NICおーっ!とテック物語【第11話】広がり行く販路。そして初の共同出展

公開日時:2014/11/20

前号までのお話


 

NICのアルミフレームの技術と、クリーンルームの技術の融合で生まれた

「アルファクリーンブース」。今までにない発想で生み出された組立式

クリーンブースは、その頭文字をとって「ACBシリーズ」と名付けられました。

高い剛性を持ちつつも最軽量化に成功し、ラインアップは16パターン。

サイズで選べばなんと356通りの組み合わせが可能という柔軟なものとなりました。

 

お披露目は2003年の展示会。会場にクリーンブースそのものを設置し、

多くの注目を浴びることとなります。展示会で一目見て導入を即決した

企業も現れる等、幸先の良いスタートと切ったACBシリーズ。

 

さて、次なる展開は・・・?!

 

と、その先に進む前に、少し時空を巻き戻し、

舞台は再び2000年の初頭へ。

 

このころのNICの歩んだ道は、かなりドラマチックなので

まだまだお伝えしたいことが、たくさんあるのです・・・

 

 

規格化が功を奏して、広がる販路


 

規格化したことで短納期での対応も可能となったACBシリーズ。

組立説明書を見ながらDIY感覚で簡単に組立でできること、

場所を選ばず設置できることなどが支えとなって、研究所や大学など、

今までになかった販路が順調に拡大していきました。

しかし、ここまで来るにはかなりのドラマチックな出来事があったのです。

 

当時はまだITバブル旋風と同時に、各企業にも高い「エコ意識」が求められてきた頃。

ミニエンバイロメントが世の中に認められ、様々な業種からの引き合いをいただき、

営業担当は全国を飛び回りました。

 

おかげで普段行けないような宇宙関係の会社や製薬会社など、

初めて見る世界も垣間みることができたNIC。

もはや製造業という枠を超えて、NICのクリーン技術は、

どんどん広がって行ったのです。

 

しかし、販路が広がるということは、クリーンに関する知識が

少ないお客様も増えるということ。

 

お客様の立場からすれば、“目に見える”ゴミや埃がない環境も

“目に見えない”ミクロ単位のチリさえない環境も、

どちらも“きれい”な環境、すなわち「クリーン」なのです。

 

このクリーンに対する認識の違いから、

クリーンブースの必要がないお客様のもとへ出向くことも多く、

訪れた先で「大きなゴミや埃が舞う工場内で、一部分だけをきれいにしたい」

というケースもありました。

この環境では、クリーンブースを置いてもFFUがすぐに真っ黒になり

キレイな空気を取り込むことが出来ません。

「クリーンブース設置を検討される前に、まずはゴミが入らない様に壁などで仕切る対策を」とご説明し、会社に戻ることとなるのです。

 

しかし、これを無駄足だと思わないのがNICの「ものづくり魂」です。

 

「なるほど、そう考えるのか」

「世の中にはこんなニーズもあるんだ」

 

と、大いに勉強をさせていただきました。

 

おかげで、

 

“クリーン知識を理解していただく方法はないか”

“見積から発注までをもっと効率よくお客様に提供できないか”

 

をみんなで話し合い、工夫を重ねることができたのです。

 

その結果、「ホームページの開設」と「クリーンブースの規格化」という

新たな挑戦が始まるのです。

 

 

はじめてのホームページ開設


 

2001年頃はちょうど各企業がホームページを持ち始めた時でもありました。

 

NICも時代の波に乗り、2001年に企業のホームページを開設します。

現在のWebページのような情報量はないものの、初めての試みに、

担当者は知恵を絞ってページづくりに邁進しました。

 

当時注目を浴びていたクリーンブースを、

もっと簡単に発注出来るようにできないか?

クリーンブースの必要性を分かりやすく説明できないか?

 

検討を重ねた結果、クリーンブースをサイズごとに規格化し

ホームページにクリーンブース導入事例を掲載。

さらに、ページ上で希望の寸法を選択するだけで

仕様確認や見積依頼が簡単にできるようにしたのです。

 

このようなしくみをつくれたのも、規格化したから成し得たこと。

一社一社カスタマイズをしていたのでは、到底このような形は

つくれなかったでしょう。

 

同時に、「一部分だけをきれいにしたい、囲いたい」というニーズに応えるべく

アルファフレームで構成したカバーも規格化行い

パンフ、ホームページに掲載しました。

 

「ホームページ化」という新しい窓口を儲けたことで、

さらに新規顧客の獲得に成功したNIC。ますますクリーンブースは、

他業種へと広がって行ったのです。

 

 

初の「コラボ」で展示会共同出展


 

新しいチャレンジは、まだまだ続きます。

 

クリーンブースのニーズが広がるにつれ、クリーンな環境を説明する難しさを

痛感するようになっていったNIC。

 

いくら口頭で「クリーンな環境での作業がいかに有効か」を語っても、

ベースがない方にとっては、雲を掴むような話にしかなりません。

 

相手にわかってもらえないということは、

私たちの「クリーン技術の説得力」が

まだまだ足りていないことに他なりません。

 

どうしたらもっとわかりやすく見せられるか?----

 

かなりハードルの高い課題を与えられていた頃、

ものづくりの神様がパートナーとの出会いを用意してくれました。

 

それが新日本空調様です。

 

新日本空調様は日本で唯一、クリーンな環境を「可視化」する技術の開発に

成功した企業です。

 

 

レーザー光線のスクリーンに写し出された微粒子たちを、

鮮明に写し出す超高性能カメラ。

これをクリーンブース内に設置し、みるみるうちに

完璧にクリーンな環境になるその瞬間を、

肉眼で見ることを可能にしたのです。

 

新日本空調様の「可視化」の技術と、NICのクリーン技術のコラボは、

2002年の12月に行われたセミコンジャパンで実現しました。

 

展示会

 

この2社によるコラボレーションは、現在もなお続いています。

その様子は、10月配信のメルマガ、「こんなところにアルミフレーム!

のコーナーで紹介しています。

 

 

「目に見えないものを見る」というインパクトは相当だったようで、

多くの人が足を止め、ブースは大にぎわいとなりました。

 

そして規格化した組立式クリーンブースは「ACBシリーズ」と命名され

2003年の展示会で初お披露目。

このような地道なプレゼンが実り、クリーンブースはさらに順調な

伸びを見せていきます。

 

この好調は続くものと誰もが思っていたのですが・・・。

現実はドラマよりも奇なり。

 

この後、何が起こるか、 まだ誰も気づくものなどいなかったのです。

 

<つづく>

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