NICおーっ!とテック物語【第12話】NICの原点 装置メーカーとしての成長物語

公開日時:2015/01/27

前号までのお話


 

時間を少し巻き戻し、時は再び2000年の初頭が舞台となります。

ITバブルが吹き荒れる中、 各企業に「エコ意識」が求められる時代が

やってきました。そんな時流に乗って、NICのクリーン技術は、

今までにない分野にも順調に拡大して行きました。

しかし、販路が広がるということは、クリーンに関する知識が

少ないお客様も増えるということ。

なんとかして意思の疎通を計りたい!という新たな課題が生まれました。

そこで我々が選択したのは、「ホームページの開設」と

「クリーンブースの規格化」という新たな挑戦です。

規格化した組立式クリーンブースは「ACBシリーズ」と命名され

2003年の展示会で初披露。地道なプレゼンが実を結び

クリーンブースはさらに順調な伸びを見せていきます。

 

この好調は続くものと誰もが思っていたのですが・・・。

現実はドラマよりも奇なり。この後、何が起こるか、

まだ誰も気づくものなどいなかったのです。

 

 

NICの原点 装置部門の成長と躍進


 

さて、しばらくクリーンブースを中心にドラマをお伝えしてまいりましたが、

時代のニーズに合わせて成長したのは、クリーンブース事業だけでは

ありません。

NICの原点である装置部門においても、大きな成長と発展がありました。

 

ここからドラマは一転して、

NICの装置事業を舞台に織りなすドラマをお届けしたいと思います。

 

おーっ!とテック物語の第6話【昭和にワープ!NIC創業時を振り返る】

描いたように、現在のNICの前進は、やすりの製造・加工を行う工場でした。

 

1927年、昭和2年の創業以来、時には時代の力に背中を押され、

時には時代の波に翻弄されながらも

ただ前を見て進んできました。

 

今も昔も変わらないのは、

「使う人の気持ちに寄り添いながら、

今までにないものを生み出していきたい」という

純粋なものづくりの心です。

 

その心を受け継ぎなら、NICは様々な事業を展開するように

なりました。

 

ここで、ひとつの図をご覧頂きたいと思います。

 

アルミフレームの製造加工がメインだと思っている

お客様も多くいっしゃるのですが、

実は、NICのはじまりは、「装置づくり」からなのです。

 

 

テック物語年表2
【NICの歩み】クリックすると大きな画像が開きます

 

 

こちらは、最新のアルファフレーム総合カタログ[2015−16年度版]の

巻頭に掲載した図版です。

 

最新カタログをお持ちの方は、ぜひこの機会に

ページを開いてみてください。

 

PDF版もご用意しておりますので、

一括ダウンロードしてもご覧いただけます。

http://www.nic-inc.co.jp/alfaframe/product/pdf_catalog/index.html 

 

この図が示すように、現在の様々な事業の原点は

「装置事業」。当初はお客様のご要望に限りなく応えるべく

「自動化装置」をフルオーダーで作っていました。

 

装置製作の簡素化を図るために

装置構造用のアルミフレームを開発しました。

それが「アルファフレームシステム」です。

 

そのアルミフレームが、どのような発展を遂げたのかは

「おーっとテック物語」第1話〜5話でお話ししました。

 

ここからのドラマは、その後のこと。

舞台は1997(平成9)年に移ります−−−−−−−−−

 

 

お客様のニーズに応える装置を作る!


 

生産ラインは生き物です。

 

時代が求めるものにあわせ、製造ラインもまた

必要とされることが刻々と変化していきます。

 

ここはもっと楽に製品を動かしたい

出荷する手前に効率よく検品したい

ライン内に検査装置があったら、もっと便利になる

次の工程に移る前に、部品を一度洗いたい・・・

 

お客様のニーズに耳を傾け、どうすれば生産効率を上げる

ことができるかを、共に考え、提案し、時にはお客様に

対して、こちらがイエスと言わないこともありました。

 

お客様と一緒に作り上げた装置も実に様々。

搬送装置や検査装置、洗浄機装置など、多岐にわたるものとなりました。

 

しかし、NICの「ものづくり魂」には

ゴールというものがありません。

 

もっと効率よくできるのではないか?

もっと省スペースで

もっと簡素化して・・・

 

そんなものづくりの心が生み出したのが

「小型部品洗浄装置」の開発へと導いたのです。

 

 

ものづくり魂が導いた「小型部品洗浄装置」の開発


 

当時、小物部品はコンベアによるシャワー洗浄か、

かごに入れてバッチで洗浄、

あるいは高価な高圧洗浄といった方法が主流で

複雑な形状や、細い穴がある物は十分な洗浄ができず

自動化が困難でした。

 

しかも、洗浄機といえば大きな電力を使用し、

うるさくて、汚いというイメージもありました。

 

そこで、1個ずつ丁寧に、安価に、省電力で、静かで、

液やミストが飛び散らず、きれいな洗浄機ができないか・・・

つまり、現状の「逆」を行く良質な洗浄をなんとかして

可能にしたい。開発チームはそう考えたのです。

 

その結果、ざっくり洗浄する荒仕上げ、しっかり洗浄する仕上げ洗浄、

それらを乾かす乾燥機能を持った洗浄ボックスを1列に配置し、

部品を一個ずつ順送りする自動化装置を開発したのです。

 

もともと自動化装置を製作してきたNICにとって

自動化すること自体は、さほど難しいことではありませんでした。

 

が、中でも困難だったのは、複雑な形状部品の細かい凹凸、
穴の中までしっかり洗浄すること。

 

この目的を果たすため、開発者は部品に合わせ

細い穴でも狙って洗浄液を吹き付け、集中的に洗浄できる専用ノズルを設計し

部品が変われば、ノズルを交換するだけという画期的なしくみにしたのです。

 

また、部品をつかむアームが箱を密閉する役割を兼ね備え、

洗浄液の漏れや飛散防止し、周辺の作業環境をクリーンに保つ工夫を凝らしました。

 

細かい部分を狙って洗浄するため、低圧でも洗浄効果が高く

省エネにも貢献することができます。

 

試行錯誤の上、自動化を実現した小型部品洗浄装置は、

機械、自動車部品メーカーなどに受け入れられ

1997年5月には、全国の400社が加盟する自動化推進協会様から

自動化技術賞を賜りました。

12話_新聞2

 

12話写真切り抜き

 

この受賞は、ものづくりに携わるものとして

名誉であり誇りであり、今までの実績の勲章と言えるものでしょう。

 

この勲章を胸に、広がりゆくアルミフレームの未来を見据え、

未知の新しい用途開発に挑戦していこうと決意したのでした。

 

さらなる飛躍に挑戦するNICが,次に挑むものとは一体・・・?

 

<つづく>

カテゴリ一覧