NICおーっ!とテック物語【第1話】アルファフレームシステムの誕生
公開日時:2013/04/23
時は昭和の終わり。バブル経済が本格的に花開き、日本中が「なんか景気が良くなって来たな」と感じ始めていた頃のお話です。
現在のNICオートテックは150名を越える従業員がおりますが、当時は総勢15人の小さな所帯。その頃は主に、工場内の加工工程で、部品を機械から機械へ無人で運ぶ省力化設備を請負で作っておりました。
お客様の声に応える“NIC気質”が生み出したもの
しかしながら、職人気質ならぬ“NIC気質”はその頃から健在で、単に製品を納めるだけではなく、「お客様のご要望とあらば、可能な限り応えたい」という思いを常に持っておりました。
お客様も装置を使っているうちに、「途中で検査をしたい」「ここで部品を洗いたい」「ここでは部品を溜めたい」といった新たな要望が生まれてくるもの。相談を受けるたびに、生産ラインは生き物なんだと気づかされ、現場のニーズに合わせて絶えず改良を加えていくこと、生産性向上できる装置を提供することこそ、装置屋のミッションなのだと改めて思うのです。
私たちもそういったお客様の「生の声」に誠心誠意応えようと、
「じゃ、こうしたらどうですかね?」
「ここに洗浄機を入れると、後工程で品質向上しますよ…」
と、提案しているうちに、ふと気づけばお客様のニーズに合った「自動化装置」を作るようになっていたのです。
とはいえ、当時はお客様の要望に合わせて、その都度違うものを溶接加工しながら組んでいったので、正直、手間も時間もかかっておりました。何度も経験するうちに、こんなに手間のかかる溶接構造ではなく、 「組み立て式のアルミフレームで、変更自在に製作できないものか?」 という発想が生まれてきたのです。
しかし、調べてみても、丁度良いアルミフレームを扱っているところがない。
「ないのだったら、作ってしまえ!」と、装置構造用のアルミフレームを自社で開発することになったのです。
日本初! 新しい概念のアルミフレームシステムの誕生
1986年から実際の装置に使用し始め、十分適合することを確認し、「これならイケる!」と、今後の装置の構成部材になることを確信しました。
NICオートテックは、日本で初めて自社開発によるアルミフレームの製品化に成功したと同時に、日本初!のアルミフレームメーカーとなったのです!!
ほかのどこにもない、全く新しい概念のアルミフレーム。作ったからには、世に出して、多くの人に使っていただかなくてはなりません。そのために必要なのは製品のネーミングです。「せっかくだから、意味のある名前にしよう」と、15人の従業員全員でネーミングの検討が始まりました。
最初に制作したパンフレットに採用したのは、「Aluminum Fabrication」。 でも、これだけでは単なる「製作」という意味が強くなってしまいます。 我々が目指すのは、アルミフレームをもっと有機的に組み合わせて「装置」を構成すること。つまりは「システム」そのものを構築することです。 その思いが伝わるようにと検討に検討を重ねた結果、 「Aluminum Fabrication Frame Systems」略して「アルファフレームシステム」に決定しました。
ちなみに、本来なら複数形の「Systems」になりますが、日本人にとっては「ズ」がない方が馴染みやすいと考えて、あえて「ズ」を取り、単数形にしました。
オートテック展で華々しいデビューを飾る・・・はずだったのに…
さて、無事製品名も決まり、我らが「アルファフレームシステム」は、いよいよお披露目の日を迎えます。それは1988年10月に東京の晴海で行われた「オートテックショー」!
展示会に出展するのも初めて。扱う製品もピカピカの新製品。なにもかもが「はじめてづくし」でしたが、私たちの胸の中には、製品に対する自信と熱い思いが溢れんばかりでした。
「5種類」のラインアップではありましたが、“日本初のアルミフレームメーカー”となった期待を胸に、社員一同、湯気が出そうな勢いで来場者の反応を伺っておりました。
しかし・・・!!
デビュー戦は惨敗…。これまで世の中になかったものを売るというのは、 想像以上に難しいことでした。
それというのも、当時の日本では、装置をアルミ合金部材で構成するという文化そのものがありませんでした。しかも展示されているのは、誰もが「初めて目にする製品」です。そうやすやすと受け入れてもらえるはずもありません。 今思えば、お客様も相当戸惑われたのではないでしょうか。
そんなこんなで、「日本初」という洗礼を受けたデビュー戦となりましたが、 厳しい評価は続き、その年の売上げは、なんと、5,500円!! Σ(@ω@;)! 長さにすると“たった1メートル”のフレームしか、売れなかった計算になります。
出だしからいきなりの大ピンチ!! さぁ、どうするNICオートテック?!
この難局に、NICが出した結論とはーーーー!?
<<つづく>>