おーっとテック物語 第38話 アルファフレーム九州、誕生
公開日時:2022/08/18
前回までのお話
船出したばかりの「KAKCHAR+マーキングシステム」の前に立ちはだかる景気の低迷。価格競争。内製化への切り替え・・・。しかしこの壁の向こうには、アルミで困っている新たなお客様がいることを確信したKAKCHARチームは、今まで以上に西へ東へ駆け回ります。
想定通り反応は厳しいものでしたが、その厳しい声に応えてこそのKAKCHARチームです。開発の手を緩めることなくマーキングシステムの「応用力」を高めることに注力し続けました。その成果が最長の6メートルまでの印字対応、多色刷りへの対応、ブラックフレーム専用インクの採用など、可視化の向上につながりました。
そして2014年9月。KAKCHARの新サービス「ナット付フレーム」が販売開始となり、現在の「KAKCHAR」+「マーキングシステム」+「ナット付フレーム」という三本柱でのサービス提供が始まったのです。
すべてはお客様の声に応え、悩みを解決することから生まれた技術とサービスです。今後、さらにどんな進化の道を進むのでしょうかーー。
アルファフレームの新たな展開を目指して
ここしばらくKAKCHAR関連の話が続きましたが、少し時間を巻き戻し、視点と舞台を変えて、NICの歴史を紐解いていきたいと思います。
時は2010年。KAKCHARチームが「マーキングシステム」をはじめて世に送り出してから、わずか3ヶ月後。NICはもうひとつ、新しいチャレンジの扉を開きます。それは、九州への進出ーーー。2010年4月、福岡県大牟田市に「アルファフレーム九州」が開設されました。
現在のNICは、富山県の富山本社/流杉工場、立山工場/開発センター、立山事業所の3拠点を中心に、東京本社、愛知事業所、アルファフレーム北関東、アルファフレーム関西、アルファフレーム九州と、海外現地法人である「NIC Autotec(Thailand) Co.,Ltd.」の合計9つの拠点で、すべてのお客様に対応しています。
NICネットワークの国内最南端にあるのが、アルファフレーム九州です。 もともと関西以南は1996年8月に開設したアルファフレーム関西(当時の呼称は西日本テクニカルセンター)が対応しておりましたが、ますます高まるアルミフレームの需要に迅速に応えるには、もう一箇所、関西以南を任せられる拠点が必要だーーーー。 そう考えていたNICが新たに白羽の矢を当てたのが、九州は福岡県でした。
ご存知の通り九州は古くからもづくりが盛んな場所です。そこにはきっとアルミフレームが役立つ場所があるはずだ。しかも、九州からなら、山口県や島根県など中国地方や四国も十分網羅できる。そんな新しい市場を見据えて、営業機能を持つ工場を建てるべく、2003〜4年頃から調査が開始されました。
難航する調査の中で
何しろ初めての場所ですし、なんの足がかかりもありません。しかも富山と九州、結構な距離があり、調査には想像以上の時間がかかってしまいます。
また、情報量の少なさから、物件探しにも大いに苦労しました。最初は知人の紹介を受けたりしながら、様々な物件をあたったものの、なかなか条件の良い立地に巡り会えません。
しかし、諦めるどころか、調べれば調べるほど、アルミの可能性と新規市場開拓への熱い思いは、日に日に強くなっていきました。このあたりが「壁は高い方が燃える」ものづくり魂のなせる技なのかもしれません。
その思いが通じたのでしょうか。今まで立ち込めていた暗雲が、すーっと晴れるように、〝次なる展開〟が開ける日がやってきます。
まずは場所。何度目かに足を運んだ福岡県内で「ここならいける!」という場所に出会うことができたのです。
そして仕事。この時と前後するように、九州のある大手企業様から引き合いがあったのです。
はたから見れば単なるタイミングの良い話に思えるかもしれませんが、このお話をいただけたのも、九州拠点が現実レベルになっていたからこそ。絵に描いた餅では、きっと商談には至っていなかったでしょう。コツコツと「やるべきこと」をやっていたからこそ、こうして活路は拓けたのです。
お客様と場所がほぼ同時に決まったからには、やるべきことはただ一つ!!
急ピッチで九州の拠点作りが進められました。
九州・中国・四国・関西エリアのお客様のために
求められているのは、高品質。短納期。低コスト。これはいつの時代も、どこの場所でも変わりはありません。技術力には自信がありますから、あとは製品とサービスを提供するこちら側の効率をあげていけば、きっとご希望に添えるはず。
その思いを胸に、2010年4月、アルファフレーム九州が誕生しました。 まずは、地元九州のお客様に満足していただけることを第一に。 そして、中国、四国、関西エリアのさらなる営業強化の拠点への成長。 そんな大いなる野望と希望を背負って、アルファフレーム九州は、今日も元気に稼働中です。
フレームの切断・加工・パーツの出荷を手がけ、少数先鋭のスタッフが、驚くほどたくさんの製品を、効率よく客様にお届けしています。今では「ミニ立山工場」のような存在となったアルファフレーム九州。さらなる成長を目指して、努力を続けます。
<つづく>