それは必要な部分にウェイトを配置すればよいことです。
まずは軽量化がエコ設計の第一歩と言えます。
博士「どうじゃ、あるる。“飛行機は軽い”ということは、納得できたかな?」
あるる「はい、博士!スケールダウンすると、衝撃的によ〜くわかりました!」
博士「そうじゃな。なんでもわかる範囲に置き換えて考えると、今まで見えなかったことが見えてくるものじゃ」
あるる「しかも“軽量化がエコになる”ってところも衝撃でした」
博士「今回は飲み込みが早いのぅ。うれしいのぅ」
あるる「・・・・(じぃ〜)」
博士「なんじゃ。何をそんなに見ているんじゃ?」
あるる「博士、ちょっと太ったんじゃないですか? 特にお腹のまわり。これから夏に向けて、ダイエットした方がいいんじゃないですかねぇ〜」
博士「はっ! わかるか? 最近ビールが美味しくて、つい飲み過ぎてしまうのじゃ」
あるる「もう、博士ったら〜」
博士「・・・面目無い(てへ)」
あるる「よし!今日からダイエット開始です! ビールは1杯までですよ!これもエコのタメです。頑張りましょう!」
博士「えええー、せめて2杯・・・。これからビールが美味しい季節なのに・・・(とほほ)」