NICおーっ!とテック物語 【第16話】強度の秘訣は「形状」にあり! アルファフレーム ラインアップを一気に拡大

公開日時:2015/09/29

前回までのお話


 

「簡易クレーンシステムのレールをアルミで作れないか?」

というパートナー企業からの一言から新たな挑戦が始まった開発チーム。

アルミフレームの技術を駆使し、以前から使用していた鉄製のレールよりも、

高い強度と安全性を目指し、試練の道を進みます。

彼らの胸の内にあったのは「できるまでやり抜く」という志。

壁は高いほどものづくり魂は燃えるのです。

そして費やすこと1年。ついに日本で初めてのアルミ製搬送レール「アルファレール」が誕生しました。

確かな手応えを感じたNICの開発チームのメンバーたち。次に向かうのは・・・?

 

アルファレール開発で得た手応え


 

お客さまの声をカタチにしてこそのNICだ。

アルファレールの開発に見事成功した開発チームは、

「日本初」のアルミ製搬送レールを世に送り出したことよりも、

「お客さまのニーズをカタチにできた」ことに、達成感と技術者の誇りを静かに感じていました。

 

今回、スチールフレームよりも軽くて、強くて、扱いやすいアルミフレームを実現した

最大な要因は「特殊な形状」にありました。

そこに独自の工夫を凝らしたことで、用途によってレールを選べるようなったのです。

 

この技術をアルミフレーム自体に応用すれば、

もっと柔軟にお客さまのニーズに対応できるようになるはずだ。

今よりもっともっと良い物が、我々の手で作り出せるはずだ!

 

ものづくりの探究心は留まることを知らず、さらに深く追求を続けます。

 

 

与えられた課題が難しければ難しいほど燃える…。

開発チームのメンバーは、そんな心意気を持った技術者ばかりだったのです。

 

装置メーカーとして出発したNICは、今や各種産業機械装置とアルミフレーム製造の2つの部門が、

事業の大きな柱となっていました。

 

今回のアルファレールの成功は、装置部門にとっての大きなステップアップとなったわけですが、

装置部門での成果が、もうひとつの柱であるアルファフレームの新開発に火をつけたのです。

 

装置部門が成長すれば、アルミフレーム部門のさらなる成長につながる。

その成長により優れたアルミフレームが誕生すれば、さらにお客さまの求める装置を作ることができる。

2つの部門は、さながらDNAの二重螺旋のように、重なりあい、お互いを高めあいながら成長しているのです。

 

 

時代の追い風を受けて


 

当時、世の中はパソコンや携帯電話など、新しいデバイスが次々に登場していた時代でした。

そのブームを支える精密電子部品をはじめとする製造業も急成長を遂げています。

 

ホコリを嫌うデリケートな部品を扱う業種なので、製造機械には多くの装置カバーが使われていましたが、

カバーに使うフレームには、強度はあまり必要ありません。そのかわりもっと軽くて、低価格。

要するに気軽に使えるアルミフレームが求められるようになっていきました。

 

折しも1995年から施工されたPL法「製造物責任法」により、

カバー類のニーズはますます増えていきました。

 

まずはこの声に答えよう!

 

目標が決まればあとはゴールに向かって突き進むだけです。

早速従来製品の見直しから始まり、日々開発会議が重ねられました。

 

「軽さを実現するにはどうしたらいいか」

「軽いだけではダメだ。軽さの中にもある程度の強度は必要だ」

「強度や目的にあったものを選べるように種類も揃えなくては」

 

アイデアは尽きることなく、互いに持てる知識と技術を総動員して、

新たな軽量フレームを生み出すべく努力の日々が続いたのです。

 

強度の秘訣は「形状」にあり!


 

開発チームが最も大切にしたのは、「NICらしさ」でした。

 

その頃、NICの他にアルミフレーム製造をメインに行う会社がいくつか現れ始めました。

それだけアルミ製品が世の中に浸透していということなのですが、

安価なアルミフレームが市場に出始めた頃でしたので、

老舗としてもこのまま静観しているわけにはいきません。

 

我々が作り出すアルミフレームは、軽さの中にもしっかりとした強度を持たせたい。

そのためにこだわり抜いたのが、「精度」でした。

 

NICのフレームは、溝形状とナットの接触面に特徴があり

一旦組みあがれば、極めてしっかりと固定され、ある程度の重さが加わっても

高い強度と剛性が保たれるようになっています。

この特徴を生かし、軽量化することがNICのこだわりであり、

お客様のニーズを汲み取り実現する技術は、NICならではのものです。

 

そして、1999年6月。試行錯誤の末、ついに特殊な形状を作り出すことに成功し、

文字通り「軽くて丈夫」な新フレームが完成しました。

 

今回誕生したのは、軽量化製品6タイプ(ライト級)に加え、

ゴム製の緩衝材を取り付けるなど機能を変更したものが20タイプ、計26のニューフェースです。

 

平成11年(1999)5月20日 北日本新聞(アルミフレーム軽量化 新製品来月販売)
従来製品に比べ約3割軽量化した新商品♪

 

従来製品に比べ「空洞部分」を多く取ることで、3センチ角の標準タイプで31%軽量化に成功。

それに伴って価格も30%引き下げることができました。

 

お客さまの求めるものを、届けることができる。

そして、強度や使用目的に合わせたフレームで製作コストを下げる提案ができる。

 

今回のラインアップ強化によって、今まで以上にお客さまの「〜したい」に

寄り添うことができるようになりました。

ものづくりにとって、何ものにも変えられない思いを胸にした開発チームは、

その後も開発のスピードを落とすことなく、更なるラインアップ強化に向けて歩き出しました。

 

NICが目指すのは、「適材適所」のアルミフレーム

開発チームが次に目指すのは何処か?

 

続きは次回のお楽しみということで。

 

<つづく>

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