【今月のまめ知識 第98回】電磁波

公開日時:2021/05/26

とある呑気な雨上がり

あるる「わーーー、博士、博士ぇ〜、大変ですぅ〜!! 早く来てください! 早く早く〜」

博士「どうしたあるる。そんなに大声を出して」

あるる「に、虹です!! ほら、あんなに大きな虹が!!」

博士「おおーーー、本当じゃ。立派な虹だのう〜」

あるる「綺麗ですねーーー(うっとり) しかもうっすら、二重になってます」

博士「ダブルレインボーじゃな。幸運のサインじゃ」

あるる「そうなんですね。よし、記念写真だ!」(カシャ、カシャ!!)

博士「ところであるる、虹はなぜ目に見えるか、考えたことがあるかの?」

あるる「え? なぜ・・・ですか?? うーん・・ただ綺麗だなぁ〜としか思ってませんでした・・・」

博士「ふぉっふぉっふぉっ、素直でよろしい。あるるよ、『電磁波』という言葉は知っておるな?」

あるる「はい、もちろんです。スマホとか、電子レンジとかで使われているものですよね」

博士「その通り。そして、この虹、正確に言うと『可視光線』じゃが、これもまた電磁波なんじゃよ」

あるる「えええっ? 虹も電磁波? スマホや電子レンジが使ってるのと同じなの???」

博士「そうじゃ。波長と周波数は違うが、同じものじゃ」

あるる「波長? 周波数? ん? ますますこんがらかってきました」

博士「よし、ちょうど良い機会じゃ。虹が消えないうちに、電磁波の話を聞かせてしんぜよう」

あるる「はいっ! ぜひお願いします!!」

 

電磁波

我々が見ている光以外に、レントゲン撮影のX線、電子レンジのマイクロ波、スマホの通信電波、テレビやラジオの通信電波もすべて電磁波です。


電磁波とは電場と磁場によって発生したエネルギーが波型になって伝わっていくものですが、その原理の話はさておき、可視光線の説明に続けて最近話題の技術で電磁波に関連するものを取り上げてみます。

 

まず電磁波を波長の順番に並べると下図のようになります。

電磁波は波動性粒子性を持っています。


波動性とは波の事で、水面に石を投げ入れた時に波紋が広がることと同様で、広がりながら壁に当たって反射したり、重なって干渉して弱めあったり強め合ったりします。


また、障害物があってもその裏側へ回り込んでいきますがこれは波長が長いほど(周波数が低いほど)回り込みやすい性質があります。

波長の長い電波は壁の裏まで回り込みますが、波長の短い光は壁で遮られますね。
(電磁波の中でも波長1mm以上のものを電波と呼んでいます)

 

粒子性とは粒として考えられるという事であり、エネルギーを持っていると言う事で、このエネルギーは波長に反比例して高くなります。

紫外線を多く浴びるという事は高エネルギーの粒がたくさん当たるということになり人間の皮膚に影響を与えるわけです。

可視光線

可視光線について、最初にJISを調べてみました。

・JIS B 7079:2015

“光(light)”という用語は,波長域380 nm〜780 nmの可視光を指すときにだけ使うことができる。

・JIS Z 8120 : 2001

目に入って,視感覚を起こすことができる放射。

光線という概念で用いる場合は可視光線という。

一般に可視放射の波長範囲の短波長限界は360〜400nm,長波長限界は760〜830nmにあると考えてよい。

となっています。

 

これは見える範囲に個人差があり、また業界によっても考え方が異なることから幅を持たせてあるようですが可視光は概ね400nm(紫)~800nm(赤)と認識していてよいでしょう。

“光”は狭義では可視光の範囲ですが、広義では紫外線から赤外線まで含めて“光”としています。

波長が可視光より短く、おおよそ10nm以上の範囲が紫外線(Ultraviolet rays)

波長が可視光より長く、おおよそ1mm以内の範囲が赤外線(infra-red rays)

 

ここで周波数と波長の関係ですが、ミリ波を例に計算してみましょう。

電磁波の速度は真空中で光速に等しく、3×108m/secです。

波長が10mmだと、1×10-2mなのでその周波数は

3×108m/sec÷1×10-2m=3×1010Hz=30GHz

となります。

4G、5G

通信電波の4Gと5Gですが、それぞれの周波数帯は以下のようになっています。

周波数が高いほど通信の幅が広がり大容量を高速で処理することが出来ますが、先に波動性の性質でお話したように周波数が高いほど回り込みにくく(直進性が高い)障害物の影響を受けて電波の届く範囲が狭くなってしまいます。

