おーっとテック物語 第40話 急成長するネットの世界に苦戦する

公開日時:2020/09/29

前回までのお話

NIC最南端となる「アルファフレーム九州」のオープンを目指し、調査を進めようするその少し前から、もうひとつ別の新たな挑戦が始まっていました。そう、インターネットの世界です。

NICが初めてインターネットの世界に足を踏み入れたのは1997年のこと。その時は業界団体のサイトの中に簡単なページを作った程度でしたが、いち早くネットの可能性を察知し、ミレニアムを迎えた2001年には本格的な自社サイトを構築しました。

とはいえ当時はまだ「インターネット、何するものぞ」といった時代。その先はまったく手探りの状態です。しかし、ネットもリアルも目指すのは、お客様が便利になること。そこで手掛けたのは、ネット上の見積システム。Webサイトから見積もり依頼ができるようになったと好評を得て、順調なスタートを切ったのですが・・・。

インターネットの早すぎる変化を前にして

ネットのない暮らしなど、今はもう考えられなくなっていますが、インターネットが急に身近な存在になったのがミレニアム以降です。世界的にWebサイトの数が急増し、ネットの世界は「新たな巨大市場」だと、誰もが認識するようになっていきます。それは製造業といえども例外ではありませんでした。

 

NICも自社のWebサイトを持ったのは、製造業の中では決して遅い方ではないのですが、「10年ひと昔」どころか、ドッグイヤー(7年ひと昔)、ラットイヤー(2~3年でひと昔)だと言われるのがインターネットの世界。年を追うごとに、その変化のスピードはますます目まぐるしくなっていきました。

 

そんな早過ぎる時代のニーズの変化を前にして、新たな問題に頭を悩ませることになります。

それは「検索」。そう、「モノの探し方」です。

「ネット検索」という新たな壁

皆さんも日々、当たり前のようにGoogleやYahoo!を使って、目的のモノを探し当てていると思います。この「検索して欲しいモノを見つける」というスタイルがだんだんと受け入れられるようになってきたのが、2000年初頭です。

 

その少し前までは電話帳で調べたり、物知りの上司や先輩たちに聞いたり、自分の足で探し当てていた情報が、検索エンジンにキーワードを打ち込めば出てくるのですから、人はその便利さに抗うことはできません。

 

とはいえ、最初から十分な検索能力があったわけではなく、検索技術が未熟な時期は、思った結果が出てこない、使い物にならないと言われたものですが・・・。今となってはそれも懐かしい思い出話です。

 

さて、この止まらない時代の変化に、ごく自然に適応していったのが若い世代。みるみるうちにネットを自分の道具として使いこなし、いつしか若きエンジニアたちはネット検索によって取引先を知り、安い部材を選び、購入を決めるようになっていきます。

 

もちろん、言葉にするほど簡単なことではなかったとは思いますが、若い人材が増え、技術者たちの世代交代が進むにつれ、この傾向はますます顕著になっていきます。

 

そうなると、何が起こるのか? 恐ろしいことに、リアルの常識はネットの常識でなくなり、リアルの知名度もネットの世界では通用しなくなるのです。

 

手前味噌になりますが、NICは装置会社としては老舗の部類に入ります。日本でいち早くアルミの可能性に気づいたのも私たち。自社開発の「アルファフレーム」を世に送り出してから、技術を磨き実績を重ねてきました。おかげさまでアルミ業界では社名を知らない人はいないとまで言われるようになっていました。

 

しかしそれも時間の問題。今はまだ古き良き昭和&平成初期スタイルが通用しますが、ネットの世界で知名度を上げていかなければ、検索にすらひっかからなくなる・・・。そんな危機感を、NICネット班のメンバーたちは早い時期から察知していたのです。

増えていく「ネット販売」にどう対応するか?

検索技術の進化と合わせるように、私たちの生活に定着してきたのが「ネット販売」です。検索をする事で「欲しいものがすぐに見つかる」→「その場で買える」という新しい購買スタイルが一気に広まったのも記憶に新しいところでしょう。

 

当時の製造業ではメーカーが直接販売を行うことはごくまれで、実際の購入は商社や代理店を通して行うというスタイルが一般的でした。しかし、世の中には「もっと手軽に買いたい」「ネットからすぐに買いたい」というニーズがあることは確かです。その波は確実に製造業にも押し寄せ、年々大きくなるニーズに対応すべく、ネット販売を始めるアルミフレームメーカーも増えていきました。

 

そして、製造業専門のネット通販である「モノタロウ」が2006年に、「ミスミVONA」が2010年にサービスを開始。「ものづくりのプロ」たちの購入スタイルにも、大きな変化が起こり始めていました。

 

ネットで手軽に、スピーディーに資材を手に入れたい。時代とともに変化するお客様のニーズに、私たちも応えたい、いや、応えるべきだと、NICも遅まきながら「ネットで販売する」という新たな扉を開くを決意します。が、動きの速いネットの世界。NICはネット販売に関しては、後発組になってしまったのです。

時代に応じた選択肢を作りたい

「ネット販売」といっても、いろんな方法があります。どこからか商品を仕入れてきて販売する商社的なやり方もあれば、メーカーが直接販売するスタイルもあります。そして、大きなショッピングモール的な場所にオンラインショップを出店する方法もあれば、自力でネット上に自分の店を構える方法もあります。

 

そんな中でNICが選択したのは、「メーカー直販サイトを立ち上げる」という道でした。

 

当時のショッピングモールは、掲載されている会社も商品も少なかったので、いずれ出店するにしろ「今ではない」という野生のカンが働いたのでしょうか。

 

それよりも小さくても自力で販売サイトを運営し、「自らが作ったものを、自らが売る」という経験を積む方が、未来のためにもなるし、得るものもきっと大きいはずだ-------。

 

そう判断し、初めての「メーカー直販サイト」制作が始まりました。

 

とはいえ、ネット担当者は全員、潔いほどにネット販売の経験はゼロ。そして目の前には山積みの課題。

サイトのデザインにテキストの作成、ページ制作、掲載する商品の選択、在庫管理や決済等のシステム開発、配送の手配、お客様対応などなど・・・すべてを自分たちの手でやらなければなりません。当然、コストも時間も労力もたくさん必要になります。

 

最も時間と労力を必要としてのが、直販サイトの裏で動くシステムの開発です。ショッピングモールに出店すれば、そういった費用はかかりませんが、どんなに苦労をしても「ゼロから作り出す」ことを選んだのも「ハードルは高い方が燃える」というNICのものづくり魂のなせるワザだったのかもしれません。

 

自社の製品を、自分たちの手で、お客様のもとに直接届けたい!

 

その思いを貫き、2012年4月、ついに「ALFA FRAME SYSTEM」のメーカー直販サイト、

「NIC Direct(エヌアイシ ダイレクト)」がオープンしました。

2013年3月当時のNICダイレクトTOPページ

 

 

ひとたび歩き出した以上、もう後戻りはできません。前進あるのみです。さて、このチャレンジは、吉と出るか凶と出るのか・・・

この続きはまた次回。

<つづく>

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