いまさら聞けない基礎用語!【ク】#029 クーロンの摩擦法則

公開日時:2024/01/31

みなさん、こんにちは。基礎用語、案内役のあるるです。
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今月の基礎用語:ク#029
クーロンの摩擦法則(くーろんのまさつほうそく)
Coulomb's law of friction

 

博士「おーい、あるる〜。お茶を淹れたからおやつにしようぞ〜〜」

あるる「わーい、おやつだ〜\(^o^)/ ん? なんですか?このいい匂いは?」

博士「お、わかるかの? 先日友人が台湾に行ってきてな。そのお土産じゃ。本場台湾の高級ウーロン茶だぞ。高価なものらしいぞ」

あるる「そうなんですね。では、心していただきます!(ふーふー・・・ごくん)お、おいしーーー\(^o^)/」

博士「それはよかった。ほれ、台湾のお菓子もあるぞ」

あるる「博士、ありがとうございます!! へぇ〜、ウーロン茶って、こんなに美味しかったんですね(おかわりください)。すっかりウーロンのファンになりました! これはおじいちゃんにも飲ませてあげたいなぁ〜」

博士「ウーロン茶をウーロンと呼ぶ人に初めて会った気がするが(笑)、ウーロン茶は種類も多いしランクも様々だから、調べてみるとよいぞ」

あるる「はいっ! 今日からウーロンの研究に入ります!!」

博士「それは立派な心がけじゃが・・・ちなみに「クーロン」のことは覚えておるかな?」

あるる「あの、細胞を増殖させてそっくりな生物を作るという・・・?」

博士「それはクローンじゃな。わしが言っているのはクーロン。クーロンの法則のクーロンじゃ」

あるる「あ、あ、あのクーロン・・・もちろん、おぼ、おぼ・・・」:

博士「覚えておらんのじゃな。よし、それを飲み終わったら、早速復習じゃ!!」

 

クーロンの摩擦法則とは?

摩擦力とは2つの物体が接触している際に、
その接触面に平行な方向に働く力です。

 

摩擦には、すべり摩擦,ころがり摩擦,粘性摩擦があり、
それぞれ性質の異なるものです。
一般的に摩擦と言うと、「すべり摩擦」のことを指し、
その性質には、次の3つがあげられます。

 

  1. 摩擦力は、物体がすべり面におよぼす垂直力に比例する。
  2. 摩擦力は、接触面積の大きさには関係しない。
  3. 摩擦力は、すべり速度の大きさに関係しない。

 

この法則を「クーロンの摩擦法則」と言います。

 

すべり摩擦力には

 

  • 静止摩擦力:静止している物体を動かそうとするときに働く摩擦力
  • 動摩擦力 :物体が動いているときに、その進行方向と逆向きに働く摩擦力

 

の2種があり、一般に「静止摩擦力」の方が大きいです。

摩擦力を表す数式

すべり摩擦力は以下の式で表されます。

 

f=μN

f:すべり摩擦力(N)

N:物体がすべり面に及ぼす垂直力(N)

μ:物体とすべり面の間の摩擦係数(無次元)

 

機械装置において、摺動面などは、動摩擦力の影響を受けるため、
損失を少なくするためには、摩擦係数は出来るだけ小さい方が良いです。

 

構造物の接合面については、静止摩擦力が重要となりますが、その剛性を確保するために、摩擦係数は出来るだけ大きい方が良いことになります。

つまり、締結物が荷重や振動などによって、滑ってずれることなく強固に固定されるためには

  • 物体間の摩擦係数が大きいこと
  • 物体間の垂直力が大きいこと

 

この2つが重要になります。

実験データに基づく摩擦係数

まず、物体間の摩擦係数ですが、それぞれ固有のもので実験によって求めます。

 

当社アルファフレームは表面にアクリルコーティングがあり、腐食にも強く美しい光沢を持っていますがそれだけではありません。

表面にアクリルコーティングがしてあることで、通常のアルマイト処理に比較して概ね『2倍以上』の摩擦係数を確保しています。

上表「静摩擦係数 測定結果」の[①アルミダイカスト生地品(地肌)]が最も摩擦係数が大きく、次は[③アルミ押出し品ブラケット]です。

最も摩擦係数が小さいのは[②アルミダイカスト焼付塗装品]ですが、これは表面が塗装面のものです。

 

他にも色々データがありますが、一般的な加工部品を当社アルファフレームに取り付けた場合の摩擦係数は、概ね0.11~0.16程度となっています。

 

通常、スチールやアルミ合金の機械加工部品においては、その材質、仕上げ面粗さ、表面処理などにより摩擦係数は大きく変化しますが、一般的には、0.1~0.2程度です。

 

そういったことから設計者は経験的に(多くの場合は無意識に)、摩擦係数0.1程度はあるものとして、締結ボルトのサイズや本数を決定している例が多いようです。

 

ですから、摩擦係数が0.1以下になるような組合せでの締結は、そのボルト本数に注意しないと、使用中や輸送中での位置ずれを起こす可能性が高くなります。

 

物体間の垂直力とは???

次に、物体間の垂直力ですが、これは締結ボルトの軸力になります。

 

高張力のボルトを使用する事が有効です。

当社型番ではスチール製の場合はCSW,CSシリーズ、ステンレス製の場合はCSWS,CSSシリーズとなります。

先に締結物が荷重や振動などによって、滑ってずれることなく強固に固定されるための重要ポイントは、

  • 物体間の摩擦係数が大きいこと
  • 物体間の垂直力が大きいこと

この2つであると説明しましたが、摩擦係数ボルト軸力を理解していれば、安全な設計を実現できます。

締結物がその接触面と平行な方向にずれる「荷重F」は

F=ボルト軸力×ボルト本数×摩擦係数

となります。

 

当社の標準ボルトを適正トルクで締め付けた場合の軸力は、以下の通りです。

あるる「そうか、これがクーロンだったのか・・・」

博士「どうした、あるる。ちょっと悔しそうじゃが」

あるる「はい! 摩擦が大事ということはわかっていたつもりでしたが、『クーロンの法則』という名前がスポン!と抜けてました。摩擦の・・・って言ってくれたらわかったのになぁ〜〜」

博士「ふぉっふぉっふぉっ。そうじゃったか。あるるは名前を覚えるのがあまり得意じゃないのかの?」

あるる「そういわれれば、そうかもです・・・」

博士「まぁ、人には得て不得手があるものじゃ。大切なのは「知識の繋がり」じゃ。これでもう忘れんじゃろう?」

あるる「はいっ! しっかりインプットできました!」

博士「では、ご褒美じゃ〜〜〜。ウーロン茶に合うらしいぞ〜〜〜」

あるる「ああっ!! グザォウェイダンガォウだ!\(^o^)/」

博士「ん? 今、なんと?」

あるる「グザォウェイダンガォウ、台湾カステラのことですよ。台湾語で古早味蛋糕(グザォウェイダンガォウ)っていうんです。わーい、大好き〜、食べましょ、食べましょ〜〜〜」

博士「・・・すごいぞ、あるる、いとも簡単にこの名前を言えるとは・・・。名前を覚えるのは決して不得意ではないぞ・・・」

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