【今月のまめ知識 第36回】アルミフレームのつなぎ方

公開日時:2016/03/23

とあるのどかな日のお昼時−−−

あるる「博士ぇ〜、ラーメンできましたよ〜! 早く食べましょう!」
博士「おお、あるる、ありがとう。美味しそうじゃのぅ〜」

二人「いっただきまーす(-人-)」
ハフハフ・・・ ズルズル・・・

博士「ラーメンといえば、思い出すのが・・・」
あるる「(にやっ)「ラーメン小僧」ですよね(笑)」
博士「覚えておったか」
あるる「もちろんです。当たり前じゃないですかー」

博士「内容も?」
あるる「・・・(ズルズル) あー、美味しいなぁ〜、このラーメン。

博士「ラーメン構造がどういうものくらいは覚えておるじゃろう?」
あるる「・・・(ズルズル) わー、このチャーシュー、超ジューシ〜」

博士「忘れたんじゃな(じろり)」
あるる「・・・はい・・・面目ない・・・(ズルズル)」
博士「やっぱりな。そうじゃないかと・・・」

博士「ラーメン構造とは、部材同士をしっかりとつなぐ方法のことじゃ」
あるる「あ、つなぎ方・・・」

博士「なんじゃ、そこからか! 情けないのぅ。しかも、ラーメンといってもこのラーメンではなく、
ドイツ語で「額縁」という意味なんじゃぞ」
あるる「えー、そうなんですかー!早く言ってよぉ〜 それだった覚えられたのにぃ〜」

博士「よし、あるるよ。今日は「フレームのつなぎ方」をみっちりと教えるから、覚悟しなさい」
さ、早くラーメン食べて、はじめるぞ!」
あるる「・・・う、は、は〜い・・・」

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出来上がったものを改造・延長する場合や、定尺長さを越えるものが必要な場合において、

アルミフレームを軸方向につなぎたい場合があります。

 

まず強度を必要とせず、出っ張りを嫌う場合には、

長ナット(NSLシリーズ)を使用するのが手軽です。

セットスクリューで固定することで外形を変えずに延長が可能です。

 

NSL

 

もう少し強度が必要で外形の出っ張りが許されれば、

プレートブラケット(ABSPシリーズ)

ジョイントブラケット(ABJL-60120-6)を使用するのが良いです。

 

ABSP

ABJL

 

 

慎重に考える必要があるのは、荷重のかかる長い梁です。

 

大きなブースの天井などで定尺では長さが足りない場合、

ラーメン構造として上下別のエリアで接続することが無難な方法です。

しかし本来長いフレームが存在すれば強度的に問題ないのなら、

しっかりつなぐ方法があればよいわけです。

 

ここは第29回の「応力とは」で、両端固定はり中央集中荷重の場合は、

端から1/4の位置で曲げモーメントが0になるという話しをしました。

ここを掘り下げると、曲げモーメントは0ですが、せん断応力はあります。

 

また等分布荷重では様子が異なってきます。

各条件でのせん断力図と曲げモーメント図を示します。

応力線図説明図

 

通常、両端を強固に結合するとして、両端固定はりで考えます。

特に積載物のない天井梁であれば等分布荷重となりますし、

中央部にFFUなど積載されれば集中荷重も加わることになります。

 

等分布荷重では端から21.1%の位置

集中荷重では25%の位置曲げモーメントが0になります。

 

つまり、通常の梁ではこの21.1%から25%の間に曲げモーメントが0になる位置があるわけです。

この位置より内側では、はりの上側に圧縮、下側に引張りが掛かっており、

外側では上側に引張り、下側に圧縮が掛かっています。

 

つなぎ位置

 

ですからこの近辺でつなげば、

曲げモーメントが小さい→接合部が開こうとしないわけです。

ただし、せん断力はかかりますから、それに対応できる接続をすれば良いわけです。

せん断力を計算してそれに応じたフラットバーを上下に当てれば良いでしょう。

 

 

つなぎ部上下FB

 

簡易的にはこのフラットバーが母材と同材質であった場合、

上下のフラットバーの断面積が母材アルミフレームの断面積以上であれば問題ありません。

また、ボルト座面のせん断面積もこのせん断力に耐える必要があるので

ここも注意が必要です。

 

 

補足説明


 

両端固定はり中央集中荷重において


 

S01

 

であり、曲げモーメント線図は直線なので

曲げモーメントが0となる位置0.25Lとなる。

Maは上側が引張りなので符号はマイナス、

Mcは上側が圧縮なので符号はプラスになります。

 

両端固定はり等分布荷重において


 

S02

 

であり、絶対値としてはMaはMcの2倍になる。

 

xの位置での曲げモーメントは

Mx=(w/2)(Lx-x2)-wL2/12=-wL2/2(x2/L2-x/L+1/6)

 

Mxを0とするためには

0=x2/L2-x/L+1/6

 

となり、x/L=zとすると

0=z2-z+1/6

 =6z2-6z+1

 

ここで、通常の2次方程式として解くと

z=0.21133、0.78866 の2種類の解が求まり、

曲げモーメントが0となる位置は、端より21.1%の位置となります。

 

 

あるる「つなぎ方も、奥が深いんですねぇ・・・(遠い目)」

博士「そうじゃぞ。いろんな条件をいかにクリアするかを考えて、

最適な方法を提示するのが技術者の大事な役目じゃ」

あるる「すごいなぁ〜、カッコいいなぁ〜」

博士「その気持ちは大切じゃが、憧れだけじゃダメだぞ、あるる」

博士「では質問じゃ。ラーメン構造を用いずに長いフレームを使う際に

気をつけなくてはならないのは、せん・・・」

あるる「ジャストモーメント! 言わせてください!

せん断力と曲げモーメントです!」

博士「正解。えらいぞ、あるる。しかも英語まで出て来るとは、お前も成長したのぅ」

あるる「ふふふっ。昨日読んだマンガに出ていたんです。

ジャストモーメント♪ モーメント♪ モーメン♪」アルルちゃん01

博士「はぁ・・・。今回も“ラーメン小僧”と同じ道をたどりそうじゃのう。

言葉だけ覚えて大事なところをコロッと忘れてくれそうじゃ。

ま、それがあるるの持ち味じゃがな」

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