そこで5Gはまず4Gの技術が使えるsub6帯で通信をスムーズにし、ミリ波帯は狭いエリア、混雑するエリアから対応していくという事になるでしょう。

よく言われている超高速通信、超低遅延、多数同時接続はミリ波帯におけるメリットであり、5Gと言っても、sub6帯とミリ波帯は異なるものです。

電子マネー

タッチで支払いする電子マネーや、交通系カードも電磁波で通信しています。

これらの近接型カードは、13.56MHzとの事なのでHF帯(短波)です。

RFID

RFIDは電波を用いて非接触でデーターの読み書きを行う技術で、広義では上述の電子マネーもRFID
となります。

最近アパレル系で多く使用されているのはUHF帯(超短波)で最大20m程度届くため積み上げられた箱の中の物も読み取ることが出来ます。


RFIDは工場、物流、医療など分野を問わず、まだまだ広がっていくでしょう。

レーザー光

レーザーポインターやレーザー測長器など、身近にもあるレーザーは普通の光とは何が違うのか
普通の光は波長も位相もバラバラです。


レーザーは、単波長で方向と位相が揃っている光です。

波長、方向、位相すべて揃うという事は、山と山、谷と谷が重なるので増幅され非常に強力なエネルギーを持つ光となります。


その指向性を利用して、レーザーポインターや測長器に使用されたり、そのエネルギーの高さを利用して切断加工機やマーキング機に利用されます。

自動運転センサー3種の神器

最近話題の自動運転に欠かせないセンサー3種の神器、カメラ、ミリ波レーダー、LiDARも電磁波を使用しているものですが、それぞれの特徴を調べてみましたので簡単に記しておきます。


・カメラ

映像を画像処理して歩行者、自転車、信号機や道路標識など識別します。単眼カメラは検出のみでステレオカメラは距離計測まで行います。

但し映像なので視覚情報に近く、夜間や悪天候時など視界によって識別が困難になる場合があります。


・ミリ波レーダー

ミリ波を照射して対象物に反射して戻ってくるまでの時間で障害物までの距離を計測するものです。

光に近い波長で直進性が高く、光ではないので夜間や逆光、悪天候でも計測可能でありまた安価です。

しかし物体が何かの識別は困難であり、また段ボールなど電波の反射率の低いものの検出が困難などの弱点があります。


・LiDAR

赤外線によるレーザーレーダーです。

ミリ波よりも波長の短い赤外線で小さな物体まで検出できます。水平面のみ検出する2Dタイプと、高さ方向もスキャンする3Dタイプがあります。

3D-LiDARで得られる情報は、点群と呼ばれ、点の集まりで画像を作ります。

その点の集まりが物体として何なのか知覚的処理を行います。
但し、自動運転に使用できるレベルのものは非常に高価であり今後のコストダウンが期待されます。


3D-LiDARは自動運転のみならず、測量やARの分野でも使用されており、身近なところではiPhone12ProやiPad ProにはLiDARスキャナが搭載され、ARに利用できるようになっています。


複雑な形状を短時間で3Dモデル化できることで今後用途も広がっていくと思います。

また車載センサーとして電磁波ではありませんが超音波センサーもあります。これは音波なので速度が低く遠距離では遅れが出るので近距離の検出に適しており、駐車時などの障害物検知に使われています。

それぞれのセンサーには特徴がありますが、つまりは可視光、赤外線、ミリ波といった電磁波のそれぞれの特徴そのもので、それぞれが弱点をカバーする開発が進んでいますが当面は複数の方法を組み合わせて使用していくことになるでしょう。

電磁波の発見と利用

19世紀前半にデンマークのハンス・クリスチャン・エルステッドとイギリスのマイケル・ファラデーの実験により電気と磁気が関係あることがわかり、イギリスのマックスウェルこれらの動作を理論化し、方程式にしました。

そしてマクスウェルは、電波も光も同じ電磁波の一種であり、速度が等しいことを理論的に証明しました。

その後1888年ドイツのヘルツは、マクスウェル理論を実験で確かめ、電波が本当に存在すること、光と同じく反射、屈折する性質があることをつきとめました。


そして電波の利用は、1895年にイタリア人のマルコーニが無線電信を発明したのが最初です。


人類が電磁波を利用し始めて120年余りですが、その用途はもうとても書き切れず、FA(ファクトリーオートメーション)においてもRFIDや5G通信などがあらゆるところで利用されていくことでしょう。

博士「どうじゃ、あるる、わかったかの?」

あるる「はい。博士の話が長いので、すっかり虹が消えてしまったことがわかりました」

博士「・・・」

あるる「ウソです。ごめんなさい。電磁波にもいろいろあって、身近なところにもいろいろと使われているんですね」

博士「そうじゃ。そこ、とても大切なところなんじゃ」

あるる「ん? どこ?」

博士「技術というものは、生活に役に立ってこそ花開くんじゃ。逆に世の中のためにならなければ、せっかく生み出した技術も甲斐がない」

あるる「なるほど・・・」

博士「あるるもいっぱい勉強して、世の中の人が喜ぶ技術を作っていこうな。人様に『ありがとう』と言われる技術を!!」

あるる「はいっ! 素敵です! あるる、がんばります!!」

博士「では、未来のために、今日は宿題をたっぷり出すぞ〜。そして明日は小テストもやるぞ!」

あるる「えええーーーー、マジですかーーー。きびしーーーー(えーん)」

 

 

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