【今月のまめ知識 第28回】荷重とは?
公開日時:2015/07/28
あるる「博士ぇ〜、見てください! キレイに片づけましたっ!」
 
 あるる「もう、博士ったら、読んだら読みっぱなしなんですから。小さい頃、お母さんに教わらなかったんですか? 読んだ本は本棚に戻すって」
 
 博士「おお、あるる。片付けてくれたのか。エラいぞ。食いしん坊のくせに、意外とキレイ好きなんじゃな」
 
 あるる「食いしん坊とキレイ好きは関係ありませんっ!」
 
 あるる「これでも苦労したんですよ。どの本ならスキマに入るか、いろいろ組み合わせて、やっと完成です!」
 
 博士「まるでテトリスじゃな。でも、あるるよ、せっかく頑張ってくれたのじゃが・・・」
 
 博士「ほら、本棚が悲鳴を上げておるぞ」
 
 あるる「えっ? あっ! ホントだ!」
 
 博士「シャレが上手くなったな。本棚だけに「ホントダな」なんちゃって(笑)」
 
 あるる「笑っている場合じゃありませんよ! 本当にギシギシ言ってるぅ〜」
 
 博士「モノにはそれぞれ「耐えられる重さ」というものがあるんじゃ。今回、あるるは頑張りすぎて、本棚が耐えられる以上の本を詰めてしまったんじゃな」
 
 あるる「なんでも詰め込めばいいってもんじゃないんですね…(しょぼん)」
 
 博士「そうしょげるな。この経験を次に活かせばよいのじゃから。さぁ、なんでこうなるのか、説明しようじゃないか」
 
 あるる「はい! 博士、御願いします!」
 
  
 
 
 
  
 
  
 
  
 
 物体に外部から加わる力を「荷重」と言い、
 
 それとつりあうために物体内部に生じる力を「応力」と言います。
 
 今回は、この「荷重」について色々な方向から分類して説明します。
 
  
1)かかる方向による分類
  
 
 まずは力がかかる「方向」による荷重の違いを説明しましょう。
 
 力の働く方向により5種類の荷重があります。
 
  
 
 ①  引張荷重------材料を伸ばす方向、軸方向に働く荷重
 
  
 
 ②  圧縮荷重------材料を押し潰す方向、軸方向に働く荷重
 
  
 
 ③  せん断荷重----はさみで切るように働く荷重
 
  
 
 ④  曲げ荷重------材料を曲げる方向に働き、内部に引張荷重と
 
 圧縮荷重が同時に働く荷重
 
  
 
 ⑤  ねじり荷重----材料をねじる方向、軸に直角方向のモーメントとして働く荷重
 
  
 
 ①②④は材料の分子間距離を変化させる方向に働き、
 
 ③⑤は分子をずらす方向に働きます。
 
  
 
 
 
  
2)かかる速度による分類
  
 
 続いて、力がかかる「速度」による分類です。
 
 こちらは「静荷重」と「動荷重」の2種類あり、動荷重はさらに細かく分けられます。
 
  
 
 
 
  
 
  
 
  
3) 作用状態による分類
  
 
 最後に、力が「作用する」状態による分類です。
 
 こちらは2種類。
 
  
 
 ①集中荷重------1ヶ所に集中して作用する荷重
 
  
 
 ②分布荷重------分散して作用する荷重
 
  
 
  
 
 実際の構造物ではこれらが複合してかかります。
 
  
 
 構造物の設計では安全率を考慮しますが、
 
  
 
 静荷重---3~4
 
 片振り荷重---5~6
 
 両振り荷重---8~10
 
 衝撃荷重-----12~15
 
  
 
 を目安とし、実際には実績や経験も考慮して決める必要があります。
 
  
 
 たとえば「100Nの荷重に耐えられる架台」と言っても、それがどのような荷重なのかで
 
 選定する部材は大きく異なります。
 
  
 
 博士「どうじゃ、あるる。わかったかの?」
 
 あるる「はい! 重さも力なんですねー。そういう風に考えたこともなかったなぁ〜」
 
 博士「これでひとつオトナになったな(笑)」
 
 博士「では、あるる。さっきの本棚の荷重は、何荷重かな?」
 
 あるる「静荷重! せいかじゅうです!」
 
 博士「正解! よく聞いていたな。エラいぞ、あるる」
 
 あるる「やったー! せいかじゅう! せいか…じゅう… すいか…じゅう・・・」
 
 あるる「よし! 今日のおやつは、スイカのジュースにキマリ!もちろん果汁100%の!」
 
 博士「いつのまには、荷重が果汁になったのか・・・。やれやれ、やっぱり食いしん坊じゃのう」
 
  
 
 