NICおーっ!とテック物語【第3話】富山新工場「アルミ館」オープン!

公開日時:2022/08/18

前号までのお話


数々の困難を乗り越え、再チャレンジした展示会出展。NICアルファフレーム開発チームを待っていたのは、想像を遥かに超える大きな反響でした。ブースには大勢の人が集まり、スタッフ一同うれしい悲鳴の連続。そして、手元には3500枚を越える名刺が残ったのです。

多くの人が我々の製品に興味を持ってくれている! そう確信したNICですが、さぁ、ここからが正念場。やっと今、スタート地点に立てたに過ぎません。このたくさんの名刺をイカすも殺すも、これからの身の振り方ひとつ。NICオートテックの次なる一手は?!

 

富山新工場「アルミ館」オープン!


 

え?! これがアルミ工場なの?!−−−−

 

時は1992年の初夏。誰もが度肝を抜かれる、斬新な建物が誕生しました。

延べ床面積 約三千平方メートル。4階建てのその建物を

人は「アルミ館(やかた)」と呼びます。

 

アルミという素材、そしてアルファフレームというトータルシステムが持つ大きな可能性を確信したが打ち出した“次なる一手”は、新工場建設という、これまた大胆な決断でした。大きな市場に答えるためには、品質向上はもとより、生産体制を強化し、量産化に答えられる体力を会社が持たなければなりません。

そのための新工場建設なのですが、「今まで世の中にないものを作り出す」NICです。独自の「ものづくり魂」は、自社工場建設においてもいかんなくパワーを発揮し、一度見たら記憶に深く刻まれるようなユニークな建物を作り出したのです。

 

総アルミ張りの外壁。

1階と2階の工場内部には、大迫力の2枚の壁画。

そこかしこを彩るユニークなインテリアたち。

切粉さえも無駄にしない…社員手作りのリサイクルアート♪

 

まるで美術館を彷彿させる不思議な空間です。

 

では、その全貌をじっくりとご覧ください。

流杉外観
通称「アルミ館」の全景。ぱっと一目を引くユニークなフォルムにご注目

 

 

 

実はこのアルミ館は、平成5年(1993年)度 富山市都市景観賞 優秀賞を受賞しています。

私たちNICの想いは、富山の人々の心にも通じた証なのだと、今も誇らしく思っています。

 

強い想いが込められた2枚の壁画


 

こちらが工場1階の壁を飾る壁画、「群炎」です。

全体のイメージは、強烈な個性の集団による「力」の結集。

個々の力が集まれば、さらに大きな流れになり、新たなる力となり、よりレベルの高いものを目指すというイメ-ジを表現しています。

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1F壁画≪群炎≫

 

壁画の「色」にも、ひとつひとつ、ちゃんと意味があります。

 

  • 青:「知」を象徴し、また、空・水のように大きく「清らかさ」も意味しています。
  • 緑:「安定」「成長」を象徴し、また、緑豊かな富山の大地や立山杉のような大地に根付いた姿も意味しています。
  • 黄:「明」を象徴し、家庭・集う・結合することも意味しています。
  • 紫:「尊厳」「壮厳」「格式」等を象徴し、意味しています。
  • 赤:「意志」「力」を象徴し、行動の強さ・方向性のありようを意味しています。

 

続いて、2階の壁画「翔」です。

 

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2F壁画≪翔≫

 

光って少し見えづらいかもしれませんが、天空を飛ぶ龍、あるいは眼光の鋭い鷹のごとく、今まさに宙(空)へ飛び立たんとする様をイメージして描きました。

一人一人の個性を集結し、新たに生まれた強烈なパワーが、悠然とひとつになって、さらに天高く飛翔する・・・

≪群炎≫と≪翔≫、この壁画は2つで1つの作品となっているのです。

 

では、そのほかのインテリアを見て行きましょう。

こちらは、アルミ館のエントランスホールにあるオブジェです。

立体的な世界地図。でもよ〜く見てみると、アルミや鉄を切り出した時に出る「切粉」が使われているのです。

 

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切粉アートその① 世界地図

 

さらに、その脇のケースの中には

なんと! アルミを生むタマゴがっ!!

 

そのタマゴを守る“巣”も、もちろんアルミの切粉です。

 

環境に配慮しながらも、素材の良さを最後まで活かす。

こんなところにも「ものづくりの原点」が垣間見えるように思います。

 

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たまごからアルミが誕生♪

 

こちらも同じく切粉アート。我が富山県が誇る立山連邦・剣岳をイメージして描いています。

 

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切粉アートその② 立山連邦・剣岳を模した作品

 

大切にしているのは、アルミや鉄、銅といった素材としての金属だけではありません。

扱う「道具たち」にも、しっかりと敬意を払っています。

 

一見時計のように見えますが、ヤスリなどの古い道具を絵画のように配置していました。

今はほとんどがオートメーション化されましたが、 昔の職人さんたちは、このような道具を使って、丁寧な手仕事をされていたんですよね。

その当時のことを思うと、改めて頭が下がります。

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素材の違いを活かしたオブジェ。アルミって美しい…

 

 

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ヤスリなどの古い道具をオブジェに…

 

アルミ館を建てた本当の理由


 

なぜ、このような工場にしたのか?

そこにはこんな想いが込められていました。

 

人間に優しい労働環境を作らなければ、組織は活性化していかない−−−−−

 

平成25年の今でこそ、快適な勤務環境を大切にする企業も増えていますが、アルミ館が完成したのはまだミレニアムを迎える前のこと。

製造業はいわゆる「3K」の環境が当たり前だと考えられていた時代です。

その“常識”を突き破って、「人に優しい工場」が生まれました。

 

心地よい色に統一されたフロア

広々としたゆとりの作業空間

 

快適さを求めながらも、「ものづくりの原点」を忘れないようにと、古き良き時代に実際に使われていた手動の機械が並んでいます。

その使い込まれた機械が放ついぶし銀の光の中には、今も先達の背中が見えるような気がします。

 

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その姿だけで多くの事を語ってくれる古き機械たち。私たちにいろんなことを教えてくれています

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毎日「よっ!がんばれよ、現代人!」と私たちにエールを送ってくれているような…

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小さなおじさん発見! こういうちょっとしたところが「おちゃめ」ですよね

 

未来を見据えた製品は、自由で明るい環境から生まれる。

その信念をバネに、アルファフレーム開発チームは、独自の発想と情熱をもって、新たな製品を次々に世に送り出して行くのです。

 

がんばれ、NICオートッテック!

<つづく>

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