おーっとテック物語 第29話 時代とのギャップを味方につけて・・・

公開日時:2017/11/27

前回までのお話

 「KAKCHAR(カクチャ)」というNICらしいネーミングも決まり、新しいパンフレットも刷り上がった。さぁ、あとは一刻も早くアルミフレームに関するお困りごとを抱えていらっしゃるお客様の元へ、「KAKCHAR」完成をお知らせして、活用していただこう! たくさんの引き合いがくると信じて疑わなかったプロジェクトチームでしたが、待てど暮らせどなしのつぶて。驚くほど反応がありませんでした。

どうした?一体何が起こっているんだ?ーーー予想と大きく異なる現実に一瞬ひるんだプロジェクトチームでしたが、そこはものづくり魂を持つ人たちの集まりです。どこに原因があるのかを突き詰めていくと、なんと!根本的な原因がNIC社内にあったことがわかったのです。まさに灯台下暗し!さぁ、どうする?KAKCHARチーム?! 

製造業に激震!リーマンショックで状況が一変

KAKCHARが世に出たのが2008年の6月。それから3ヶ月後の9月15日、「大手投資会社リーマン・ブラザーズ経営破たん」という信じられないニュースが全世界を駆け巡りました。そう、いわゆる「リーマン・ショック」の始まりです。

 

急激な円高で輸出産業は大打撃。それに引っ張られるように日本市場も大暴落。株価低迷が続き、ここからしばらくの間、日本経済は暗黒の時代が続くことになります。

 

KAKCHARにとっても、この状況は大変厳しいものでした。「問題は社内にあり」を突き止めたプロジェクトチームは、自社の営業マン達にKAKCHARを理解してもらおうと、様々な資料を作成し、勉強会を開くなどして、懸命にKAKCHARの良さを伝えていきました。

その甲斐あって、営業努力が実を結びはじめ、KAKCHARの良さをわかってくれる企業が何社か出てきたのです。

 

ひとたびわかってさえいただければ、お客様に長く使っていただけるのが、KAKCHARのサービスです。実際に、「この装置の設計が楽になったから、今度はこっちの装置に」とか、「次はサイズ違いのカバーを作りたい」といったリクエストが舞い込みはじめたのです。

 

「この調子で行けば、もっといける!」

 

手応えを感じ始めたプロジェクトチームでしたが、そんな希望の光を一気に覆い尽くしたのが、リーマン・ショックのとてつもなく大きな暗雲でした。

 

その暗闇の中で、製造業全体が一気に「守りの体制」に入ります。 コストも削れるところはすべて削り、今ある屋台船を守り抜くことが企業としての最優先かつ最重要項目。よちよち歩きどころか、やっと首がすわり始めたような新しいサービスを理解し、試してみようなどと言ってくれる企業は激減。いえ、潰滅状態だと言っても過言ではなかったかもしれません。

 

それでも、営業担当は懸命にPRを続けますが、お客様と話をする中で、「便利・効率・時短は景気の良い時期限定のニーズ」であることを思い知ります。

ひとたび不景気になり、仕事が激減すると、仕事があるだけでもありがたいという状況になってしまいます。

 

「このサービス使ったら、我々の仕事、なくなっちゃうねぇ〜」

 

こんなお客様の何気ない一言が、すべてを言い表している・・・

 

世の中の動きの変化に驚きながらも、プロジェクトチームはただ、その事実を受け止めるしかできませんでした。 

時代とのギャップを味方につけて・・・

そもそもKAKCHARは、アルミフレームに関するお困りごとをNICが解決する全方向サポートサービス。設計代行から部材の選択、組み立てまで、必要な工程にあわせて、しかるべき手をそっと差し伸べるという、NICにしかできない唯一無二のサービスです。

 

しかし、KAKCHARを使うということは、確実に作業の時短、効率アップにつながり、結果的にお客様側の従業員の休業を増やすことにつながってしまうのです。

 

いいものであることは間違いない。必ずお客様のお役に立てる。

その自信は今も崩れていない。

それなのに、今、目の前にある現実は・・・

 

ここで、時代のニーズに合わせて、方向転換を測るという選択肢もあったのかもしれません。

しかし、プロジェクトチームの軸はブレることはありませんでした。

 

今は時代が悪いだけ。

そして、時代は繰り返すーーーー

 

これが、プロジェクトチームリーダーの持論でした。

 

いいときもあれば、悪い時もあるのが当たり前。このままずっと悪い時期が続くはずがない。それは今までの歴史が物語っているではないか。

いつか必ず時代にマッチするはずだ。

いや、KAKCHARを必要とする時代がやってくる。

 

今はただ、低くしゃがむ時期なだけ。

次に高く飛ぶために・・・

 

リーマンショックが持ってきたのは、悪いことだけではありませんでした。 確かに仕事量は減り、今までのようにフル稼働することはなくなりましたが、 その代わり私たちには「時間」が与えられました。

  

その時間をフルに使って、まずはKAKCHARをさらに盤石なトータルサポートに進化させるための準備を進めていきます。

テーマは「もっと組み立てを簡単にするしくみ作り」です。

これは開発当初から構想はできていたものの、ハード、ソフト、そして諸々の対応を整えるのに時間を要していたため、後発を決めたサービスなのですが、ここにきて具体化に向けて、一気に進めていきました。

 

次に取り組んだのは、「見て見ぬ振り」をしていた様々なこと。

「いつかはやらなきゃ」と思っていた社内の修繕。 「片付けなきゃ」と思っていた倉庫の整理。

やがてくるであろう多忙期に備えて、社内に手をかけることも大事な仕事です。

 

「今やっておかないと、今度いつできるかわからないからな。ペンキ塗るぞ!」

「え? ペンキですか? やったことないけど、やってみます!」

 

通常業務をこなす傍、メンバーたちは今までとは違うタイプの力仕事を、楽しみながら取り組みました。

 

そして、このゆったりした時間は、お客様との間にも流れていきます。 今までより親密に話しする機会が増えたことで、お互いの理解が深まり、強い信頼関係が育まれていきました。

 

その中でお客様が何を求めているかを、さらに肌で感じ取っていったプロジェクトチーム。今進めている「次の一手」は、そのニーズに応えられるものになる! ますますその確信を強め、開発に魂を注いでいきます。

来るべき時のために・・・。

 

さて、彼らはどんな「一手」を繰り出そうとしているのか? そして時代は、彼らを受け入れるのか?

この続きは次回のお楽しみということで。

 

<つづく>

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