【今月のまめ知識 第1回】アルミフレームってなに?
公開日時:2013/04/24
アルミフレームってなに?
アルミフレーム豆知識の第一回目は、基本中の基本、「アルミフレームの 特徴」に迫ってみたいと思います。
アルミニウムは原子番号13、元素記号Al。一般的には単に「アルミ」と 略されて呼ばれる事が多いのは、皆さんもご存知の通りです。 人類の歴史の中でアルミニウムは新しい金属で、鉄は紀元前18世紀頃から使われていたのに対し、アルミニウムが発見されたのは19世紀初め。 大量生産できるようになったのは、なんと20世紀半ばになってからなのです。
あるる「へぇ〜、そんなに新しいなんて、
全然知らなかったあるる〜」
博士「ま、アルミは或る意味20世紀の申し子じゃな」
あるる「博士、それってシャレですか…」
一般的に「アルミ」というと、軽いけれどやわらかくて弱い--- そんなイメージを思っている方も多いのではないでしょうか?
実際に素材としてはやわらかく、同じ寸法であれば鉄よりはるかに弱いのも事実です。しかしながら、重さは鉄の約35%と軽量であり、熱伝導性、電気伝導性が良く、加工しやすい材料なのです。
鉄の橋 VS アルミニウムの橋
突然ですが、ここで2mの川に橋をかけてみたいと思います。
あるる「え? いきなり? 橋?」
博士「そうじゃ、橋じゃ。橋を架けると、鉄との違いがよーくわかるんじゃ」
あるる「…はぁ…」
まずは鉄製の橋。幅500mm、厚さ10mmの板を渡して、橋を作ります。
この橋の中央に体重65kgの人が載ると、それによって12.4mm「たわみ」が生じます。
これと同じ「たわみ」になるように計算すると、アルミの板の厚さは14.4mmとなります。多少の違いはありますが、厚さとしてはほとんど誤差の範囲ですよね。
(実際には人が載る前の鉄の橋は自重で最初から9.3mmたわんでおり、アルミの橋は4.7mmですからたわみ量合計はアルミの橋が4.6mm少ないことになります)。
ところが! 重さを見ると大違い。鉄の橋は78kgもあり、アルミの橋は38.9kgしかありません。 あなたならどちらの橋を持っていきますか?
あるる「そんなに重さに違いがあるるのか?」
博士「ふぉふぉふぉっ(笑) どうだ、驚いたじゃろう。この軽さがアルミの大きな特徴なんだよ」
めんつゆのごとく「何を加えるか」で変化するアルミの特性
さらに、アルミニウムに色々な金属を加えて「合金」とすることで、硬くなったり、腐食しにくくなったりなど、その性質が変化します。まるで醤油にお出汁や調味料を加えることで、美味しい麺つゆやスープができるように・・・。 実際に我々が目にするアルミは、ほとんどアルミニウム合金です。そして、押出しし易く、強く、腐食しにくい配合を与えられたものが、JISのA6000番台の合金です。このアルミニウム合金による押出し成形品は、鉄では困難な複雑な形状を実現し、様々な用途に適する優秀な構造用部材となるわけです。
アルミニウムはリサイクル性もバツグン!
このような優秀な材料であり、軽いことから地表に近いところにたくさん存在するものですが、現在は鉱物のボーキサイト→アルミナ→アルミニウムという生成方法でしか大量生産できず、それは非常に大きな電力を必要とします。
ところが、アルミニウムは融点が約660℃と低く、小さなエネルギーで再溶解が可能であり、このアルミニウム屑を再溶解して地金をつくる電力は、ボーキサイトからアルミニウム地金をつくる場合の3〜4%程度と非常に小さくなります。これがアルミニウムがリサイクルに適した材料と言われる所以です。 軽く、強く、自由な形状が得られ、さらにリサイクルに適したまさに3拍子も4拍子も揃った素材といえるでしょう。
アルミは高い? それとも…?!
さて、先の述べた橋においてアルミの橋を持っていこうとした貴方に迷いが出ます。それは軽くても価格が高いと言う事です。仮に貴方が力持ちで安価な鉄の橋を購入して持って行ったとしましょう。
ところが幅500mmの橋では危険なため、棒を持ってきて手摺を付けることにしました。ところが鉄の橋に手摺を付けようとすれば穴を開けるか溶接するか、さらに錆ないようにペンキを塗らなければなりません。それは技能者を連れてきてコストと時間がかかります。
一方、アルミはどうでしょう?
押出し成形品であればナットが入る溝を成形しておけば、簡単にボルトで手摺の棒を取り付けることができます。
また表面にすべり止めの溝を入れておくこともできるでしょう。
作ってみればどちらが安価に、早く、しかも綺麗に出来たかは、
明らかではないでしょうか?
あるる「博士ぇ〜、アルミってスゴイあるる〜!!」
博士「そうなんじゃ。アルミ押出し形材で出来たアルミフレームは、要するに
「ハシにも棒にも掛かる」オールマイティな素材だということじゃ。ふぉっふぉっふぉ〜」
あるる「どひゃっ!」