おーっとテック物語第37話 逆境が育んだサービスの進化
公開日時:2022/08/18
前回までのお話
2010年1月。KAKCHARチームの目指すプリンタ装置が完成し、かねてからの構想であった「KAKCHAR+マーキングシステム」が正式なサービスとしてスタートしました。これによりアルミフレームの組立で約4割を占めていた「探す」「考える」「測る」という「3大お悩みごと」が一気に解決することになります。あとはお客様にどうやって理解していただくかなのですが・・・。
しかし当時はまだリーマンショックの傷跡が癒えず、業界全体が沈んでいた時代です。アルミの価格競争が始まり、多くの企業が組み立て作業の内製化へ切り替え始めました。KAKCHARチームの思惑とは真逆の方向へと進んでいるような世の中でしたが、そこに新たな問題が生まれます。それは「不慣れな社員さんが不慣れな作業を行う」という“負のスパイラル”だったのです。
不景気を味方につけろ!
景気の低迷。価格競争。内製化への切り替えーーー。図らずも荒波の中での船出となった「KAKCHAR+マーキングシステム」ですが、その厳し過ぎる逆境の中こそ、進むべき道がありました。
低価格ゆえにアルミを選んだものの、選択から苦労されている新たなお客様。
外注費を抑えるために内製化に切り替えたものの、不慣れな組立作業に苦労するお客様。
そう、目の前に「アルミで困っている」お客様がいるのです。 しかも不慣れが不慣れを呼ぶ「負のスパイラル」に翻弄されている方々が!
そこをなんとかするのが我々KAKCHARチームの使命と、まずは「KAKCHAR+マーキングシステム」の価値を知っていただくために奮闘する日々が始まりました。
まずは使っていただく!キャンペーンを引っさげ西へ東へ
まずは知っていだく、使っていただくことが先決と、マーキングシステムを「初回無料キャンペーン」を展開し、1社でも多く声を聞かせてくれるお客様を見つけるために西へ東へ駆け回りました。
刷り上がったばかりのパンフレットを手にお客様の元を訪れ、丁寧にサービス内容を説明しますが、予想以上に「付加価値よりもズバリ低価格」を求める傾向は根強く、「便利なのはわかるけど、価格がね・・・」そんなセリフを何度聞いたかわかりません。
また、「(仕事量が減って)時間はたくさんあるから(必要ない)」とか、「効率化したら、我々の仕事が無くなっちゃう」といったお客様の正直な声を聞くたびに、KAKCHARチームは考えさせられたものです。
しかし、ここでくじけるKAKCHARチームではありません。 時間があるのはお客様だけではない。我々にだってたっぷりある。その時間を使って「KAKCHAR+マーキングシステム」をより使いやすいものに進化させるんだ!
今は効率化を歓迎できなくても、お客様はきっとわかってくれる。面倒な組み立て作業から解放されることで、もっと別のやるべきことに大事な時間を使えるようになるのだから・・・。
そう信じて、KAKCHARチームは走り続けたのです。
マーキングシステムの応用力が高まる
その努力は徐々に実を結び、お客様が本当に必要としているものが何なのか、その「核」となるものをKAKCHARチームは確実に掴んでいきました。そしてその声に応えていく中で、「KAKCHAR」+「マーキングシステム」もどんどん進化を遂げていったのです。
その成果のひとつとして、サービス開始当初は3メートルまでしか印字対応できなかったマーキングシステムは、現在、最長の6メートルまで印字が可能になりました。
また、ナットサイズが一目で分かるように、色を変えての印字が可能になり、
さらに、通常のマーキングでは視認が困難であったブラックフレームには、専用のマーキング装置を製作し、対応を可能にしました。
このように、より便利になるようにひとつずつ実践的な機能を加え、プリンタシステムの応用力を高めていったのです。
新サービス「ナット付フレーム」販売開始
そして、2014年9月。KAKCHARの新たな付加価値を提供すべく「ナット付フレーム」を販売開始します。
これは名前の通りナットをフレームに挿入してお客様にお届けするものなのですが、「ナット」という組み立てにはなくてはならない小さな存在をどう扱えばいいかを教えてくれたのは、ほかならぬお客様だったのです。
マーキングシステムによって、ナット挿入位置の計測・罫書きが不要になり、ナットの入れ忘れもなくなりました。お客様はみな、声を揃えて「便利になった」と言ってくださいますが、しかしながらナットをナットホルダーにセットして、フレームに挿入するという細かな作業はどうしてもお客様の手でおこなわなければならず、そこに結構な時間がかかっていたのです。
「だったら最初からフレームにナットが入っていれば、もっと便利なのに・・・」
そうか!その手があったか!
マーキングが施されていれば、組み立ては誰でも出来る単純作業になります。お客様が言うように、NICでナットを入れて出荷すれば、届いて直ぐに組立ができるようになるではないか!
さっそくKAKCHARチームは、その声に応えるべくあらかじめナットを装着するにはどうすればいいか、その方法を模索します。そしてKAKCHAR+マーキングシステムがデビューしてから4年の時を経て、現在のスタイルが完成するのです。
「KAKCHAR」+「マーキングシステム」+「ナット付フレーム」の三つ巴で、驚くほどの「時短」と見えないコストカットに貢献できるようになりました。
しかしながら、ナット付きフレームサービスが実現できたのは、先に「カクチャ&マーキング」があったからこそ。物事が成熟するには順番があるのだということにもKAKCHARチームは気付くことができました。
世は平成から令和へと変わりましたが、KAKCHARチームはの思いは常に変わらず「お客様の困ったを解決する」ことです。
どこまでお客様のニーズに応えていける、どこまで時代を先取りできるか、その変化のほどを見守っていただければ幸いです。
<つづく>