アルファ博士の気ままにトーク♪ 第32話 ~気ままな旅に出よう!前編~
公開日時:2026/02/25
みなさん、こんにちは。
今回のお話は「旅」についてです。
旅は、旅行とはまたちょっと違うニュアンスがあるようです。
「これぞ旅」といえば、松尾芭蕉の「奥の細道」、シューベルトの「冬の旅」、そしてチューリップの名曲「心の旅」でしょうか(振り幅が大きいですね)。
「旅」というのは、シンプルな移動の経験といったものを超えた、自分を探す放浪のようなものと思います。
それだけに、「旅」はワイワイガヤガヤ、というよりは、一人、しんみり、といった風情があります。
今日は、みなさんに旅の楽しさを想像してもらいたいと思い、私が楽しんでいる方法をお伝えしたいと思います。
若かりし頃の博士~初めての旅~
名曲「心の旅」に思うこと
みなさんご存知「心の旅」は、チューリップの財津和夫さん作曲作詞のヒット曲です。
この歌は、中学校の合唱祭で歌った課題曲で、私はピアノで伴奏したので、とりわけ思い出深い曲です。
旋律が、遠く離れたところに跳ぶので、歌うのも難しい曲で、ピアノの練習はだいぶ苦労しました。
「心の旅」は、夜汽車の旅と心の中の旅が、重ね合わされている曲です。
この曲のように、旅は実際の物理的な移動というだけではなく、心の動きが伴うものかと思います。
言い方を変えると、旅は心の動きが初めにあって、その結果、物理的な移動が行われ、
また心の動きに戻る、ということだと思います。
初めての旅
「かわいい子には旅をさせよ」という考えが私の親にあったのだと思います。
友人と2人で、初めて宿泊を伴った旅に出たのは、中学1年生の夏休みでした。
寝台急行「銀河」に乗って京都で近鉄に乗り換え、奈良を定期観光バスで1日めぐって、
親戚の家に1泊させてもらいました。
列車や観光バスの予約も、自分で調べて準備しました。
その時のことはもう何十年経った今でも、昨日のことのように思い出します。
この経験を第一歩にして、私の旅は日本各地へ、そして世界へと広がっていきました。
今はなき、懐かしの寝台急行「銀河」
病院のベッドで、想いは世界へ
ところが、学校を卒業して就職した時の健康診断で、ある病気を持っていることが発覚しました。
慢性的な病気で、数ヶ月ごとに入退院を繰り返しました。
痛いとか苦しいといったことはあまりなかったのですが、「いつまで生きられるだろうか」などと思うこともありました。
そのような中、ベッドの枕元に入院する前に買い込んだ、長編小説、随筆集、旅のガイドブックを積んで、読んだり、眺めたりしていました。
長編小説といえば、ドフトエフスキーの「戦争と平和」、随筆といえば「寺田寅彦随筆集」などでした。何しろ時間はたっぷりあります。
今と違うのは、「ネット」は全くない時代、テレビも病室には置いてなかったので、本を読むか、ラジオをイヤホンで聴くかでした。
今にして思えば、あの時に読んだり考えたことが、貴重な経験だったということになります。
そして、旅のガイドブックといえば「地球の歩き方」です。
特に印象に残っているのは「パリ」と「ウィーン」です。
1ページ1ページ、記事やコラム、冒頭のカラー写真などをひとつずつ、そこに行ったような気持ちになりながら見ていました。そして、もし元気でいられたら、いつか、パリやウィーンに行ってみたいものだと思っていました。
初めて海外へ
病気は、良くなったり悪くなったりを繰り返していましたが、落ち着いている時もありました。
そんなある日、上司から話がありました。
「今度ドイツで開催される展示会に、開発した装置を出展する。
その設営と展示説明をやってきてもらいたい。」
という、本当にうれしい話でした。
その上司はまさに「私の会社での親」でした。
入退院を繰り返す私を暖かく見守っていただき、その上、かねてから述べていた「海外の仕事がしたい」という希望を覚えていて「子には旅を」と考えてくれたのだと思います。
出展する装置は、ある程度理解していましたが、それでもいろいろなことを想定して、念には念を入れて準備しました。
そして現地へ。
飛行機に乗るのも、海外へ行くのも初めてで、見るもの聞くもの全てがめずらしく、ワクワク、ドキドキの連続でした。
成田から乗った飛行機は「ルフトハンザドイツ航空」、「アンカレッジ経由」で、ルフトハンザの飛行機に乗ると、もうそこはドイツでした。
まずは、覚えていった「旅の実用ドイツ語」を試してみました。
「アインマル オランジザフト、ビッテ!」
すると、通じた通じた、ピカピカのグラスに、オレンジジュースを注いで、手渡してくれました。
それだけでは終わらず、そのあと、隣りに座っていたご婦人が、ドイツ語で「$%#%%***>>><<<!」と私に話かけてきたのです。
