【今月のまめ知識 第57回】 延性と脆性、そして靭性
公開日時:2017/12/18
とあるのんきな朝のひと時・・・
博士「おはよう、あるる。今日も元気に勉強しような」
あるる「はーーい\(^o^)/」
博士「おお、元気でよろしい。これまで鋼材の特性について学んできたが、ちゃんと覚えておるかな?」
あるる「もちろんです! 『弾性』と「塑性』ですよね!」
博士「偉いっ!その通り! よし、今日は新しい特性に進むぞ」
あるる「まってました!」
博士「延性と脆性、そして靭性じゃ(にやっ)」
あるる「『えんせい』と『ぜいせい』、そして『じんせい』・・・(にやっ)」
博士「あるるの頭に浮かんだのは・・・?!(にや、にやにやっ)」
あるる「はいっ! 『遠征』『税制』、そして『人生』です!!!
博士「うまいっ! 山田くん、座布団一枚!」
あるる「てへ、それほどでもぉ〜(照)・・・って、笑点ですか!」
博士「あるるのボケも堂に入ってきたのぅ〜。期待通りの回答、
さすが、我が教え子じゃ。ふぉっふぉっふぉ〜(爆)」
あるる「そんなに笑ってると、調子にのっちゃいますよぉ〜。
弾性 塑性 延性 脆性 靭性、5性まとめて“5セイジャー!!”」なんつって」
博士「おおっ、正義の味方、5セイジャー! ますます冴えておるぞ! こりゃ、座布団まとめて10枚じゃ!」
延性 脆性 靭性について
前回までにお話した弾性、塑性はその概念が解り易いのですが、今回お話する延性と脆性、そして靭性はちょっとわかりにくく、また実際その定義付けはあまり明確では無いようにも見受けますので、今回はここを整理してみたいと思います。
延性と脆性
この破壊するまで伸びる性質が延性であり、この破壊を延性破壊と呼びます。
ただし、亀裂が入った材料を、亀裂が進展する方向に荷重を掛けた時の、
この微小部分の延性は上記の場合とは異なります。
亀裂の微小部分の延性が小さい材料は、ガラスのようにほとんど変形することなく破壊する事があり、
このもろさを脆性と呼びます。
ガラスはガラスカッターで傷を付けたところで簡単に割れることから、容易に理解できると思います。
通常は塑性変形する金属材料でも、低温の場合に脆性破壊する事があります。
脆性破壊を起こした破面は平滑であることが特徴で、延性と脆性の違いを感覚的な言葉で表現すると、
“延性破壊はちぎれる”、“脆性破壊は割れる”、という感じでしょうか。
靭性
次に靭性ですが、一般的には脆性はもろさ、靭性は粘り強さという概念がありますが、靭性は延性とは異なります。
脆性破壊を起こすために多くのエネルギーを必要とする材料を、靭性が高いというので、脆性破壊に必要な破壊エネルギーの程度で靭性を表します。
この靭性の評価のために、一般的に「シャルピー振り子式衝撃試験」という方法が使われているので、衝撃に対する強さと思いがちですが、あくまでも亀裂が進展することに対する粘り強さであり、近年では「脆性亀裂伝播停止靱性試験法」という評価方法もあるようです。
引張強さが大きな材料でも、靭性が低いと脆性破壊という思わぬ事故を招く可能性もあります。
強さというのは色々な観点で評価する必要があり、本当に奥の深いものです。