NICおーっ!とテック物語【第17号】さらなる飛躍の前には低くしゃがむことも必要だ

公開日時:2015/11/25

前回までのお話


アルファレールの成功により「お客様の声をカタチにする」ことに

確かな手応えを得たNIC開発チームが次に手がけたものは、

装置カバーに適したアルミフレームの開発でした。

 

当時の日本にはパソコン旋風が巻き起こり、携帯電話だ、

ゲーム機だと、新しいデバイスが次々と誕生し、

それに伴い精密電子部品をはじめとする製造業も右肩上がり。

そこで新たに求められたのが装置カバーだったのです。

 

カバーに使うアルミフレームは、強度や剛性よりも軽さや扱い易さ、

そして低価格なものが求められます。

その声に応え得る軽量フレームとはーーー?

 

試行錯誤の末、完成したのが、軽さの中にも

安全性、機能性、美観を兼ね備えたNICらしい軽量フレームでした。

 

様々なニーズに応えるために、ラインアップも一気に強化。

合計26タイプの新フレームが揃ったのです。

 

 

ネット時代の幕開け


 

さて、時代はそろそろミレニアムを迎えようとしていた頃のお話です。

 

アルファフレームのラインアップを強化したことにより、

幅広い分野からの引き合いが増え、アルファレール事業、クリーンブース事業、

そして装置事業の3事業はお互いを高めながら、順調に成長を遂げて行きます。

 

アルファカバーやアルファクリーンブースなどの

標準品を持つことにより、以前のように受注生産に追われることも

少なくなっていきました。

時間的なゆとりも生まれ、将来に向けての

ハンドリングができるようになっていったのです。

 

その頃、世間には新たな認識が生まれようとしていました。

パソコン、インターネットの普及と浸透に伴い、「Webページ」

(当時はもっぱら「ホームページ」と呼んでいましたが…)に

光が当たり出したのです。

 

今でこそ企業がWebページを持っているのが当たり前になりましたが、

当時はまだ黎明期。「そろそろ持たないと、企業としての信頼が保てなくなる」と、

言われ始めた頃でした。

 

富山県の製造業で、ホームページを立ち上げている会社は、まだほんのわずか。

NICも薄々必要性は感じていたものの、自社ページは持っていませんでした。

 

お客様とのやりとりは、顔と顔を合わせてこそ。

ネットなんかで何ができる。

そんな意見も根強くあった時代です。

 

しかし、商談の花形と言われていた展示会も、だんだんと昔の勢いが

なくなっていたのも事実でした。

 

展示内容のマンネリ化、来場者数の減少、

なによりもせっかく展示会で名刺を頂いても活用しきれていない現実に、

なにか突破口が必要なのではないかと、

NICのメンバーたちは皮膚感覚で感じ取っていたのです。

 

意識を向けると、必要な出会いは訪れるもの。

ある方からの紹介で、ホームページ制作会社と知り合いになり、

NIC初のWebページを作ることとなります。

 

よくわからないことが多いインターネットの世界でしたが、

何事も「やってみないと始まらない」のチャレンジ精神を発揮し、

知恵を出し合いながら、短期集中で完成までこぎ着けました。

 

時は2001年。製造業としては比較的早い時期に、

NICはネットの世界に自社の門構えを築いたのです。

 

NIC初代ページ
2001年当時のNICオートテックのホームページ

 

アルファフレーム、クリーンブースともに複数のラインアップを持つ

NICにとって、Webページは想像以上の効果をもたらしました。

 

興味を持ってくださったお客様が、ページ上で製品情報を確認したり、

各種問い合わせや見積もり依頼まででもが可能になったからです。

 

Webページの存在によって、様々な面で効率化が図れたことはなによりでしたが、

一番の功績は、ネットを通してお客様と密なやり取りができるようになったことです。

 

データの社内共有、問い合わせへのレスポンスなど、

ここでもNICらしい「高い精度」が実現できたのです。

 

 

容赦ない時の流れの中で


 

しかしながら、時の流れというものは、上り下がりがあるのが自然の摂理。

 

あれほど勢いづいていたITバブルも次第いに翳りを見せ、

2000年の後半から日本全体が閉塞感に包まれて行きます。

 

その影響を一番に受けたのが、装置部門でした。

 

ピーク時は昼夜を徹して組み立て作業をフル稼働で行い、

必死で納期に間に合わせていた流杉工場も、

受注に波があり、作業空間の広さが

身にしみることが次第に増えていきました。

 

仕事が激減したとき、人は何を思うのでしょうか?

 

「こんなはずじゃ…」と嘆いたり悩んだり、

怒りの感情をあらわにしたり、

誰かのせいにしたり・・・

 

なにかとネガティブな感情が押し寄せるのが常ですが、

NICの開発チームは違いました。

 

まず感じたことは、「ものごとには、必ず終わりがある」ということでした。

 

始まりがあれば、終わりがある。

だったら始める前に、終わりを考えておくべきなのだ、と。

 

冷静に今の状況を受け入れられたのも、技術者らしい冷静かつ

理性的な思考力の賜物なのかもしれません。

 

終わりがあればまた始まりがある。

こういうときこそ、新しいものを作り出すチャンスだ!

 

どんなときでも、ものづくりの熱き意欲は、とどまることを知りません。

 

出来た時間を利用して、繁忙期には視界にすら入らなかった

工場周囲の草むしりをしたり、ペンキ塗りなどの

メンテナンスに精を出しながら、

「こんな時こそ開発だ!」 と、次なる展開を考えていったのです。

 

いろいろな意味で、方向転換の時期だと悟った開発チームは

我々に作れないものはない。

 

そんなものづくりの根幹ともなる思いを胸に

開発チームは再び動き出したのです。

 

さて、開発チームが向かった先は何なのか?
次なる挑戦とはいかなるものなのか?

 

この続きは、また来年。
2016年の1月号にてお伝え致します。

 

どうぞお楽しみに。

 

<つづく>

 

 

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