おーっとテック物語 第31話 理想のプリンタを探し求めて
公開日時:2022/08/18
前回までのお話
リーマンショックの影響で仕事量は激減。その代わり生まれた「時間」を味方につけて「今できること」に集中していったKAKCHARチーム。お客様からのヒアリングでも最も多かった「ナットの挿入が面倒」「作業自体はシンプルだが、高いスキルが求められる」といった問題を解決するために立ち上がりました。
KAKCHARはナットの挿入図まで自動作成することが可能なので、一連の作業の指示書を作ることも可能です。しかし、開発チームが見ていたのは、さらにその先。それはなんと、「図面すら必要のない」状態を作り出すことだったのです!
図面いらずのアルミフレームを作りたい!
KAKCHARを使わずにアルミフレームを組み立てるには、次のような工程が必要になります。
1)図面を見ながら材料を探す
2)取付け面、向きを確認し、寸法を測ってフレームに罫書きをする
3)ナットを挿入
4)ブラケットを仮締め・仮組立てする
5)ブラケットの本締め・組立・検査
いずれも正確さや経験値を求められる作業です。ある程度のスキルがないと、きちんと組み立てることができません。
そこでKAKCHAR開発チームが目指したのは次の2つ。 「作業時間と工程の圧倒的な短縮」と、「スキルのない人でもできる作業まで落とし込む」ことでした。
KAKCHARの自動作図機能を使えば、ナット挿入作業用の指示書を作成することができます。これだけでも十分、画期的なことでしたが、ここで満足する開発チームではありません。さらなる効率化を求めて考え抜いた結果、出した結論が
“アルミフレームに直接図面データを印字する”
ことだったのです。
理想のプリンターを探し求めて
フレームに型式と長さがわかる部品番号、ナット挿入位置、部品取付位置など、組み立てに必要な情報がすべて書いてあれば、指示書を見ずにすぐ作業に入ることができます。これまで組み立て時間の半分以上を占めていた「探す」「測る」作業からお客様を解放し、かつてないほどの作業事案の短縮に貢献することができます。
これは素晴らしいアイデアだ!
これが完成すれば、他のどこも真似できない、NICだけの技術になる!
そう確信したKAKCHARチームは、アルミフレームに直接印字するための研究に没頭しました。 もちろん、アルミフレームに印字する専用の装置はありません。 アルミフレームに関する知識は有り余るほどありますが、印刷に関することは、これから勉強していかなくてはなりません。
まずは、様々な印字方法を検討してみるところから始めました。 世の中には様々な印刷方法がありますが、残念ながらどれもしっくりきません。 試行錯誤を繰り返しましたが、なかなかベストなものは現れませんでした。
ないならば作ってしまえ! ものづくり魂の炎、ふたたび
検討を重ねる中で、KAKCHARチームが求める「理想のプリンタ像」が見えてきました。
最も重要なのは、高い精度で製品にキズをつけずに印字することです。加えてインクがしっかり定着し、色もきれいで発色も良し。
でも、なかなか理想のプリンターには巡り会えません。
そんな中、KAKCHARチームの心に芽生えたのは、いつものものづくり精神です。
良いものがなければ、自分たちで作ればいいじゃないか!!
ここからマーキングプリンター開発が始まりました。 印刷方法はどうするか、精度は出るのか、様々な形状のフレームにどのようにプリントして行くのか。しかも、フレームには4面、文字、長さや位置を指示するマークをプリントしていく必要があります。
課題はまさに盛りだくさん。しかし、目の前にあるハードルが高ければ高いほど燃えるのがKAKCHARチームのものづくり魂です。自分たちが掲げた理想像に、現実をいかに引き上げ、近づけるか?
この続きは次回のお楽しみということで。
つづく