NICおーっ!とテック物語【第4話】世界初の試み コンベアーシステムの自動化成功

公開日時:2013/09/24

前号までのお話


 

1992(平成4)年初夏、富山県立山市の流杉に、誰もが驚くような建物が完成しました。「アルミ館(やかた)」と呼ばれるその建物は、NICが作った新しいアルミ工場でした。

「人間に優しい労働環境を作らなければ、組織は活性化していかない」--- これがアルミ館を生み出した源です。

当時は「3K」が当たり前だと思われていた製造業の現場に、快適さとアートとユニークさをとりいれ、「ものづくり」の心を刺激する空間を作り上げたのです。大迫力の壁画、廃材を利用したオブジェ、古き良き時代に活躍した機械や道具もインテリアとして活用しました。

この唯一無二の空間が生み出す製品は、未来の日本を支える唯一無二のものであってほしい。そんな思いに支えられたアルファフレーム開発チームの次ぎなる一歩は…?!

 

世界を目指して、アルファフレーム本格販売開始!


 

「アルミ館」というものづくりのステージが完成し、アルファフレームを本格的に世に送り出す準備はすべて整いました。機は熟しました。いよいよ本格販売に向けて、全力で動き出すときが来たのです。

 

やるならば大きくチャレンジしたい−−−。国内の販路の拡大と同時にアルファフレーム開発チームが目指したのは、「世界」という檜舞台でした。国内での注目度の高さ、お客様の反響は、「世界でも勝算あり」との答えを導きだしたのです。

 

その足掛かりとして、アメリカへの輸出拡大を図るため、カリフォルニア州にある企業と業務提携を結びます。同社はアメリカ全土に30の拠点を持つ大手メーカー。信頼できる実績とネットワークを持つ強力なパートナーを得て、初の海外販売会社を設立しました。

主力のアルミフレームはもちろんのこと、ロボットシステムを軸に、加工フレームやコンベアー関係、組み立て用ロボットを絡めたシステムなど省力機械の各種システムを販売して行く計画を立てました。ターゲットはアメリカの電子メーカーや工作機械メーカーです。

 

一方、日本国内では、米国向けの輸入強化に備えて、最高級のCADシステムの導入を決断。設計時間のスピードアップ、部品の発注や部品リストの管理などもすべてオンラインで管理できるようにしました。

 

このようなシステムを持つメーカーは、富山県内ではNICだけ。最高のものを作り出すには、最高の道具を用意すべきだという「ものづくり」の心意気が、ここにも色濃く現れているのです。

 

技術開発室_int008
富山県初の導入となったCADシステムは現在もなお進化中

 

 

世界初の試み コンベアーシステムの自動化が大成功!


 

ここで改めて「アルファフレーム」について、少し説明しておきましょう。

アルファフレームは、特殊な形状をした硬質アルミフレームです。従来の鋼材のように溶接・機械加工・穴開けなどが不要な上、切断も自由自在。

軽量なので、取り付けや組立も簡単です。さらに、見た目にも美しいのに、とても頑丈で、相当な重量がかかっても折れたり曲がったりもしません。

錆にも強く、実に扱いやすいのです。

これらの利点が注目され、国内はもちろん、国外からも多くの引き合いが来るようになりました。

 

それと当時に注目を浴びたのが、「アルファコンベア」です。

「アルファフレーム」を開発してからも、開発チームの「ものづくりの魂」は留まることを知らず、アルファフレームに特許システムを組み込んだ画期的なコンベア(搬送機械)を生み出していたのです。

 

どこが画期的なのかというと、ベルト調整の「ワザ」にありました。

従来の搬送機機のベルトは、一日に一度、たるみを人の手で直していたのですが、アルファコンベアは、フレームの中に「オートテンション」という名の自動スプリングを入れることで、自動化を実現!

なんと世界初の試みにして、大成功を納めたのです。

 

コンベアーに特許2
アルファフレームに特許システムを組み込んだ画期的な「アルファコンベア」は当時注目の的でした

 

 

日本のものづくりの「粋」を集めた小型搬送機は、機能性とメンテナンスの容易さを兼ね備えたアルファフレーム開発チームの自信作。世界進出の主力商品として、アメリカ、そしてシンガポールへと、販路を広げいくことになるのです。

 

<つづく>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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