NICおーっ!とテック物語【第24回】新生AMS誕生す
公開日時:2022/08/18
前号までのお話
時は1998年。Windows98が登場し、世の中に一代パソコン旋風が巻き上がっていた頃、
NICも新たなテクノロジーへの挑戦として、アルファフレームシステム専用の三次元設計
システム「AMS(Alfa Multiply System)」の開発に取り組んでいました。
今までお客様が装置設計にかけていた膨大な手間と時間を、AMSによって軽減したい。
この一念でシステム開発に取り組み、翌99年から第1フェーズの運用が開始されました。
設計のノウハウをデータ化し、システムに組み込みこんだ結果、案件処理のスピードが
飛躍的に向上。設計アシスタントでも操作が可能となり、熟練のCADエンジニアが
1日に1~2案件しか処理できなかったものが、1日に5~7案件の対応が可能になりました。
「Win-Winのシステム」を目指して歩き始めたAMS。さて、その先に待ち受けるものは・・・?!
AMS、原点回帰す
アルファフレームシステム専用の三次元設計システム「AMS(Alfa Multiply System)」が
動き出したことにで、迅速かつ正確な装置設計が可能になったNIC。
お客様からの反応も上々でした。
しかし、ここで手綱を緩める開発チームではありません。現時点はまだ、第一フェーズの完成に
過ぎない。今はまだ道半ばと、AMSに改良を加えていきました。
開発チームが描いていたAMS像は、単なる作図システムではなく、
部材選びから完成までのすべての工程に、必要なデータを的確に供給できる
“基幹システム”になることでした。
そもそも「ものづくり」では、図面の作成が“上流”となります。
そこから実設計、組み立て・・・と、具体的な作業に落とし込んでいくため、
スタート地点こそが肝心要となります。
ここが少しでもブレていたのでは、優れた構造物を作り出すことはできません。
専用CADによって作成した作図データに、ナットの挿入数や取り付け位置の指示などまでを
盛り込み、部材発注時には部材リストと見積書に、組み立て時には組立要領書や指示書として
利用できる。さらには、そのデータをそのままアルミフレームの切断機に用いて、
必要な長さのフレームを効率よく切り出していく・・・。
このように、作図からフレームの切断、組み立てに至までを
“トータルに支援していく”システムを作りたかったのです。
しかし、システムを育てていくには、一朝一夕にはいきません。
目指す機能を実現するためには、どこから強化して行けばいいか、
それを見極めるだけでも、それなりの時間が必要となります。
試行錯誤を繰り返しながら、バージョンアップを試みますが、
なかなか理想と現実とのギャップを埋めることはできませんでした。
6年間運用の後、開発部が下した判断は「ゼロに帰す」でした。
それなりの時間と費用をかけて重ねてきたものをリセットするためには、
相当な勇気と決断力が必要だったと思われますが、その英断を支えたのは、
「より良いものを作るためには、潔くスタートに戻ることも厭わない」という
ものづくりの高い精神でした。
新生AMS開発計画START、そして「カクチャ」へ・・・!
再スタートを切った開発チームが最初に着手したのは、改めて自分たちの求める
「理想のAMS像」をクリアにすることでした。
そもそも初代AMSの出発点は、作図作業を効率化するための自社用システムでした。
作図、リスト、見積書の作成のみを提供することに主眼を置けば、
従来のシステムに改良を重ねていくだけで、十分目的を果たすことは
できたはずです。
しかし、開発チームは将来を見据えた上で
「その先」を目指したからこそ、ゼロベースで取り組んだのです。
新システムの目的は、営業、設計、現場の作業効率向上はもちろんのこと
お客様に対するサービス向上と将来的な3Dデータの後工程での活用です。
そのための第一歩として、調査フェーズを開始。「お客様アンケート」を実施して
実際に困っていること、苦労していること、そして希望するサービスについて
生の声を集めていきました。
お客様のご苦労を取り去ってこそ、本当の便利さが生まれる。
お客様に負担をかけているうちは、便利なシステムとはいえない−−−
そこには一切の妥協はありませんでした。
アンケートから得た貴重な意見をもとに、 お客様の「困った」を
解消できるシステムの詳細仕様について検討に検討を重ねていきます。
そして開発フェーズへと進み、プログラム開発・テスト・調整を繰り返していきました。
そして、2年の月日が流れ−−−−
2008年1月。ついに「新生AMS」は産声を上げたのです。
新生AMSはどのような効果を見せるのか? お客様の反応は?
そして、どのような道を経て「カクチャ」誕生に至るのか・・・?
この続きは次回のお楽しみということで。
<つづく>