おそらく、この人は私がドイツ語をしゃべると思われたようです。
「私は***へ行くが、あなたはどこに行くのか?」と話されたのだと勘を働かせて、
「こんにちは。これから###へ行きます」と片言のドイツ語で返答したように思います。
この出張は、多くのエピソードを残しました。
そのエピソードは本人が知らないうちに、いつの間にか社内に拡散されていきました。
この初のドイツへの海外出張は、その後の仕事や人生を大きく方向づけるものになりました。
ルフトハンザのマークが並ぶミュンヘン空港
想像する楽しみーガイドブック考ー
ガイドブックとえば、前述したように、病院のベッドで寝ながら見ていたことを思い出します。
本は写真や説明文だけですが、逆に動画やテレビ番組とは違って、想像の翼をはばたかせる余地が大きく広がっています。
この場所へはどうやって行くのだろう、この街はどんな雰囲気だろう、この食べ物はどんな味がするだろう・・・と想像が広がります。
ページに描かれている小さな地図、折り込みの地図を見ながら、駅からここまではどういうふうに行くのだろうか、どんな風景が見えるだろうか、と想像します。
そして、小さな写真から、その街の全体を想像します。
宿泊のページに載っている様々なホテルの写真と説明を見ながら、どこのホテルがいいだろうか、などと考えます。
このような想像をすると、いつ実現するかもわからない場合でも、見ているだけでも楽しいものです。
Googleストリートビュー でバーチャル散歩
今では、Googleストリートビューでさまざま場所、例えばアフリカの砂漠に囲まれた街や、グリーンランドの港町、どこへでも出掛けられます。
画像からは、その場所の人々の生活も垣間見ることができ、自分がそこで生活しているような気持ちにもなります。
博物館や美術館、大きなお店やショッピングモールの中も、歩いて回ることができますし、危険な場所でも、覗き見ることができます。
そして、疲れた、帰りたい!と思えば、パソコンやタブレット端末の「閉じる」をクリックすれば、すぐに日常の世界に戻れます。
現実の旅では、安全で暖かいホテルの部屋や、自分の家まで戻るのは一苦労です。
世界ふれあい街歩き
「世界ふれあい街歩き」というテレビ番組は、2005年以来、何ともう20年以上も続いています(NHKBSにて放送中)。
それだけファンも多く、普遍的な人気があるということでしょう。
私もこの番組だけは、長年、ずっと録画予約して見ています。
何気ない一人歩き旅のような体裁でありながら、その内容は事前の十分な調査と準備がされていることが伺えるのですが、それによる嫌味はありません。
ありきたりの観光地を紹介するというより、その場所に生活する人々、その街の歴史や雰囲気を紹介してくれるところが、いいですね。
実際の旅では、地元の人に声をかけて話をするのも語学、勇気、タイミング等々が必要で、とても難しいと思いますが、テレビ番組で気軽に体験できるのも楽しいところです。
絵画の中への旅
さて、次は私が好きな「絵画の中への旅」です。
絵画の中への旅とは何かというと・・・
それは、美術館で、絵を見ていると、まるでその場に立っているように感じることなのです。
たとえば、フランスの印象派の画家「モネ」の風景画です。
最近美術館で、「ヴェトゥイユ、サンマルタン島からの眺め」という絵を見ました。
1880年に描かれた油彩の絵画ですが、この絵を見た時、描かれた絵の世界に立ったような気持ちがしました。
丘の上から、左側には「湾」でしょうか。奥に見える教会を中心にした小さな町、その町の背後に見える緑の丘、それら全体が春の暖かい日差しの中に柔らかく見えています。
このような絵を見るとき、自分がその場所、その時代、そこに生活する人々、そしてその絵を描いている作者の気持ち、それらに立ち会ったような気持ちになります。
このような体験は、「何かに出会う『旅』」といってよいのではないでしょうか。
絵の中の旅へ山形美術館に行ってきました。
気ままな旅に出よう
物価高や円安の今日この頃、なかなか旅に出る、ましてや海外の旅に出るのは難しいこともあると思いますが、心の旅は、病院のベッドに寝ていても、また、本を読むことでも、また、美術館の絵を見ることでも可能です。
気ままな心の旅に出かけると、生きている実感と喜びを感じます。
みなさまはいかがでしょうか。
グラーツの気ままな街歩きはここからスタート ムール川にかかる橋
さて、今日のお話はここまで。
次回は、気ままな旅だからこそ出会えた美しい景色とともに、私流のリアル旅の楽しみ方をお話したいと思います。




