NICおーっ!とテック物語【第9話】クリーンルーム、時代の寵児となる!

公開日時:2014/07/29

 前号までのお話


 

平成10年10月10日、NICにとって2つ目の工場となる

立山工場が完成しました。

広いスペースを確保し、切断・加工ラインを効率的に

動かせるようになったNICが、次なる目標に掲げたのが、

簡易クリーンルームの開発でした。

大規模な設備投資なくてもクリーンな作業環境を作り出せる

クリーンブースは、時流にのって様々な業界から引き合いが舞い込み、

着々とそのシェアを広めていきました------

 

 

ITバブルの到来


 

2000年代が幕を開けた頃、日本には「ITバブル」の熱い風が吹いていました。

企業では一部署に数台だったパソコンが、一人一台の導入が当たり前となり、

個人所有数も右肩上がりに増えて行きます。

 

また、画像処理能力の向上により様々なゲームが誕生したり、

通信技術の進化により携帯電話やPDAなどのモバイル通信機器も

次々に登場した時代でもありました。

半導体、液晶、ハードディスク等のIT関連メーカーは絶好調。

大規模で華やかな展示会がいくつも開かれ、

NICも精力的に出展し、知名度を広めていきます。

 

そんな中、ひときわ注目を浴びたのが、

ミニエンバイロメントでした。

 

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当時の展示会の様子。ミニエンバイロメントがブース中央に設置されています

 

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SF映画のワンシーンのようですが、こちらは実際にミニエンバイロメントの精度を測定しているところです。

 

 

時代の寵児 次世代クリーンルームが大注目


 

当時のクリーンルームは、空気を清浄するFFU(フィルタファンユニット)が

天井一面に取付された「スーパークリーンルーム」と呼ばれるものが一般的でした。

 

効果は高いものの、大量の電気が必要となるため、

運用コストが高いのが悩みのタネでした。

工場の消費電力を抑えながらも、精度の高いクリーン環境を作り出す

技術が求められていたのです。

 

それを実現したのが、ミニエンバイロメント方式です。

 

全体をくまなくクリーン化するスーパークリーンルームではなく、

ルーム全体のクリーン度を抑え、必要な場所だけ高いクリーン度を

実現するという方法で、使用電力を抑えることに成功しました。

 

2000年といえば「省エネルギーラベリング制度」が

日本工業規格(JIS)によって導入された年でもあり、

懸念されている地球温暖化に歯止めをかけるべく、

企業努力が求められはじめた頃でもあります。

 

そんな中、「省エネ」を見事に実現しながらも、

半導体工場で求められるクラス1から100までの清浄度のうち、

最高レベルの「クラス1」という

NICのクリーンルーム技術は、多くの企業から注目を浴び、

創業以来の忙しい毎日が始まるのです。

 

大規模なプロジェクトが同時に何本も動いているので、

立山、流杉の両工場ともにフル稼働で対応しました。

時には厳しい納期の案件もありましたが、従業員はもちろん協力会社の方々も

徹夜も辞さない勢いで、真剣に取り組んでいったのです。

 

 

クリーンルーム事業、さらなるステージへ


 

「とにかく忙しかった」と、 当時の経験者は振り返ります。

そして、みんなの力で、不可能が可能になった時代でもあった・・・と。

 

プロジェクトにかかわる者たちが全員同じ方向を向き、

ゴールに向かって全力で走りきったからこそ、今のNICがある。

この経験はみんなの中で、きらりと光る宝石となりました。

 

しかし、好調である今だからこそ、

しっかりと未来を見据えて考えなければならないーーーーー

 

ニック・セイコー・マイスナー・ヴゥルスト株式会社は、

2001年3月をもって解散。

三社はそれぞれのスペシャリストの道を究めるべく、

次なる扉を開く決意をします。

 

クリーンルーム事業はすべてNICが引き継ぎ、

新しいスタートを切ることとなりました。

 

今まで培ってきたクリーンルームの技術と、

「ものづくりの熱き魂」を持つNICの技術者軍団は、

これからどんな化学反応を起こしていくのか?

 

もちろん、他の何処にもない、独自の技術を用いた新製品を

着々と開発していくわけですが・・・

 

どんな製品が誕生するのか?

この続きはまた次回のお楽しみということで。

 

<つづく>

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