【今月のまめ知識 第43回】科学、技術、工学、数学について

公開日時:2016/10/26

とあるのどかな昼下がり…

博士「あるるよ、今年も日本人がノーベル賞を受賞したのぅ。喜ばしいことじゃ」

あるる「大隅教授ですね! スゴいですよねー」

博士「お、知っておるのか? 感心、感心」

あるる「オート何とかっていうのがスゴいってんで、受賞したんですよね? 中身はよくわかりませんけど」

博士「ざっくりしてるのぅ。やっぱりあるるじゃのぅ。
オートファジーというのは、細胞内のタンパク質を分解するための仕組みの名前だそうじゃ。
その謎を解き明かしたことが評価されて、ノーベル生理学・医学賞を受賞したんじゃ」

あるる「へぇ〜 そうなんですか」

博士「詳しいことはわしもわからんが。なにせ、生物学は専門外なもんでな」

あるる「へぇ〜、博士でも知らないことってあるんですね。とっても物知りなアルファ博士なのに…」

博士「…あるる的には褒めているのかのぅ~。とろこであるる、ノーベル賞は何部門あるか知っておるか?」

あるる「えっと、文学賞でしょ、あと、平和と物理・・・工学もありましたっけ?」

博士「物理学、化学、生理学・医学、文学、平和、経済学の6部門じゃ」

あるる「あれ? 工学はないの? でも、確か工学博士も受賞していたような…」

博士「その通り。物理学賞や化学賞を受賞している工学博士が5人もいるんじゃぞ」

あるる「わ〜、よかった〜」

博士「よかったって、珍しい反応じゃのう。でも、皆さんの素晴らしい技術が評価されたんじゃな」

あるる「そういえば、技術って工学にも使うし、物理学や化学にも技術は必要ですよね? 化学といえば、科学ってのもあるし・・・あれ?あれれ?   なんだかわかんなくなっちゃった」

博士「・・・工学は技術を実用化するための学問なんじゃが…。よし! 良い機会じゃ。ごちゃごちゃっとしているものを、今日はスッキリさせようじゃないか」

あるる「はい! よろしくお願いします!」

 

 

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この度の大隅教授のノーベル賞受賞はすばらしいことであり、多くの報道番組がありました。

その中で時折、科学と技術は違うという話が出ていましたが、今回はコーヒーブレイクとして

この話題に関し、もう少し範囲を広げてお話ししたいと思います。

 

国際的にSTEM教育という事が言われています。

これは、

・Science(科学)

・Technology(技術)

・Engineering(工学)

・Mathematics(数学)

の頭文字を取ったもので、これらの教育を統合して行うのがSTEM教育なのですが、

それぞれがどのようなものであるのかを説明します。

 

それぞれ広義と狭義で、また分野によっても異なる解釈があり、

また国によって時代によっても定義づけの変化があります。

 

そこでそれぞれの違いを解り易くするため、あえて狭義の意味で説明してみます。

まずデジタル大辞泉ver.3.6.1によると、以下のように説明されています。

 

科学


一定の目的・方法のもとに種々の事象を研究する認識活動。また、その成果としての体系的知識。(中略)広義には学・学問と同じ意味に、狭義では自然科学だけをさすことがある。

 

技術


① 物事を取り扱ったり処理したりする際の方法や手段、また、それを行うわざ。

② 科学の研究成果を生かして人間生活に役立たせる方法。

 

工学


基礎科学を工業生産に応用するための学問。機械工学・土木工学・電子工学・などのほか、人間工学などその研究方法を援用した自然科学以外の分野のものにもいう。

 

数学

 

① 数量および空間図形の性質について研究する学問。


算術・代数学・幾何学・解析学・微分学・積分学などの総称

② 学校の教科の一。数学科。

 

このように説明してありますが、解りやすくいうと、

 

科学は、すでにある自然の法則を見つける(発見する)学問で、その真理に複数の答えはありません。

 

技術は、まさに技(わざ、テクニック)という意味(技能はそれを行う能力)と、科学で発見された知識を使って生活に役立つものを生み出す(発明する)こと。たとえば電気モーターのしくみのように。

 

工学は、技術を実用するために構築する学問で、実際に目的を達成することになります。そしてそれを行うエンジニアによって様々なものが出来上がりますから答えが複数存在するわけです。例えば電気モーターもそれを設計するエンジニアにより様々なものが出来上がります。

ある設備を製作してそれがうまく行かなかった場合Technologyは確立していたがEngineering能力が不足していて出来なかったのか、それともTechnologyそのものがきちんと確立していなかったのかでは全く意味が異なり、そのような意味でも区別して考えることが必要でしょう。

 

数学は、これらを行うために欠かせないツールです。数学はあらゆるものの考え方の基礎となるものです。

膨大なデータを処理したり数式により法則性を表現したりにとどまらず、アインシュタインが重力波の存在を数式の中から探り出したなどの発見までもたらします。

 

またフェルマーの最終定理のようにその証明に300年以上もかかったものや、オイラーの公式のθにπ(パイ)を代入して得られる

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など、ミステリアスな面までを持ち合わせています。

実は結構、KKD(勘、経験、度胸)も必要な世界。しかも数式は唯一の世界共通言語とも言えるでしょう。

 

Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)のすべての要素が揃って発展してきたことで現代の安全で便利な社会があり、将来においてもそうあり続けることが必要でしょう。

 

博士「どうじゃ? 少しは頭の整理ができたかの?」

あるる「う〜ん、う〜ん・・・難しいですぅ〜、アタマ爆発しそうです〜」

博士「ふぉーっほっほっ。どっかぁぁぁ〜〜〜〜ん!!!!(爆)!!!」

あるる「ひっ! なんですか、急に!!」

博士「いや、さすが、あるる。ノーベル賞の話から「爆発しそう」じゃなんて。冴えているのぅ。感心、感心」

あるる (え…? なんで褒められているんだろう・・・(謎))

博士「ん? 何をキョトンとしておるんじゃ?」

あるる「なんで爆発で、褒められたのか・・と・・・」

博士「なんじゃ、偶然なのか。知らんのか? ノーベル賞を作ったノーベルは、ダイナマイトを作った人なんじゃ」

あるる「えっ! そうなんですか! 知らなかったぁ〜」

あるる「博士、ありがとうございます! さっきの「どっかぁ〜ん」で、もう忘れることはないでしょう。

そうか、ノーベルはダイナマイトなのか…へぇ〜、そーなのかー」

博士「おいおい、今日の話はそこではないぞ。肝心なことをスルーしおった。ま、おいおい育てて行くしかないのぅ〜」

 

 

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