【今月のまめ知識 第6回】解析でわかる事とその意義

公開日時:2013/09/11

 

博士「それではあるる、今日は「解析」の話をしよう」

あるる「えっ、「懐石」?! 博士っ、本当ですか?! わーい、わーい\(^o^)/」

博士「おお、随分元気がいいのぅ。そんなに「解析」が好だとは知らなかったよ…」アルルちゃん05

あるる「好きなんてもんじゃありませんよ!もう大好きです!」

博士「おお、そうか。そんなに好きか」

あるる「先日生まれて初めて「懐石」を知ったのですが、あれぞ職人技というか、技術の粋を集めたというか…。すっかり感動してしまいました!!」

博士「ほぅ、感動したか。それは感心、感心」

あるる「大変な修行を積まなければ、あそこまではなかなか…」

博士「解析は難しいからのぅ。知識と経験がものをいう世界じゃ」

あるる「あのお椀、あの焼き方…。あそこまで行くと、もう料理を超えていますね。日本が世界に誇る芸術作品ですよ!」

博士「…。…。あー、そっちの懐石ねぇ…。なーるほど…」

あるる「…へっ?! 違うんですか?」

博士「バカものっ! なんで私が食べ物の講義をせねばならんのだ!」

あるる「い、いや…、博士もよほどお好きなのかと思いまして…」

博士「ま、好きは好きじゃ。大好きじゃがな (〃∇〃) 」


紛らわしくて恐縮ですが、本日はこの「懐石」ではなく「解析」について、じっくりお話します

 

豆知識 第6回 解析でわかる事とその意義


 

当社ではご要望に応じて、最適設計化のための構造解析を行っております。

 

解析を行うケースとしては

  • ・大きな荷重がかかる構造物の、部材,構造検討
  • ・ロボットによる動作がある構造物の、部材,構造検討




などですが、部材にかかる応力や変位量を求めて要求仕様を満たすか、不可の場合にはどのように改善するか、また過剰な剛性をもつ場合にはどこを削減するかなどを検討いたします。

 

ご提示いただくものは、

  • ・フレーム構造図
  • ・積載される機器の質量とその部位
  • ・大きな動きがある場合はその位置と質量と加速度
  • ・必要な剛性(安全率,指定位置の変位量など)



 となります。

 

解析の手順


解析手順は、次の通りです。

 

【1】フレーム構造を図のようにワイヤーモデル化し、各節点に節点番号が付きます。
解析モデル図
矢印

 

節点表示図


 

【2】そのワイヤーモデルに指定荷重を付加します。
荷重詳細図

 

そして以下の値が解析結果として得られます。

 

 

解析の結果、得られるもの

 

①変位


・dx、dy、dz

各節点でのそれぞれx,y,z方向の変位量です。

 

変位図


 

 

各方向は変位図左下にある図示の通りで矢印方向がプラスとなります。

ワイヤー図に示された節点番号ごとに表記されます。

変位値
【変位値】サンプルモデル解析結果(クリックで拡大)

 

 

②応力度


 

応力度
【応力度】サンプルモデル解析結果(クリックで拡大)

 

・Sbx、Sby、Sbz

各節点でのそれぞれx,y,z方向の曲げ応力です。

各方向は変位図左下にある図示の通りで矢印方向がプラスとなります。

ワイヤー図に示された部材番号,節点番号ごとに表記されます。

 

・Sx、Sy、Sz

各節点でのせん断力です。

方向は図示のx,y,zとは無関係です。

それぞれの部材の軸方向がx、軸直角方向上下がz、左右がyとなります。

ワイヤー図に示された部材番号,節点番号ごとに表記されます。

 

・Sx+Sbz,Sx+Sby

各節点でのせん断応力と曲げ応力の合成応力です。

方向は図示のx,y,zとは無関係です。

それぞれの部材の軸方向がx、軸直角方向上下がz、左右がyとなります。

 

今回のサンプル架台の極値は、変位図に記載しましたとおり、

節点番号『15』に、y方向変位極値(1.9mm)z方向変位極値(1.8mm)

節点番号『8』に、応力極値(14.3N/mm²)

アルミフレームの機械的性質は

材質特性

 

 

許容応力の考え方


 

ここで許容応力の考え方ですが、アルミニウム合金においては前号でもお話したとおり、耐力値の75%を弾性限度と考えます。

205N/mm2×0.75=154 N/mm2

 

仮に安全率3で考えると

154N/mm2÷3=51 N/mm2

 

今回の応力極値と比較すると

14.3N/mm²<51 N/mm2

 

ですから、このサンプル架台は、応力に関して十分に安全性が高いと言えます。

変位量については要求される数値との比較になります。

 

これらの結果に基づいて、主要部材の強度を落としたライト級に変更した場合の再解析を行い、結果を見てコストダウンをご提案するケースも多くあります。

 

この様に最も高い応力値が使用条件に対して適切な安全率を持つかどうかを判定します。

X,Y,Z各方向の最大変位点とその変位量を確認し、指定点の変位量が指定条件以下であるかどうかを判定します。

 

 

アルファ博士04

博士「どうじゃ? 解析の奥の深さが、少しはわかったかの?」

あるる「…はい、博士。ちょっと難しくて、まだ呑み込めてはおりませんが、解析スゲェ!ということだけはわかりました」

博士「ふぉっふぉっふぉっ。いかにもあるるらしい感想じゃ」

あるる「恐れ入ります。勉強します!」

博士「それじゃ、解析の試験に見事合格したら、お祝いに懐石料理でもご馳走しようかのぅ」

あるる「ほ、ホントですか?! (ぱぁ〜)←夢が膨らむ音」

博士「ま、試験は4年後じゃがな」

あるる「どひゃっ!オリンピックみたい。うわーん、まだまだ先だよぅ、とほほ・・・」

アルルちゃん06

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