NICおーっ!とテック物語【第5話】八角フレームの誕生
公開日時:2013/11/27
前号までのお話
「アルミ館」完成によってアルファフレーム量産体制がすべて整いました。軽量、硬質、錆にも強く、取り扱いが簡単な「アルファフレーム」は、国内外から多くの引き合いが来るようになりました。その販路を「世界」に見たNICは、アメリカへの輸出拡大の足掛かりとして、カリフォルニア州にある企業と業務提携を結びます 。
一方、順調に伸びゆくアルファフレームに慢心することなく、開発チームは「アルファコンベア」の開発を手がけます。従来の搬送機機に付き物だったベルトの「たるみ」を、自動的に解消することに成功! 世界初の快挙を成し遂げます。アルファフレーム及びアルファコンベアは、NICの主力商品として、アメリカ、そしてシンガポールへと、販路を広げいくことになるのです。
アジア・欧州・アメリカ 次々に誕生する海外拠点
世界進出の足掛かりとして、カリフォルニア州の現地企業との技術提携に成功したNIC。
米国・欧州・アジアの三拠点での海外進出を目指します。
欧州では、オランダ・ドイツを中心に、現地の有力企業との業務提携・技術提携を展開。
アジア市場への進出は、シンガポール・台湾をメインに、さらにタイへと活動を広げて行きました。
担当者がたびたび現地へ赴い、意欲的に技術セミナーを開くようになります。最初は小規模でしたが、次第に人が集まるようになり、93年にシンガポールで開かれた「自動化」の技術セミナーには、50人を超える技術者が集まったといいます。
1995年(平成7年)の夏。日本は阪神・淡路大震災に見舞われ、大きな傷を負いますが、同時に「ものづくりの心」を原点とした日本の底力を、広く世界に知らしめることになります。
アルファフレームの海外進出は、多くのメディアに取り上げられました
以降、海外で行われる世界規模の産業装置見本市にも積極的に参加。海外の業界専門誌にも技術情報を提供するなどの功績が後に評価され、
平成8年10月に行われた「企業グランプリ富山」の「国際化部門賞」に表彰されるに至ります。
富山の小さな会社の「ものづくり魂」は、人種や国境を超えて、多くの人に認められていくのです。
アルファフレームの新しい仲間! 「八角フレーム」誕生
さて、積極的な海外進出を行うと同時に、国内でも新たな動きが見え始めました。
当時のNICが目指していたのは「次の時代に来るものを創りたい」という、熱い思い。
まだどこにもないものを、カタチにして世の中に提供して行く・・・
そんな思いを具現化したかのような、ひときわ輝くユニークなフレームが、1995年の夏に誕生しました。
従来のアルミフレームは「四角形」が当たり前でした。
もちろん、アルファフレームも四角です。
しかし、アルファフレーム開発チームは、その「当たり前」とされていたことに、真っ向から挑戦したのです。
なぜみんな、揃いも揃ってアルミフレームは角張っているのか?
そもそも、アルミフレームは、四角形じゃなければいけないのか?
もっと丸みのあるフレームがあってもいいじゃないか!
この感覚こそ「次世代のものづくり」の原点。
自分たちが生み出した技術に、あえて挑戦状を出したのです。
その結果、この世に生まれ出たのが「八角形」のアルミフレームでした。
「オクタゴンシリーズ」として、1995/96年の総合カタログから登場しています。
八角形の「8」は、無限に広がる放射線状を描いていくもの。さらには「末広がり」を意味します。
無限の可能性に挑戦したい…。当時の開発チームのメンバーは、そんな思いを描いていたのかもしれません。
今までは機械装置としての用途が主だったアルファフレームでしたが、フレーム自体に丸みを持たせ、また連結部分にも工夫を加え、フレキシブルな組み合わせを実現したおかげで、オフィスや店舗のインテリアとして使うという、新たな可能性も見えてきました。
アルミフレームがデザイン性という新たな機能をまとったのです。
当時のカタログに掲載されていた使用例
4角のフレームが8角になった!この事実は当時かなりセンセーショナルなニュースでした。
もちろん、この斬新なアルミフレームを自社に取り入れないわけがありません!
9月号の「こんなところにアルミフレーム」でもご紹介しましたが
立山工場では、このオクタゴンシリーズを階段の手すりに使っています。
立山工場の階段手すりをズーム!
と~ってもオシャレでしょ(*^_^*)
このオクタゴンシリーズがきっかけになり、アルファフレームシリーズにも様々な「形状」が誕生していくことになります。
わずか数種類というラインナップでスタートしたアルファフレームも、1996年前半にはなんと!
800を超えるバリエーションを持つに至ります。
純粋に「ものづくり」に関わる者の好奇心と探究心、そして留まるところをしらない向上心の賜物なのです。
<つづく>